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【税金支払い時に注意】仮想通貨の取引で損益認識されるタイミング6つを事例付きで紹介

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仮想通貨の売却などで利益が出た場合、税金が発生します。原則として、20万円を超える所得があった場合は、確定申告を行い税額を確定させることが必要です。ただし、確定申告が必要になる所得のラインは、メインとなる収入源の種類などにより異なります。

この記事では、仮想通貨の取引で税金の支払い義務が発生する主なタイミング6つを事例付きで解説するとともに留意点も併せて紹介します。

目次

  1. 仮想通貨の取引で税金の支払い義務が発生する主なタイミング6つ
  2. 仮想通貨の取引で発生する税金について覚えておきたいこと
  3. 仮想通貨取引の利益発生のタイミングを理解して正しく申告しよう

仮想通貨の取引のなかで税金がかかる主なタイミング6つ

仮想通貨取引で得た利益が課税対象となるタイミングはいくつかあります。「円」として直接的な所得が発生していなくても、間接的に利益を得ている場合も税金が発生することがあるので注意しましょう。 
なお、所得とは、利益から必要経費を差し引いた金額のことです。必要経費として認められる内容については以下の記事でも紹介しています。

では、仮想通貨の取引で損益認識される主なタイミング6つを事例とともに紹介します。        
※以下の<事例>では仮想通貨の売買手数料については考慮していません。

①仮想通貨を売却した

仮想通貨を売却した時点で損益が発生し、売却したときの価格が購入したときの価格よりも高額である場合、利益が生まれているので課税対象になります。なお、仮想通貨を売却した「円」を実際に出金したかどうかは損益の計算に影響を与えません。

<事例>   
1BTC(ビットコイン)を300万円で購入し、1BTCが350万円のときに売却した

この場合、50万円の所得(350万円-300万円)が発生しているため、50万円が課税対象金額となります。

②仮想通貨同士を交換した

仮想通貨同士を交換する際に、購入時の価格よりも交換時の価格の方が高い場合、その差額が利益となります。
例えば以下の事例の場合、BTCを使ってETHと交換しているため、「BTCを売却した」とみなされます。

<事例>   
1BTCを300万円で購入し、後日1BTCを20ETH(イーサリアム)と交換した。このときの1ETHは20万円だった

300万円で購入した1BTCを20ETHと交換した場合、交換で手に入れたイーサリアムは400万円です(20万円×20ETH)。300万円のビットコインで400万円のイーサリアムを交換したことになるので、100万円の利益が発生し課税対象となります。

③仮想通貨で決済をした

仮想通貨で商品やサービスなどの購入したときも、購入価格と決済時の価格の差額が利益となります。このケースでも、仮想通貨で商品やサービスを購入する前に、一度仮想通貨を売却し、売却したお金で購入したと考えられるためです。

<事例>   
1BTCを300万円で購入後、380万円の商品を購入し決済した

仮想通貨で決済をした際の所得額は、「商品・サービスの決済時価格-仮想通貨の取得価格」で計算します。   
したがって、80万円(380万円-300万円)の利益が発生していることになります。

④ステーキングやマイニングなどによる報酬をもらった

マイニングにより仮想通貨を取得した場合、取得時点で損益が発生します。   
ただし、マイニングを行うために必要なパソコンやソフトウェアなどの購入費用や電気料金など、必要経費は利益から差し引くことが可能です。

また、ステーキングで受け取った報酬も取得時点で損益が発生します。取得価格は、報酬受け取り時の時価です。ステーキングでも必要経費は利益から差し引くことできますが、実際にはステーキング専用のパソコン購入費用や手数料などしか該当しません。そのため、利益のほとんどが課税対象になることが多いです。

<事例>   
マイニングにより1BTC(300万円)を取得した。パソコン購入費用に30万円かかった

マイニングで取得した所得は、「マイニングによる取得時の時価-必要経費」で計算します。   
したがって、270万円(300万円-30万円)の所得があることになり課税対象になります。

