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仮想通貨(暗号資産)の税金や計算方法、確定申告のやり方を解説

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ビットコインなどの仮想通貨に投資をする人はここ数年で何倍も増加しました。一方で、投資を始めたものの、利益や税金については今一つよくわからない、と思っている方もいらっしゃるかもしれません。

今回の記事では、仮想通貨にかかる税金と確定申告について、仮想通貨に精通した税理士監修のもと、初めての方にもわかりやすく解説していきます。 

本記事は2023年版の確定申告の情報をもとに作成されています。

目次

  1. 仮想通貨(暗号資産)取引での利益には税金がかかる!
  2. 仮想通貨にかかる税金の税率は?      
    2.1 仮想通貨の所得区分は「雑所得」      
    2.2 仮想通貨の税率
  3. 仮想通貨の税金を計算する方法      
    3.1 利益の計算には「移動平均法」と「総平均法」の2つがある      
    3.2 仮想通貨は損益通算や繰越控除ができない  
    3.3確定申告をしなかった場合のペナルティ
  4. 仮想通貨取引で必要な確定申告とは      
    4.1 確定申告が必要な人      
    4.2 確定申告のやり方  
  5. 仮想通貨の税金を節税する方法
  6. 仮想通貨で課税対象となる利益が発生するケース      
    6.1 仮想通貨を売却したとき      
    6.2 仮想通貨と他の仮想通貨を交換したとき      
    6.3 仮想通貨で買い物をしたとき      
    6.4 ステーキング報酬やレンディング利子をもらったとき
  7. 仮想通貨の税金についてよくある質問      
    7.1少ない利益だったらやらなくてもバレない!?        
    7.2NFTも確定申告が必要?        
    7.3ビットコインで100万円稼いだら税金はいくら?        
    7.4ビットコインで税金がかからないケースは?
  8. 仮想通貨の計算を簡単に終わらせる方法

<この記事の内容をざっくり言うと>

  • 仮想通貨取引での利益には税金がかかる
  • 仮想通貨の税金を計算する方法は「移動平均法」と「総平均法」の2つ
  • 課税対象となるのは売却時だけではない!
  • 確定申告をしないとペナルティがある

1.仮想通貨(暗号資産)取引での利益には税金がかかる!

仮想通貨取引を行う上でどのようなタイミングで税金が発生するのか?という疑問を抱いたことはないでしょうか。             
もちろん、利益が出たタイミングである事に間違いありませんが、「自分は日本円に換金してないから、利益は1円も発生していない」と勘違いされている方が多いです。実はこの認識は間違いです。

確かに、仮想通貨を購入し、保有しているだけでは税金がかかりませんが、売却や仮想通貨同士の交換、支払いでの利用などでもよって利益が発生します。そしてその利益に対し、所得税が課されるのです。

そして、仮想通貨による利益が一定額以上ある場合、会社員の方でも確定申告をする必要があります。             
今回は、そんな仮想通貨に関連する税金と確定申告に関して解説します。

2.仮想通貨にかかる税金の税率は?

2.1 仮想通貨の所得区分は「雑所得」

所得税には、給与や賞与などの「給与所得」、株式投資で得た「譲渡所得、配当所得」、不動産から得た「不動産所得」など、その性質に応じて10種に細かく分類されています。             
その中から、仮想通貨取引によって生じた利益は、原則として「雑所得」に区分されます。             
一部、仮想通貨取引の利益で生計を立てている方や、事業用資産として保有している方の場合には、「事業所得」として取り扱うことも考えられます。

2.2 仮想通貨の税率

所得税の計算方法は、「総合課税」と「分離課税」の2つに分けられます。             
他の所得と合算して課税されるのが総合課税、他の所得とは分離して一定の所得税額を計算するのが分離課税です。             
仮想通貨取引による雑所得には、総合課税が適用されます。所得が大きくなればなるほど、税率も高くなる仕組み(累進課税)となり、最高で45%、住民税・復刻特別所得税を合わせると55%の税率となります。

