仮想通貨の確定申告・扶養を立場別に整理|会社員・学生・主婦・年金の目安.png

仮想通貨(暗号資産)で利益が出たとき、確定申告が必要かどうかは「年間の利益(所得)がいくらか」と「本人の立場(給与があるか、扶養に入っているか、年金を受け取っているか)」の組み合わせで決まります。会社員なら給与以外の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要になる一方、学生や主婦、無職の方は基礎控除などの所得控除の合計額が目安になり、扶養から外れるかどうかも別に確認する必要があります。

この記事では、立場・属性ごとに「申告が必要になる目安」「所得区分」「住民税の申告」「扶養への影響」「必要書類」を表で整理し、2026年10月時点の税制(令和7年度・令和8年度税制改正の反映後)にもとづいて解説します。確定申告の全体の流れや計算方法から知りたい方は「【2026年最新版】仮想通貨の確定申告が必要?計算方法とやり方・手順」もあわせてご覧ください。

※本記事の金額は、特に断りがない限り2026年分(令和8年分、2027年2〜3月に申告する分)の所得税の数値です。2025年分(令和7年分)の数値は表で併記しています。

<この記事でわかること>

・仮想通貨(暗号資産)の確定申告が必要になる目安は、会社員・学生・主婦・年金受給者などの立場によって変わります
・会社員と年金受給者には「20万円ルール」があり、それ以外の方は基礎控除などの所得控除の合計額が判断の目安になります
・2025年・2026年の税制改正で基礎控除や扶養の所得要件が引き上げられており、2026年分は扶養の目安が合計所得62万円以下になります
・所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告が必要になるケースがあります
・立場ごとの必要書類と、詳しく知りたいときに読む記事がわかります

目次

  1. 立場別に見る仮想通貨の確定申告の目安【早見表】
  2. 確定申告の判断に使う4つの基準と2026年の改正点
  3. 立場・属性別の仮想通貨の確定申告と税金
  4. 立場別に見る確定申告の必要書類と申告方法
  5. 立場を問わず注意したいポイント
  6. よくある質問
  7. まとめ

立場別に見る仮想通貨の確定申告の目安【早見表】

仮想通貨の利益は、2026年10月時点では原則として「雑所得」に分類され、給与所得などほかの所得と合算する総合課税の対象となります。この前提は立場が変わっても同じですが、確定申告が必要になる目安や、扶養・保険料への影響は立場ごとに異なります。

立場所得税の確定申告が必要になる目安(2026年分)住民税の申告扶養・保険料への影響
会社員(給与所得者)給与以外の所得の合計が年間20万円超所得税の申告をしない場合は20万円以下でも必要本人の扶養には影響なし
公務員会社員と同じ(20万円超)所得税の申告をしない場合は20万円以下でも必要本人の扶養には影響なし。服務規程の確認が必要
個人事業主・フリーランス事業所得などとあわせて申告(金額にかかわらず合算)確定申告をすれば不要国民健康保険料が増える場合がある
学生(親の扶養)合計所得が基礎控除などの所得控除の合計を超えるとき合計所得が自治体の非課税基準を超えると必要合計所得62万円超で扶養控除の対象外(19歳以上23歳未満は特定親族特別控除あり)
主婦・主夫(配偶者の扶養)合計所得が基礎控除などの所得控除の合計を超えるとき合計所得が自治体の非課税基準を超えると必要合計所得62万円超で配偶者控除から配偶者特別控除へ
無職・求職中合計所得が基礎控除などの所得控除の合計を超えるとき合計所得が自治体の非課税基準を超えると必要国民健康保険料が増える場合がある
年金受給者公的年金等の収入400万円以下かつ年金以外の所得20万円以下なら不要所得税の申告をしない場合は20万円以下でも必要介護保険料・医療保険料が増える場合がある
利益が大きい方(億り人など)立場にかかわらず申告が必要になる水準確定申告をすれば不要翌年の住民税・保険料が大きく増える場合がある

