イーサリアム(ETH)とは?ホワイトペーパーから読み解く特徴や将来性について解説

イーサリアム(ETH)は、ビットコインに次ぐ知名度と時価総額をもつ代表的な仮想通貨(暗号資産)です。ただ「名前は知っているけれど、ビットコインと何が違うのかよくわからない」「保有しているものの、どんな特徴がある通貨なのか説明できない」という方も多いのではないでしょうか。

2015年に登場したイーサリアムは、アプリを動かすためのプラットフォームとしての「Ethereum」と、そのプラットフォーム上で使われる通貨としての「ETH」という2つの側面を持っています。ビットコインと同じく代表的な仮想通貨のひとつとして知られていますが、独自の仕組みをもっており、目的も特徴も異なります。

この記事では、イーサリアムとは何かという基本から、歴史・仕組み・できること・ビットコインとの違い・保有する際の税金の注意点まで、初心者の方にもわかりやすく解説します。

<この記事でわかること>

・イーサリアムの基本的な特徴
・イーサリアムの仕組み
・できること・活用先
・ビットコインとの違い
・保有する際の税金の注意点

目次

  1. イーサリアム(ETH)とは
  2. イーサリアムの歴史
  3. イーサリアムの仕組みと特徴
  4. イーサリアムでできること・活用先
  5. ビットコインとの違い
  6. イーサリアムを保有する際の税金の注意点
  7. イーサリアムならではの課題
  8. イーサリアムの将来性
  9. よくある質問(FAQ)
  10. まとめ

イーサリアム(ETH)とは

イーサリアムとは、ブロックチェーン上に「スマートコントラクト」と呼ばれるプログラム機能を組み込んだ、分散型アプリケーションのプラットフォームです。そのプラットフォーム上で取引される通貨が「ETH(イーサ)」で、一般的にはプラットフォームも通貨もまとめて「イーサリアム」と呼ばれています。

アルトコインの代表格としてのイーサリアム

ビットコイン以外の仮想通貨は、まとめて「アルトコイン」と呼ばれています。アルトコインには、イーサリアム(ETH)をはじめ、リップル(XRP)やソラナ(SOL)など、さまざまな種類があります。

イーサリアムは、そのアルトコインの中でも取引量が多く、代表的な仮想通貨のひとつです。価格の上下はあるものの、現在もビットコインに次ぐ時価総額を維持しています。

イーサリアムの最大の特徴は、スマートコントラクトと呼ばれるプログラム機能を導入し、その上でさまざまなサービスを提供できる点にあります。仮想通貨の代表的な存在であるビットコインとは、そもそもの目的が異なります。

ビットコイン
デジタル通貨として決済や送金に使われることを主な目的としている

イーサリアム
デジタル通貨としての役割に加えて、ブロックチェーン上でさまざまなアプリを動かす「プラットフォーム」として機能することを主な目的としている

イーサリアムの概要

項目 概要
名称 イーサリアム(ETH)
登場年 2015年
発行上限枚数 無制限。ただし発行量は調整される仕組み
コンセンサスアルゴリズム プルーフ・オブ・ステーク(PoS)
主な用途 分散型アプリケーション、金融サービスなど

プラットフォームとしての「Ethereum」と通貨としての「ETH」

イーサリアムには、アプリを動かすためのプラットフォームとしての役割と、そのプラットフォーム内で使われる通貨「ETH(イーサ)」としての役割の2つがあります。

例えるなら、「イーサリアム=商品のブランド」「通貨ETH=アプリ内の課金に使うお金」とイメージするとわかりやすいかもしれません。ニュースなどで「イーサリアムが値上がりした」と語られるときは、通貨としてのETHの価格を指しているのが一般的です。なお、この記事でも、通貨としてのイーサリアムを「イーサリアム(ETH)」と表現しています。

イーサリアムの歴史

イーサリアムは2015年に誕生し、すでに10年前後の歴史を積み重ねてきました。ここでは、ビットコインに次ぐ規模を誇るイーサリアムのこれまでの歩みを、年ごとに振り返ります。

2015年:イーサリアムの運用が始まる

2015年に初めてプラットフォームが正式に公開され、同時に通貨「ETH」も流通し始めました。運用が始まったプラットフォームの最初期バージョンは「フロンティア(Frontier)」と呼ばれています。

先ほどの例えを続けるなら、「フロンティア=バージョンごとの規格名」にあたります。フロンティアには、プログラムを自動で実行する「スマートコントラクト」という仕組みが導入されましたが、この段階では主に開発者向けであり、一般の利用は限定的でした。

2016年:初めてのアップデートとTHE DAO事件

2016年には、イーサリアムで初めての大型アップデートが行われ、ネットワークの安定性とセキュリティが大幅に改善されました。このアップデートは「ホームステッド(Homestead)」と呼ばれています。ホームステッドへの移行が完了すると、さまざまなプロジェクトが参入し始め、さらに注目を集めました。

