仮想通貨(暗号資産)の課税タイミングとは?損益が発生する代表的なケース5つを紹介

仮想通貨(暗号資産)の取引で利益を得た場合、税金が発生する場合があります。

この記事では、仮想通貨(暗号資産)の取引で「損益」が発生する主なタイミング5つを事例付きで解説するとともに、所得の計算方法や確定申告との関係について解説していきます。

なお、「所得」とはここでは例えば仮想通貨(暗号資産)取引による「損益」から経費等を差し引いた税務上の金額のことです。従って、所得を把握するためには仮想通貨(暗号資産)取引における「損益」が発生するタイミングを正しく理解しておくことが必要不可欠なのです。

<この記事でわかること>

・仮想通貨取引で課税対象となる代表的なタイミング
・損益計算・所得算出の流れ
・確定申告における注意点
・ステーブルコインの税務上の扱い
・正しく申告するためのポイント

目次

  1. 仮想通貨(暗号資産)の取引で損益が発生するのはどんなとき?
  2. 仮想通貨(暗号資産)の損益計算・所得算出の流れ
  3. 仮想通貨(暗号資産)の損益計算・確定申告における注意点
  4. 仮想通貨取引の利益発生のタイミングを理解して正しく申告しよう
  5. ステーブルコイン(USDT等)は課税タイミングの対象になるか
  6. よくある質問(FAQ)

仮想通貨(暗号資産)の取引で損益が発生するのはどんなとき?

それでは、仮想通貨(暗号資産)の取引で損益が発生するのはどのようなときなのでしょうか。

購入した仮想通貨(暗号資産)の価格が値上がりしたり値崩れしたりすれば、感覚的に「儲かった」「損をした」と感じることでしょう。しかし個人の税務上では、こうした価格変動だけで損益が生じたとは見なされません。

仮想通貨(暗号資産)の税務上の損益は、利益が確定したと見なされるタイミングで発生するのです。

代表的な5つのタイミングについて、見ていきましょう。

①仮想通貨(暗号資産)を売却したとき

仮想通貨(暗号資産)を売却した場合、売却価格と元々の購入価格の差額によって利益または損失が発生します。

<事例> 1BTC(ビットコイン)を1,000万円で購入し、1BTCが1,300万円のときに売却した

この場合、300万円の利益 (1,300万円 - 1,000万円)が発生したものと見なされます。

なお、この損益はあくまでも売却取引を行った時点で発生する点に注意が必要です。

売却して得た日本円を実際に銀行口座へ送金したかどうかは関係ありません。

②仮想通貨(暗号資産)を他の仮想通貨(暗号資産)と交換したとき

ビットコインをイーサリアムに交換する(BTC / ETHペアの取引)など、仮想通貨(暗号資産)同士を交換する取引を行った際も、損益が発生します。 仮想通貨(暗号資産)を売却したときと同様に、売却価格(その時点の時価)と元々の購入価格の差額が損益と見なされます。

<事例> 1BTCを1,000万円で購入し、後日その1BTCを1,400万円相当のイーサリアムと交換した

この場合、取引によって400万円の利益(1,400万円 - 1,000万円)が発生したものと見なされます。

通常、仮想通貨(暗号資産)同士の交換取引は取引時点のレートに基づいて等価になる数量で行われるため、「同じ価値の仮想通貨(暗号資産)同士を交換しただけで、損益は生じていない」と感じてしまいがちです。

しかし、税務上の考え方は異なります。上記事例の場合、「1,000万円で購入したビットコインを1,400万円で売却し、それによって得た日本円を使って1,400万円相当のイーサリアムを購入した」取引と見なされるため、「① 仮想通貨(暗号資産)を売却したとき」と同様に損益が生じるのです。誤解しやすいポイントですので注意しましょう。

③仮想通貨(暗号資産)で商品やサービスを購入したとき

仮想通貨(暗号資産)を決済に利用したときも、損益が発生します。 決済に利用した仮想通貨(暗号資産)の、決済時の時価と元々の差額が損益と見なされるのです。

<事例> 1BTCを1,000万円で購入後、その1BTCを1,200万円相当の商品購入代金として支払った。 通常、日本円で商品を購入した場合にこうした損益は発生しないため、つい見落としてしまいがちです。

しかし、仮想通貨(暗号資産)は価格変動のある資産であるため、決済利用であっても「①仮想通貨(暗号資産)を売却したとき」と同様に損益が生じるのです。

④キャンペーンや報酬などで仮想通貨(暗号資産)を受け取ったとき

仮想通貨(暗号資産)の取引を行っていると、キャンペーンや報酬などで仮想通貨(暗号資産)を受け取るケースがあります。

<例>

・仮想通貨(暗号資産)取引所の口座開設キャンペーンやエアドロップなど、無償で仮想通貨(暗号資産)を受け取った ・マイニングやステーキング、レンディングなどの報酬として仮想通貨(暗号資産)を受け取った

このようなケースでは、仮想通貨(暗号資産)を受け取った時点の時価がそのまま利益と見なされます。 ただし、取引所に上場される前の新しい仮想通貨(暗号資産)のエアドロップなど、受け取った時点で仮想通貨(暗号資産)の市場価値がない場合の利益は、ゼロとなります。