※「所得」は売却額などの収入から取得価額や経費を差し引いた利益の額です。売却額そのものではありません。

※確定申告をすると、その内容が自治体に送られるため、住民税の申告を別に行う必要はありません。

※いずれも一般的な目安です。医療費控除などで確定申告をする場合や、ほかの所得がある場合は判断が変わります。

所得区分や課税の仕組みそのものについては「仮想通貨(暗号資産)の税金とは?基礎と計算方法、対策も解説」で詳しく解説しています。

確定申告の判断に使う4つの基準と2026年の改正点

立場別の判断に入る前に、どの立場でも使う4つの基準を確認しておきます。2025年(令和7年度)と2026年(令和8年度)の税制改正で金額が変わっているため、古い記事の「103万円の壁」「基礎控除48万円」といった数値のまま判断しないよう注意が必要です。

給与所得者・年金受給者の「20万円ルール」

給与を1か所から受け取って年末調整を受けている会社員などは、給与所得・退職所得以外の所得の合計が年間20万円以下であれば、所得税の確定申告は不要とされています(給与の収入金額が2,000万円を超える場合などを除く)。公的年金を受け取っている方にも、公的年金等の収入金額が400万円以下で、年金以外の所得が20万円以下であれば確定申告が不要になる「確定申告不要制度」があります。

ここでいう20万円は、仮想通貨の売却額ではなく利益(所得)の額です。たとえば年間で100万円分を売却しても、取得価額が85万円であれば所得は15万円となります。

基礎控除の引上げ(2025年分・2026年分)

20万円ルールの対象にならない学生・主婦・無職の方は、「所得が基礎控除などの所得控除の合計を超えるかどうか」が所得税の申告の目安になります。基礎控除は2025年分から大きく引き上げられ、2026年分はさらに上乗せされています。

項目2025年分(令和7年分)2026年分(令和8年分)
基礎控除(合計所得132万円以下)95万円104万円
基礎控除(合計所得132万円超489万円以下)88万円または68万円104万円
基礎控除(合計所得489万円超655万円以下)63万円67万円
基礎控除(合計所得655万円超2,350万円以下)58万円62万円
給与所得控除の最低保障額65万円74万円
給与収入のみの場合に所得税がかからない目安160万円178万円
扶養親族・同一生計配偶者の所得要件合計所得58万円以下合計所得62万円以下
勤労学生控除の所得要件合計所得85万円以下合計所得89万円以下

※2026年分の基礎控除の上乗せ(特例)と給与所得控除の最低保障額の上乗せは、2026年分・2027年分の時限措置です。

※出典:国税庁「令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A」(令和8年5月)、国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」、財務省「ファイナンス」2026年4月号。2025年分は国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」。

たとえば2026年分で、仮想通貨の利益以外に所得がない方の場合、仮想通貨の所得が104万円以下であれば、基礎控除だけで所得税はかからない計算になります。社会保険料控除などほかの所得控除があれば、目安はさらに高くなります。

扶養の所得要件(税法上と社会保険上の2種類)

「扶養」には、所得税・住民税の扶養控除や配偶者控除(税法上の扶養)と、健康保険の被扶養者(社会保険上の扶養)の2種類があり、判定の基準が異なります。

  • 税法上の扶養:2026年分の所得税では、扶養される方の合計所得金額が62万円以下(給与収入のみなら136万円以下)であることが要件です。住民税の扶養の要件は所得税と異なる場合があるため、お住まいの自治体の案内もあわせて確認してください。合計所得金額には仮想通貨の雑所得も含まれます。
  • 特定親族特別控除:19歳以上23歳未満の親族の合計所得が62万円超123万円以下の場合、扶養控除の代わりに段階的な控除を受けられる制度です(2025年分から新設)。
  • 配偶者特別控除:配偶者の合計所得が62万円超133万円以下の場合に、段階的な控除を受けられます。
  • 社会保険上の扶養:健康保険の被扶養者は、年間収入130万円未満(19歳以上23歳未満は2025年10月から150万円未満)などが目安です。仮想通貨の利益が年間収入の判定でどう扱われるかは、加入している健康保険組合などの保険者に確認してください。