<所得金額と税率>

課税される所得金額税率控除額
1,000円 から 1,949,000円まで5%0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで10%97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで20%427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで23%636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで33%1,536,000円
18,000,000円 から 39,999,000円まで40%2,796,000円
40,000,000円 以上45%4,796,000円

参考:国税庁「No.2260 所得税の税率

FXや株式投資によって生じた所得も雑所得に区分されますが、分離課税が適用されますので、こちらの税率は一律「20.315%」となります。

関連記事:             
【2023年】仮想通貨の利益は申告分離課税になる?今後の予想を徹底解説
関連記事:  
仮想通貨の税金地獄の抜け道?税理士による節税術7選

3. 仮想通貨の税金を計算する方法

確定申告の必要性、仮想通貨取引で利益が出るタイミングが理解出来れば、最後は実際に自分が20万円以上の利益が発生しているのかを確認をする必要があります。             
まずは、仮想通貨の損益計算に関して知っておきたい基本的な知識を解説します。

3.1 利益の計算には「移動平均法」と「総平均法」の2つがある

仮想通貨の利益額を計算する方法には、「移動平均法」と「総平均法」の2つがあり、確定申告の際にはいずれかを選択する必要があります。 一度選択した計算方法は翌年以降も継続して使用するルールがありますので、注意が必要です。

移動平均法は、仮想通貨を取得するたびに平均単価を毎回計算して取得原価とする方法です。価格変動の大きい仮想通貨ではこの方法が推奨されていますが、取得のたびに計算が必要となるため、相当な労力が必要となります。

総平均法は、1年間の購入金額を平均して取得原価とする方法です。取引件数が多い方は計算を簡略化できますが、価格変動が大きいほど実際の取得金額とは乖離が発生してしまいます。             
いずれもメリット・デメリットはありますが、ご自身に合った計算方法を選択する必要があります。評価方法の変更を行う場合は別途手続きが必要となりますが、何も届出をしない場合、所得税では「総平均法」、法人税では「移動平均法」が自動適用される事となっています。

なお、総平均法と移動平均法それぞれの具体的な計算方法について知りたい方は以下の記事で解説しています。

関連記事:             
仮想通貨の損益計算/確定申告:「総平均法」と「移動平均法」、どちらが得?

3.2 仮想通貨は損益通算や繰越控除ができない

雑所得に区分される仮想通貨取引で損失が出た場合、他の所得と相殺することができません。損失が出た場合も、翌年以降に繰り越して翌年以降の利益と相殺することもできません。

相場によって毎年必ず利益を発生し続けるというのも難しいと思いますので、損失が出た場合の対応など知識として持っておくことは大切です。 

3.3 確定申告をしなかった場合のペナルティ

税金を正しい金額で期限までに納付しなかった場合は追徴課税を受けることになります。

支払い状況に応じて課せされる税金が変わってきますので、その種類と税率、もし税金を払えない場合はどうすればいいのかについて詳しくは以下の記事で解説しています。 

関連記事:             
仮想通貨の税金が払えないとどうなる?もしものときにできること2つ

4. 仮想通貨取引で必要な確定申告とは

4.1 確定申告が必要な人

確定申告とは、その年の1月1日~12月31日までの1年間に得た所得金額と税額を計算し、その結果を税務署に申告して税金を納める一連の手続きのことを指します。原則、翌年の2月16日~3月15日の期間に確定申告書を税務署に提出して行います。

会社員の方は勤め先が年末調整を行ってくれるので、多くの場合確定申告の必要はありません。しかし、仮想通貨取引での20万円以上の利益を得た場合は、必ず確定申告が必要となります。被扶養者(専業主婦や学生など)に該当する場合、48万円を超える所得が出た場合も、確定申告が必要となるので注意が必要です。