⑤レンディングによって利子をもらった

仮想通貨をレンディングしているだけでは利益が発生しませんが、レンディングの報酬を受け取った際に、受け取り時点での時価が利益として発生します。

レンディングや、先に解説したマイニングやステーキングは、実際に「円」に換金していなくても、税金を支払う必要があることになります。

<事例>   
1BTC=300万円のときにレンディング報酬として0.05BTCを受け取った

このケースでは、15万円(300万円×0.05BTC)の所得を得たことになります。

⑥取引所以外で仮想通貨のやり取りをした

仮想通貨取引を取引所以外で行う場合も、利益が発生し課税対象になることがあります。   
たとえば、次のようなケースが考えられます。 


● 家族などに仮想通貨を低額譲渡(または無償譲渡)した   
● 友人などと仮想通貨の貸し借りをした   
● 仮想通貨の取引を取引所を仲介せずに行った など

このようなケースでは、取引した金額によっては贈与税の対象になることがあります。

<事例 >    
100万円で購入した1BTCを、後日100万円で家族に譲渡した。このとき、1BTCは300万円だった

取得価格と売却価格が同額ですが、売却時の時価が1BTC=300万円なので利益が発生していると考えられます。

時価よりも低額で譲渡が行われることを「低額譲渡」といい、時価の70%以下の価格で取引された場合に低額譲渡に該当します。   
この場合は、300万円×70%=210万円なので、210万円以下で譲渡された場合に低額譲渡に該当することになります。

実際の収入は「売却価格+(時価の70%相当額との差額)」で計算します。

実際の収入=100万円+(210万円-100万円)=210万円   
所得金額=総収入額-譲渡原価=210万円-100万円=110万円

したがって、110万円の利益が発生していることになります。

仮想通貨の税金や確定申告の基礎知識はこちらの記事をチェック

仮想通貨の取引で発生する税金について覚えておきたいこと

仮想通貨の取引で発生する税金に関して、覚えておくと役立つことがあります。「損益通算」といった節税に効果的な方法や、申告漏れなどの際に科されるペナルティについて解説します。

雑所得で総合課税の対象区分であれば損益の通算が可能

仮想通貨取引で得た利益は、所得税法上、雑所得に区分され、ほかの総合課税(給与所得や事業所得など)と合算して税額が計算されます。             
仮想通貨で得た利益はほかの所得と損益通算することはできませんが、同じ雑所得で総合課税の対象であれば損益通算が可能です。たとえば、ビットコインで損失が出てもイーサリアムで利益が出ている場合、損失と利益を相殺することが可能です。そのほかにも、アフィリエイト収入や海外FXなどとも損益通算が可能で、合算した合計所得から税金が計算されます。

確定申告に漏れがあるとペナルティが発生する

仮想通貨の取引で利益を得たにも関わらず確定申告を行わなかった場合は「無申告」扱いとなり、懲役または罰金が科されます(併科の場合もあり)。なお、意図的に無申告だった場合はもちろんのこと、申告することを知らなかった場合でも同じペナルティが科される可能性があります。

また、確定申告を行っていても利益を意図的に少額に不正(過少申告)した場合、無申告と同様に懲役または罰金が科されます。不正申告した金額が高額なほどペナルティも大きくなります。

このように、無申告や過少申告は刑罰が科される可能性がありますが、さらに、「延滞税」や「過少申告加算税」、「無申告加算税」、「重加算税」といった追徴課税を支払うことになります。

このようなペナルティを受けないためにも、仮想通貨で得た損益は正確に計算し、期限内に確定申告をすることが大切です。

仮想通貨の確定申告漏れで起こるペナルティについて詳しくはこちらをご覧ください。

なお、仮想通貨取引で得た所得に対する税金や税率について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

仮想通貨取引の利益発生のタイミングを理解して正しく申告しよう

仮想通貨取引で得た利益には、原則として税金がかかります。利益が発生するのは、仮想通貨の売却時や交換時、マイニングによる報酬を得た時などいくつかタイミングがあります。

利益を得ているにもかかわらず確定申告をしなかったり、利益を過少申告したりすると、ペナルティを受ける可能性があります。仮想通貨取引で得た利益についてはきちんと申告し、適正な税金を納めることが大切です。

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