所得税が不要でも住民税の申告は必要になる場合がある

20万円ルールや確定申告不要制度は所得税だけのルールで、住民税にはありません。また、住民税の基礎控除は43万円で、所得税の基礎控除(2026年分は最大104万円)より低く設定されています。そのため、所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告が必要になるケースがあります。住民税が非課税になる所得の基準は自治体によって異なるため、お住まいの市区町村で確認しておくと安心です。

住民税の申告が必要な人と申告方法は「仮想通貨(暗号資産)の所得は住民税の課税対象?申告が必要な人とその方法」で解説しています。

立場・属性別の仮想通貨の確定申告と税金

ここからは、立場ごとの考え方を順に見ていきます。税額や申告の要否は個別の事情によって変わるため、各項目では一般的な仕組みと確認しておきたいポイントを整理します。

会社員(給与所得者)

会社員の場合、仮想通貨の利益を含む給与以外の所得の合計が年間20万円を超えると、所得税の確定申告が必要です。仮想通貨の利益は雑所得として給与所得と合算され、所得税は5%〜45%の累進税率で計算されるため、同じ利益でも給与が高い方ほど税率が高くなる傾向があります。

注意したいのは、20万円以下でも申告が必要になる2つのケースです。1つは住民税で、20万円ルールがないため、所得税の確定申告をしない場合は市区町村へ住民税の申告をする必要があります。もう1つは、医療費控除やふるさと納税(ワンストップ特例を使わない場合)などで確定申告をする場合で、このときは20万円以下の仮想通貨の所得も含めて申告します。

また、副業の所得がある場合、住民税の徴収方法を「普通徴収(自分で納付)」にできる場合がありますが、自治体の運用によって対応が異なります。勤務先の就業規則もあわせて確認しておくとよいでしょう。給与と合算したときの税額の計算方法は「給与所得がある場合の仮想通貨にかかる税金とは?計算方法と注意点を解説!」で詳しく解説しています。

公務員

公務員も給与所得者のため、確定申告の基準は会社員と同じで、給与以外の所得が年間20万円を超えると所得税の確定申告が必要になります。住民税の申告や、医療費控除などで確定申告をする場合の扱いも会社員と変わりません。

公務員には、国家公務員法・地方公務員法などによる兼業の制限があります。仮想通貨の取引がこうした規程に関わるかどうかは所属先の規程によって異なるため、取引を始める前や規模が大きくなったときは、所属先の服務規程や人事担当部署に確認してください。

なお、住民税の徴収方法を普通徴収にできるかどうかは自治体の運用によるため、勤務先に所得が伝わらないことを前提にせず、規程に沿った取引と適正な申告を行うことが大切です。

個人事業主・フリーランス

個人事業主やフリーランスの方は、事業所得などで毎年確定申告をしているため、20万円ルールは適用されません。仮想通貨の利益は金額にかかわらず、確定申告書に合算して申告します。確定申告をすれば、住民税の申告を別に行う必要はありません。

国税庁のFAQでは、暗号資産の取引による所得は原則として雑所得に区分され、取引自体が事業と認められる場合(取引の収入で生計を立てていることが客観的に明らかな場合など)は事業所得に区分されるとされています。ご自身の取引がどちらに当たるかは取引の内容によって変わるため、税務署または税理士に確認してください。なお、雑所得の損失は、事業所得などほかの所得と損益通算できません。一方、取引に直接必要な費用は雑所得の必要経費として差し引ける場合があります。

国民健康保険料は前年の所得をもとに計算されるため、仮想通貨の利益が増えると翌年の保険料も増える可能性があります。経費にできるものの考え方は「仮想通貨取引で認められる経費とは?計上できるもの・できないものを説明」で解説しています。

学生(親の扶養に入っている場合)