その他、会社員であっても確定申告が必要となるケースは以下の通りです。

  • 給与収入が年間2,000万円を超える人
  • 給与所得や退職所得以外の所得金額(仮想通貨による所得を含む)の合計額が20万円を超える人
  • 2か所以上から給与をもらっている人
  • 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)の適用を初めて受ける人
  • 雑損控除、医療費控除などを受ける人や、寄付控除の適用を受ける人(※ふるさと納税の場合は納付先が6自治体以上の場合)
  • 配当控除の適用を受ける人

上記のようなケースに該当しているにも関わらず、確定申告を行わない場合は脱税と判断される可能性があります。             
脱税と判断されると、罰金(付帯税)が課されるため、更に税金を支払う恐れがあります、注意しましょう。

特に、「仮想通貨は匿名性が高いから大丈夫」と安心している方は要注意です。             
最近では法整備が進み、国税庁は取引所にユーザーの取引履歴を照会することが可能となっています。万が一無申告が発覚した場合、罰金に加えて過去からの履歴を遡って税金を徴収される可能性も多いにありますので、確定申告は正しく行いましょう。

4.2 確定申告のやり方

申告が必要なのは理解できても、そもそも確定申告のやり方が分からないという方もいらっしゃるかと思います。             
確定申告の具体的なやり方については、以下の記事で詳しく説明しています。   

期日までに提出が間に合わない場合、無申告加算税や延滞税などのペナルティが発生する可能性もありますので、早めの事前準備を行いましょう。

 

 記事:仮想通貨の確定申告、自分でできる!やり方や必要書類を詳しく解説

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 5.仮想通貨の税金を節税する方法

上述のとおり、仮想通貨取引による雑所得には、総合課税が適用されます。所得が大きくなればなるほど、税率も高くなる仕組み(累進課税)となり、最高で45%、住民税・復刻特別所得税を合わせると最大で55%の税率となります。  
仮想通貨取引で得た所得に対してかかる税金を減らす方法について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

関連記事:             
仮想通貨の税金対策でできる4つのこと|仕組みを理解して賢く節税を
関連記事:             
法人化して仮想通貨取引を行うのは節税になる?税制からわかる長所と短所

6. 仮想通貨で課税対象となる利益が発生するケース

これまで、仮想通貨取引で発生した利益が20万円を超える場合には確定申告が必要と説明してきました。             
では、具体的に利益額の計算や冒頭の「利益が出るタイミング」について詳しく紹介します。この知識さえ持っていれば、最低限利益額の体感を持つことが出来ると思います。ご自身の取引と照らし合わせて確認してみましょう。

6.1 仮想通貨を売却したとき

ビットコイン(BTC)などの仮想通貨を売却したときの価格と、その仮想通貨を取得したときに要した金額(取得価額)との差額が利益となります。             
※取得価額は、手数料など取得に必要な経費も含めて計算します。             
利益が発生するタイミングとしては、こちらのパターンが最もイメージしやすいのではないでしょうか。

例:1BTCを300万円で購入し、1BTCが350万円の時に売却した             
 →50万円の利益が発生

6.2 仮想通貨と他の仮想通貨を交換したとき

先ほどは「法定通貨(円)」と「仮想通貨(BTC)」のパターンでしたが、ビットコインやイーサリアムなど「仮想通貨同士」で交換をした場合も利益が発生するタイミングとなります。

例:保有していたBTCを使ってETHを購入した場合             
①1/1 1BTCを300万円で購入             
②7/1 購入したBTCを全てETHに交換             
 ※1BTCの価格は400万円

この時①から②までの半年間で1BTC当たりの価格が100万円上昇しています。             
本来300万円で購入したはずのBTCですが、400万円のときにBTCを日本円に換金後、その日本円でETHを手に入れた、と考えてみるとどうでしょう。100万円分得している状態になります。             
購入時の価格(取得単価)と交換時の価格(時価)を比較した際に、交換時の価格の方が高ければ、その差額が利益となります。