なお、ロックアップ付きの仮想通貨を受け取った際の税金計算についてはこちらの記事もご覧ください。

⑤仮想通貨(暗号資産)を第三者へ送金したとき

取引所での売買・交換や、商品・サービスの購入取引など以外による仮想通貨(暗号資産)の送金によっても、税務上の損益が発生する場合があります。 例えば、仮想通貨(暗号資産)を無償で譲渡した場合でも、税務上は時価で売却して得た日本円を譲渡するのと同じと見なされるため、その時点の時価と取得価額との差額が「利益(譲渡所得)」として課税対象になります。

<事例>

30万円で購入した1ETHを、時価40万円の時に第三者へ無償譲渡した。

この場合、この取引によって10万円の利益(40万円 - 30万円)が発生したものと見なされます。

ただ無償譲渡しただけなのに税務上は利益を得たことになってしまうという、一見するとおかしくも思える状態ですが、税務上の損益はあくまでも日本円換算で行われます。30万円で購入した1ETHを40万円で売却し、それによって得た日本円(40万円)を無償譲渡したと見なされるのです。

このように、仮想通貨(暗号資産)における税務上の損益が発生するタイミングは、感覚的な損得感覚とは異なる場合が少なくありません。基本的なパターンを覚えて、間違えることのないようにしましょう。

仮想通貨(暗号資産)の損益計算・所得算出の流れ

これまでご説明したようなタイミングで仮想通貨(暗号資産)取引などにより発生した所得は、損益計算をして確定申告を行います。

その算定方法で使用されるのが「総平均法」と「移動平均法」です。個人の場合は申請をしない限り「総平均法」が適用されます。

ここでは総平均法を用いることを前提に、この流れを、もう少し具体的に見ていきましょう。

ステップ1. 年間の全取引を集計し、実現損益を算出(総平均法の場合)

そもそも、個人の税金(所得税・住民税)は毎年1月1日~12月31日までの1年間を対象期間となります。 そのため、年間の損益を算出するためには1年間に行った全取引の損益計算を行い、その結果を集計しなければなりません。 仮想通貨(暗号資産)の損益計算の基本式は下記のとおりです。

譲渡価格(譲渡単価 × 数量) - 譲渡原価(取得単価 × 数量) = 損益

この数式が示すように、損益を計算するためには仮想通貨(暗号資産)の譲渡原価を把握しておく必要があります。

「総平均法」とは、1年間に行った購入や取得の取引をすべて平均して原価(取得単価)を計算し、それを全ての売却取引等に一律で適用するというものです。つまり、その年の最後の購入・取得取引を終えるまでは原価が確定せず、原価が確定したあとにまとめて損益計算を実施するのが特徴です。 なお、取引の都度、原価を計算する「移動平均法」との違いについて、詳しい計算方法については関連記事で解説していますので、ご参照ください。

総平均法・移動平均法どちらがお得?自分に合う仮想通貨の損益計算法

損益計算はコインごとに行い、合計して年間の損益が算出できます。

ステップ2.経費を差し引いて所得額を確定

仮想通貨(暗号資産)取引に直接関連する費用は、必要経費として損益から差し引くことができます。例えば、以下のようなものが経費に計上できる可能性があります。

● 仮想通貨(暗号資産)の売買にかかる取引手数料
● 取引履歴の取得や計算に使用するツール・ソフトの利用料
● マイニングにかかる電気代 など

こうした必要経費についても1年分を集計し、前項で算出した仮想通貨(暗号資産)の損益から差し引くことで、1年間の所得額を算出することができます。 経費計上が可能な費用はあらかじめ漏らさずに集計・管理しておくことで、税金額を圧縮することにも繋がるでしょう。

仮想通貨(暗号資産)の損益計算・確定申告における注意点

仮想通貨(暗号資産)取引による所得は多くの場合、「雑所得」に分類されます。 「雑所得」は税務上の特典が少ない所得区分として知られており、以下の点に注意しておくといいでしょう。

ほかの所得と「損益通算」ができない、「赤字繰り越し」ができない

「雑所得」は他の所得区分の損益と相殺する「損益通算」をすることが認められていません。ただし、同じ総合課税の雑所得同士や仮想通貨同士の場合は損益通算が可能です。

また、損失を翌年以降に繰り越す「繰越控除」も認められていません。

つまり、仮想通貨(暗号資産)の赤字を給与所得と相殺して節税することはできませんし、仮想通貨(暗号資産)の赤字を翌年以降に繰り越して控除することもできませんので注意しましょう。

所得が一定以上あると確定申告・納税の対象になる

算出された仮想通貨(暗号資産)取引による所得が一定額を超えると、確定申告と納税が必要になります。確定申告が必要な条件は、本人の立場や状況によって異なりますが、大まかに次のように考えることができます。

サラリーマンが副業として仮想通貨(暗号資産)取引を行っている場合

会社員や公務員などの給与所得者(サラリーマン)が副業として仮想通貨(暗号資産)取引を行っている場合、仮想通貨(暗号資産)取引による所得が年間20万円を超えた場合に確定申告が必要になります。