学生の場合、アルバイトの給与と仮想通貨の利益を合計した「合計所得金額」が、本人の確定申告と親の扶養の両方に関わります。2026年分は、合計所得が62万円以下であれば親の扶養控除の対象のままですが、62万円を超えると扶養控除の対象から外れます。ただし19歳以上23歳未満であれば、合計所得123万円以下までは親が特定親族特別控除を受けられるため、控除が段階的に減る仕組みになっています。

本人の所得税は、アルバイトの給与だけなら年末調整で完結することが多いものの、仮想通貨の所得を加えた合計所得が基礎控除などの所得控除を超えると確定申告が必要になります。なお、勤労学生控除は「給与など勤労による所得以外の所得が10万円以下」が要件のため、仮想通貨の所得が10万円を超えると利用できません。

申告や扶養の判定にあたって、確認しておきたいポイントは次のとおりです。

  • アルバイト給与の収入金額と、仮想通貨の所得(売却額ではなく利益の額)
  • 両方を合わせた合計所得金額が、62万円・123万円などの基準のどこに当たるか
  • その年の12月31日時点で19歳以上23歳未満かどうか
  • 住民税の申告が必要かどうか(お住まいの市区町村の基準)

※申告の要否や控除額は個別の事情によって変わります。判断に迷う場合は、税務署または税理士に確認してください。

社会保険上の扶養(19歳以上23歳未満は年間収入150万円未満が目安)の判定で仮想通貨の利益がどう扱われるかは、親の勤務先の健康保険組合などの保険者に確認してください。

主婦・主夫(配偶者の扶養に入っている場合)

パート収入があったり、収入がなかったりする主婦・主夫の方も、仮想通貨の所得は合計所得金額に含まれます。2026年分は、合計所得が62万円以下であれば配偶者は配偶者控除を受けられ、62万円超133万円以下では配偶者特別控除に切り替わり、所得が増えるにつれて控除額が段階的に減ります。配偶者(納税者本人)の合計所得が1,000万円を超える場合は、どちらの控除も受けられません。

本人の所得税は、合計所得が基礎控除などの所得控除の合計を超えなければかからない計算になります。一方、住民税は基礎控除が43万円のため、パート収入と仮想通貨の利益を合わせると住民税がかかる場合があります。

申告や扶養の判定にあたって、確認しておきたいポイントは次のとおりです。

  • パート給与の収入金額と、仮想通貨の所得(利益の額)
  • 合計所得金額が62万円以下か、62万円超133万円以下か(配偶者控除・配偶者特別控除)
  • 配偶者(納税者本人)の合計所得金額が1,000万円を超えていないか
  • 住民税の申告が必要かどうか(お住まいの市区町村の基準)

※申告の要否や控除額は個別の事情によって変わります。判断に迷う場合は、税務署または税理士に確認してください。

健康保険の被扶養者(年間収入130万円未満が目安)の判定で仮想通貨の利益がどう扱われるかは、配偶者の勤務先の健康保険組合などの保険者に確認してください。

無職・求職中の方

給与や年金などの収入がない方は、仮想通貨の所得がそのまま合計所得になります。2026年分は、合計所得が基礎控除104万円(合計所得489万円以下の場合)を含む所得控除の合計を超えると、所得税の確定申告が必要になる計算です。国民年金や国民健康保険料を支払っている場合は、社会保険料控除として差し引けるため、その分だけ目安は高くなります。

申告や扶養の判定にあたって、確認しておきたいポイントは次のとおりです。

  • 仮想通貨の所得(利益の額)と、ほかの所得の有無
  • 国民年金・国民健康保険料など、差し引ける所得控除の額
  • 年の途中まで給与があった場合は、その給与の源泉徴収票
  • 住民税の申告が必要かどうか(お住まいの市区町村の基準)

※申告の要否や控除額は個別の事情によって変わります。判断に迷う場合は、税務署または税理士に確認してください。

無職の方が見落としやすいのが、国民健康保険料と住民税への影響です。どちらも前年の所得をもとに計算されるため、利益を確定した翌年に負担が増える場合があります。また、年の途中で退職した方は、退職前の給与とあわせて申告することで源泉徴収された所得税の一部が戻る場合もあります。