6.3 仮想通貨で買い物をしたとき

仮想通貨で商品やサービスを購入した場合も、利益が生じるタイミングとなります。上記の交換時の仕組みと同様の考え方で問題ありません。仮想通貨を一旦売却して日本円に換金した後、その日本円で商品を購入した、という流れになりますよね。             
こちらも、取得単価と商品購入時の時価を比較した際の差額が利益となります。

6.4 ステーキング報酬やレンディング利子をもらったとき

ステーキング報酬やレンディングの利子として仮想通貨を受け取った場合も、利益が発生します。             
上記の他にも、マイニングで得た報酬や、ゲームで得た報酬なども利益となる可能があります。これらの計算方法については複雑な部分もございますので、国税庁(国税庁「仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報))の見解をご確認ください。             
また、2022年に爆発的な人気となった「STEPN」に関しましては、別途記事をご参照ください。

関連記事:             
STEPN(ステップン/ステプン)の税金計算方法とは?確定申告について税理士が解説

 

その他、贈与や相続など、他者から無償で受け取った仮想通貨に対しても、それぞれ贈与税や相続税での申告義務が発生します。

仮想通貨業界は目まぐるしい変化の中で、従来の考え方や計算方法では対応できないサービスが次々と生まれています。だからこそ、価値のある立派な資産と捉え、法整備が進む中で課税されるタイミングやどのような税金が適用されるかは随時しっかりと認識しておきましょう。

7.よくある質問

7.1 少ない利益だったらやらなくてもバレない!?

「仮想通貨は匿名性が高いから自分は大丈夫」と安心してはいけません。                
最近では法整備が進み、国税庁が取引所に対しユーザーの取引履歴を照会出来るようになりました。無申告はバレないという考えは今すぐに捨てて、きちんと確定申告を行いましょう。 

関連記事:             
ばれないのは間違い!仮想通貨の税金を未払いで放置すると起きること
関連記事:  
仮想通貨の税金地獄の抜け道?税理士による節税術7選

7.2 NFTも確定申告が必要?

基本的には利益を得た場合に確定申告を行い、納税の必要があります。 NFTの税金について詳しく解説した以下の記事もご参考ください。

NFT(エヌエフティー)の税金とは?利益計算の方法や確定申告について紹介

7.3 ビットコインで100万円稼いだら税金はいくら?

上述のとおり、仮想通貨取引で得た所得は給与などとは別で総合課税の対象となります。 
もし仮に仮想通貨の所得しかなかった場合、100万円が総所得金額となります。 
課税所得=総所得-所得控除で算出できるため、仮に所得控除を20万円とすると、課税所得は、80万円が課税所得となります。 
上記の税率テーブルに当てはめて考えると、200万円以下は5%のため、所得税は、80万円課税所得 × 5% – 0円 = 4万円 
が支払う所得税となります。

7.4 ビットコインで税金がかからないケースは

ビットコインをはじめ仮想通貨の取引等を個人として(副業扱い)行い、給与所得者の場合は20万円、それ以外の方はを所得が48万円を超える所得がある方は、課税対象となる所得金額に応じて税金を支払い、確定申告を行う必要があります。 
その金額以下であれば、原則として税金の支払いおよび確定申告は不要ですが、確定申告が必要なケースもあるため注意が必要です。

確定申告が必要となるケースについては以下の記事で紹介しています。

仮想通貨の所得が20万円以下でも確定申告・税金の納付の必要がある?

6. 仮想通貨の計算を簡単に終わらせる方法

最後に、計算方法が2種類ある中で自分に合った方式の選択や、実際に取引履歴を参考に利益を計算するのはなかなか骨が折れる作業であり、専門的な知識が無ければ難しいのでは?と感じる方も多いと思います。

国税庁では「暗号資産の計算書」を用意していますが、確定申告書に記載する雑所得の利益をご自身で算出することになるので、間違っていないか不安な方も多いでしょう。             
※参照元URL:国税庁「暗号資産に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和4年12月)|国税庁

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