この場合、勤務先で行っている「年末調整」とは別に改めて確定申告を行う必要がありますので注意しましょう。

個人事業主や専業主婦(夫)、学生などが仮想通貨(暗号資産)取引を行っている場合

給与所得者以外が仮想通貨(暗号資産)取引を行った場合、全体の所得が基礎控除額を超えると確定申告が必要になります。なぜ基礎控除額が基準になるのかというと、合計所得金額が2,350万円以下の個人には基礎控除が認められており、仮想通貨(暗号資産)取引を含む所得全体が基礎控除額を超えると税金がかかる可能性が生じるためです。基礎控除額は令和7年度・令和8年度の税制改正で引き上げられており、令和8年分は合計所得金額489万円以下で104万円です(金額は合計所得金額の区分により異なります)。

なお、仮想通貨の税金計算と確定申告については、こちらの記事でもわかりやすく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。

仮想通貨取引の利益発生のタイミングを理解して正しく申告しよう

この記事では、仮想通貨(暗号資産)取引で損益が発生するタイミングについて、事例を添えながら解説してきました。

正しく所得額を算出しないと、確定申告の要否を誤ったり、誤申告によって追徴課税などの重いペナルティを課せられる可能性も否定はできません。とはいえ、仮想通貨(暗号資産)取引の損益のタイミングを理解し、その上1年間の取引を全て日本円換算しながら損益計算するのは大変な作業となります。

そうした場合に有効なのが仮想通貨(暗号資産)専門の損益計算ツールを利用することです。

例えば、「クリプタクト」であれば、国内外130カ所以上の取引所などから取引履歴を取り込み、日本円に換算しながら自動的に損益が算出可能で、「総平均法」と「移動平均法」のどちらにも対応しています。

「クリプタクト」は年間50件までであれば無料でご利用いただけますので、仮想通貨(暗号資産)の損益計算・税金対策についてご検討中の方は、ぜひこの機会にお試しください。

ステーブルコイン(USDT等)は課税タイミングの対象になるか

USDTやUSDCなどのステーブルコインも税務上は仮想通貨(暗号資産)として扱われます。そのため、日本円などの法定通貨と価値が連動していても、他の仮想通貨と同様に「売却」「他の仮想通貨との交換」「決済への利用」のタイミングで課税対象の所得が発生する可能性がある点に注意が必要です。

特に、複数の取引所間でステーブルコインを介して資金を移動させている場合、意図せず「交換」とみなされる取引が発生していることがあるため、取引履歴を正確に記録・計算することが重要です。

よくある質問(FAQ)

Q. 仮想通貨を保有しているだけで税金はかかりますか?

A. いいえ。売却や交換、決済利用など利益を確定するタイミングで課税されます。

Q. 仮想通貨同士の交換でも税金はかかりますか?

A. はい。ある仮想通貨を別の仮想通貨に交換した時点でも課税対象になります。

Q. ステーブルコインも課税対象になりますか?

A. はい。法定通貨と連動していても税務上は仮想通貨として扱われます。

Q. マイニングやステーキングの報酬にも税金はかかりますか?

A. はい。取得した時点の時価で所得を認識する必要があります。

Q. 損益計算はどう進めればよいですか?

A. 取引履歴をすべて記録し、損益計算ツールで所得を算出するのが確実です。

損益計算やその年の税額シミュレーションを効率化したい方は、クリプタクトへの無料登録もご検討ください。

本記事の税率・課税方式に関する記述(雑所得・総合課税・最大55%程度など)は、2026年8月時点で現行の制度に基づいています。ただし、2025年12月公表の令和8年度税制改正大綱により、暗号資産(仮想通貨)を分離課税(一律20%:所得税15%+住民税5%)とする改正が既に法制化されており、2026年3月に改正法が成立・公布済みです。適用開始は「金融商品取引法の改正法施行日の属する年の翌年1月1日」とされ、早ければ2028年1月以降の取引から新制度が適用される見込みです(金融商品取引法等の改正法は2026年7月に成立・公布済みで、施行は2027年中の見込みです。施行時期により適用開始年が変動します)。

そのため、本記事で解説している「総合課税・最大55%」等の内容は、あくまで2026年8月時点の制度である点にご留意ください。最新の制度動向は、仮想通貨の分離課税、令和8年度与党税制改正大綱でどう変わるかや国税庁の公表情報でご確認ください。

所得税の基礎控除は、令和7年度・令和8年度の税制改正により従来の48万円から引き上げられています。令和7年分は58万円(合計所得金額に応じて最大95万円)、令和8年分は最大104万円(合計所得金額489万円以下の場合)で、489万円超655万円以下は67万円、655万円超2,350万円以下は62万円です。個人住民税の基礎控除は43万円のまま変更されていません。また、扶養親族・同一生計配偶者の合計所得金額要件も48万円以下から58万円以下に、勤労学生は75万円以下から85万円以下に引き上げられています。控除額は合計所得金額の区分によって変わるため、ご自身に適用される金額は国税庁の公表情報でご確認ください。