年金受給者

公的年金を受け取っている方は、公的年金等の収入金額が400万円以下で、全額が源泉徴収の対象となっており、年金以外の所得(仮想通貨の所得を含む)が20万円以下であれば、所得税の確定申告は不要とされています(確定申告不要制度)。ただし住民税にはこの制度がないため、住民税の申告が必要になる場合があります。

仮想通貨の所得が20万円を超える場合は、年金の雑所得とあわせて確定申告をします。公的年金と仮想通貨は同じ「雑所得」ですが、年金には公的年金等控除が適用され、仮想通貨は取得価額や経費を差し引いて計算するなど、計算方法は別々です。

申告や扶養の判定にあたって、確認しておきたいポイントは次のとおりです。

  • 公的年金等の収入金額が400万円以下か
  • 年金以外の所得(仮想通貨の所得を含む)が20万円以下か
  • 受け取っている公的年金等がすべて源泉徴収の対象か
  • 住民税の申告が必要かどうか(お住まいの市区町村の基準)

※申告の要否や控除額は個別の事情によって変わります。判断に迷う場合は、税務署または税理士に確認してください。

また、75歳以上の後期高齢者医療保険料や介護保険料は所得をもとに決まるため、仮想通貨の利益によって翌年の保険料が増える場合がある点にも注意が必要です。

利益が大きい方(億り人など)

仮想通貨の利益が数千万円〜1億円を超えるような場合は、どの立場でも確定申告が必要になる水準です。総合課税のため、課税所得が4,000万円を超える部分には所得税45%と住民税10%を合わせた55%(復興特別所得税を含めると約55.945%)の税率がかかります。収入別の税額の目安は「仮想通貨(暗号資産)の税金はいくら?税率早見表と収入別シミュレーション」で確認できます。

利益が大きい方が注意したい点は次のとおりです。

  • 基礎控除の縮小:合計所得が2,350万円を超えると基礎控除が段階的に減り、2,500万円を超えるとゼロになります
  • 翌年の住民税と予定納税:住民税は翌年に課税されるため、納税資金を確保しておく必要があります。前年分の所得や税額をもとに計算した予定納税基準額が15万円以上になる方は、翌年7月と11月に予定納税が求められます。対象になる場合は6月15日までに税務署から通知が届きます(基準額の計算方法は国税庁タックスアンサーNo.2040で示されています)
  • 財産債務調書:退職所得を除く所得の合計が2,000万円を超え、かつ年末の財産が3億円以上(または有価証券等が1億円以上)ある場合や、年末の財産が10億円以上ある場合などは、翌年6月30日までに財産債務調書の提出が必要になります(仮想通貨も財産に含まれます)
  • 利確後の価格変動:利益を確定して別の仮想通貨に交換した場合、その後に価格が下がっても納税額は変わらず、納税資金が不足するケースがあります

納税資金が不足しそうな場合の対処は「仮想通貨の税金が払えないとどうなる?もしものときにできること2つ」、年をまたいで損益が確定した場合の計算の考え方は「仮想通貨を年またぎで損益確定したときの税金計算はどう変わる?」で解説しています。取引が多く計算が複雑な場合は、「仮想通貨の確定申告を税理士に任せるメリット・デメリットと費用相場を解説」も参考になります。

立場別に見る確定申告の必要書類と申告方法

必要書類は、仮想通貨の取引に関する書類(どの立場でも共通)と、本人の収入に関する書類(立場によって異なる)に分けると整理しやすくなります。

書類対象となる立場入手先・作成方法
確定申告書(第一表・第二表)すべての立場国税庁「確定申告書等作成コーナー」で作成できます
仮想通貨の損益の計算資料すべての立場取引所の取引履歴をもとに計算します。国税庁の計算書(エクセル)や損益計算ツールを使う方法があります
年間取引報告書国内の取引所を利用した方各取引所のマイページなどからダウンロードします
給与所得の源泉徴収票会社員・公務員、アルバイト・パート収入がある学生・主婦勤務先から1月ごろに交付されます
公的年金等の源泉徴収票年金受給者日本年金機構などから1月ごろに送付されます
青色申告決算書または収支内訳書個人事業主・フリーランス事業の帳簿をもとに作成します
社会保険料・生命保険料などの控除証明書該当する控除を受ける方保険会社や自治体などから送付されます
マイナンバーカード(ない場合はマイナンバーが確認できる書類と本人確認書類)すべての立場e-Taxで申告する場合はマイナンバーカードを使うと手続きがスムーズです

年間取引報告書の見方は「年間取引報告書の見方は?仮想通貨取引所ごとに画像付きで解説」で取引所ごとに紹介しています。年間取引報告書は取引所ごとの集計のため、複数の取引所を使っている場合や、取引所間で仮想通貨を送金している場合は、すべての取引をまとめて計算し直す必要があります。計算方法(総平均法・移動平均法)については「総平均法・移動平均法どちらがお得?自分に合う仮想通貨の損益計算法」をご覧ください。

申告方法は、税務署への持参・郵送のほか、e-Tax(電子申告)があります。マイナンバーカードとスマートフォンがあれば自宅から申告でき、手順は「仮想通貨(暗号資産)の確定申告はスマホでOK|準備から申告手順までわかりやすく解説」で解説しています。確定申告の期間は例年2月16日から3月15日までで、2026年分は2027年2月16日(火)から3月15日(月)になる見込みです(正式な日程は国税庁の発表をご確認ください)。

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立場を問わず注意したいポイント

最後に、どの立場でも共通して注意したいポイントを整理します。

課税のタイミングは「売却」だけではない

仮想通貨を日本円に換えたときだけでなく、仮想通貨同士の交換や、仮想通貨での商品の購入、ステーキング報酬の受け取りなどでも所得が発生する場合があります。「日本円に換えていないから所得はない」と考えて判断すると、申告の要否を誤る可能性があります。どのような取引で損益が発生するかは「仮想通貨(暗号資産)の課税タイミングとは?損益が発生する代表的なケース5つを紹介」で解説しています。

損失が出た年の扱い

2026年10月時点では、仮想通貨の損失は給与所得などほかの所得と損益通算できず、翌年以降に繰り越すこともできません。ただし、同じ年の雑所得の中では、仮想通貨同士の利益と損失を相殺できる場合があります。損失が出た場合の考え方は「仮想通貨(暗号資産)取引で損失が出た場合の確定申告は?判断基準や損益通算の方法を解説」をご覧ください。

申告しないままにした場合のリスク

申告が必要なのに申告しなかった場合、本来の税額に加えて無申告加算税や延滞税がかかる可能性があります。税務署は取引所への照会などを通じて取引の情報を把握できる場合があるため、「少額だから分からない」と考えるのは避けたほうがよいでしょう。詳しくは「ばれないのは間違い!仮想通貨(暗号資産)の税金を未払いで放置すると起きること」で解説しています。

税制改正の動向

2025年12月19日に公表された令和8年度与党税制改正大綱では、一定の暗号資産の譲渡などによる所得を、20%の申告分離課税とし、損失を3年間繰り越して控除できるようにする方針が示されました。適用は改正後の金融商品取引法が施行された年の翌年1月1日以後とされています。暗号資産を金融商品取引法の対象とする改正法は2026年7月15日に成立したと報道されており、施行は2027年度、分離課税の適用は2028年1月1日からになる見通しと報じられていますが、2026年10月時点では、仮想通貨の利益は引き続き雑所得として総合課税の対象です。最新の動向は「【2026年1月最新】仮想通貨の分離課税、令和8年度与党税制改正大綱でどう変わるか|注目点を解説」で確認できます。

判断に迷ったら税務署・税理士に確認する

扶養の判定や所得区分は、ほかの所得や家族の状況によって結論が変わります。最終的な判断は、税務署や税理士に確認することをお勧めします。税務署での相談方法は「仮想通貨の税金に関する疑問は税務署で相談できる?方法やメリット・デメリットを解説」で紹介しています。

よくある質問

Q: 会社員で仮想通貨の利益が20万円以下なら、何も申告しなくてよいですか?

いいえ、所得税の確定申告が不要になる場合でも、原則として住民税の申告が必要です(詳しくはお住まいの市区町村にご確認ください)。また、医療費控除などで確定申告をする場合は、20万円以下の仮想通貨の所得も含めて申告します。

Q: 仮想通貨の利益で親の扶養から外れることはありますか?

はい、外れる場合があります。2026年分は、アルバイト給与と仮想通貨の所得を合わせた合計所得金額が62万円を超えると、親の扶養控除の対象外になります。19歳以上23歳未満であれば、合計所得123万円以下まで特定親族特別控除の対象になります。

Q: 専業主婦(主夫)が仮想通貨で利益を得た場合、配偶者控除はなくなりますか?

いいえ、すぐになくなるわけではありません。2026年分は、合計所得62万円以下なら配偶者控除、62万円超133万円以下なら配偶者特別控除の対象となり、所得に応じて控除額が段階的に減ります。

Q: 無職で仮想通貨の利益しかない場合、いくらから確定申告が必要ですか?

所得控除の合計額が目安になります。2026年分は基礎控除が104万円(合計所得489万円以下の場合)のため、ほかに所得控除がなければ仮想通貨の所得が104万円を超えると所得税の確定申告が必要になる計算です。住民税は基礎控除が43万円のため、より低い所得から申告が必要になる場合があります。

Q: 年金受給者は仮想通貨の利益が20万円以下なら確定申告は不要ですか?

はい、公的年金等の収入金額が400万円以下で、年金以外の所得が20万円以下であれば、所得税の確定申告は不要とされています。ただし、住民税の申告が必要になる場合があります。

Q: 2025年分と2026年分で、確定申告が必要になる基準は変わりますか?

はい、一部変わります。基礎控除は2025年分の最大95万円から2026年分は最大104万円に、扶養の所得要件は58万円以下から62万円以下に引き上げられています。会社員・年金受給者の20万円ルールは変わっていません。

まとめ

仮想通貨(暗号資産)の確定申告が必要になる目安は、会社員・公務員・年金受給者は「年金・給与以外の所得が20万円を超えるか」、学生・主婦・無職の方は「合計所得が基礎控除などの所得控除の合計を超えるか」が基本になります。扶養に入っている方は、2026年分は合計所得62万円が扶養控除・配偶者控除の目安となり、仮想通貨の利益も合計所得に含まれる点に注意が必要です。

また、所得税の確定申告が不要な場合でも住民税の申告が必要になるケースがあり、国民健康保険料や介護保険料など、翌年の負担に影響することもあります。立場ごとの目安を早見表で確認したうえで、詳しい内容は各記事で確認し、判断に迷う場合は税務署や税理士に相談しましょう。

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出典

  • 国税庁「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」
  • 国税庁 タックスアンサー No.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」
  • 国税庁 タックスアンサー No.1600「公的年金等の課税関係」
  • 国税庁「令和8年度税制改正(所得税の基礎控除の引上げ等関係)Q&A」(令和8年5月) https://www.nta.go.jp/users/gensen/2026kiso/pdf/0026005-024.pdf
  • 国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/2026kaisei.pdf
  • 財務省「ファイナンス」2026年4月号(令和8年度税制改正の解説) https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/202604/202604c.pdf
  • 国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」
  • 自由民主党・日本維新の会「令和8年度税制改正大綱」(2025年12月19日)
  • 国税庁 タックスアンサー No.2040「予定納税」
  • 国税庁 タックスアンサー No.7457「財産債務調書の提出制度」
  • 内閣人事局・人事院「一般職の国家公務員の兼業について(Q&A集)」(令和6年6月)
  • 日本年金機構「19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における年間収入要件が変わります」
  • 日本年金機構「労働契約内容による年間収入が基準額未満である場合の被扶養者の認定における年間収入の取り扱いについて」