しかし同年6月、資金調達プロジェクト「THE DAO」で約360万ETH(当時の価格で約52億円)が盗まれるという、大規模なハッキング事件が発生します。

この教訓を活かし、翌年には「メトロポリス(Metropolis)」アップデートが実施され、機能の追加やセキュリティ強化が図られました。

2017年:NFTブームが到来

NFT(非代替性トークン)は、「唯一無二のデータ」を意味します。これまでデジタルデータは、本物とコピーの区別がつきませんでしたが、NFTによって画像・動画・音楽・ゲームのアイテムなどのデジタルデータに、「これは世界に一つだけ」という証明をつけられるようになりました。

以降、ゲームや音楽、アートといった分野で希少価値や唯一性をもたせることができるようになり、NFTブームが到来しました。

実はこのNFTの多くは、イーサリアムの技術である「スマートコントラクト」を使って作られています。そのため、イーサリアムの需要が高まり、価格も大きく上昇しました。

2021年:NFTブームが再来

2017年のNFTブームのあと、資金調達の規制が強化されたり、過熱感が薄れてきたりしたこともあり、NFT市場は一旦落ち着きました。しかし、2021年になるとデジタルアートの高額落札やメタバースの拡大、ゲーム内NFTの普及などにより、再びNFTブームが到来します。

NFTブームの再来に伴い、基盤として使われるイーサリアムの需要も再び高まりました。加えて、仮想通貨業界全体のバブル期でもあったため、イーサリアムは過去最高値を記録し、2017年のブーム時を大きく超える価格水準となりました。

2022年:NFTバブル崩壊

一時は初期のブームを超えるほどの盛り上がりを見せたNFT市場ですが、再来したブームも長くは続きませんでした。翌年の2022年には、NFT市場の過熱感が一気に冷え込み、取引量はピーク時の半分以下に減少しました。

また、NFTの価格も大きく値下がりし、人気を集めたNFTゲームなども軒並み暴落しています。たとえば、NFTコレクション「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」やNFTゲーム「Axie Infinity」なども、2021年に数百万円で取引されていたものが、2022年には数十万円以下にまで落ち込むケースが相次ぎました。

こうした急速な冷え込みに加え、同時期に仮想通貨取引所FTXが破綻します。その結果、NFT市場を含む仮想通貨全体の信用不安が広がり、バブル崩壊といわれる状況となりました。

イーサリアムの仕組みと特徴

イーサリアムは、条件を満たすと自動で取引や契約を実行できる「スマートコントラクト」や、取引データを正しく管理するための「コンセンサスアルゴリズム」の仕組みが用いられているのが大きな特徴です。

ここからは、イーサリアムの仕組みや特徴を、順を追って紹介します。

イーサリアムの取引に欠かせない「スマートコントラクト」

スマートコントラクトとは、あらかじめ設定した条件を満たすと、自動で取引を実行してくれる仕組みのことです。

たとえば、通常のネットショッピングでは、買い手と売り手の間に銀行や金融機関、決済サービスなどの仲介者が入り、支払いと商品の受け渡しを管理しています。しかし、スマートコントラクトでは仲介者がいません。「Aさんが商品を受け取ったら、Bさんにお金を支払う」といった取引を、仲介者を介さずにブロックチェーン上で自動化して実行します。

これが、イーサリアムの最大の特徴であるスマートコントラクトです。取引が自動化されることで、手数料の削減や取引スピードの向上が期待できるため、金融サービスやNFTなど、さまざまな分野で活用されています。

なお、スマートコントラクトという概念自体はイーサリアムの発明ではなく、1994年にニック・ザボ(Nick Szabo)によって提唱されたものです(参考:Smart Contracts/Nick Szabo, 1994)。仲介者を必要とせず、契約条件を自動的に執行することで、契約内容の改ざんや契約の不履行による損失を防ぎ、取引期間の短縮や人件費の削減といった経済的なメリットを生むという考え方です。イーサリアムのスマートコントラクトは、このビジョンをブロックチェーン上で実現したものといえます。

こうした性質から、ethereum.orgのYouTubeではイーサリアムを「ワールドコンピューター」と呼んでいます。イーサリアムがブロックチェーン技術上に構築されたアプリケーションであり、特定の国の規制や管理者に依存せず、個々人が利用できるシステムであることから、世界で使えるコンピューター、つまり「ワールドコンピューター」と表現しているのです。

独自のトークン規格「ERC」を採用

イーサリアムでは、公式通貨であるETHのほかに、イーサリアム上で新しいコインを作ることもできます。そのときに活用されるのが「ERC」です。これは、新しいコインを作るためのルールやマニュアルのようなもので、ERCに基づいて作られたコインは「ERCトークン」と呼ばれます。

代表的な規格には「ERC-20」と「ERC-721」があり、「ERC-20」は主に仮想通貨の規格、「ERC-721」はNFTの規格として用いられています。たとえば「ERC-20」の規格に沿って作れば、誰でも同じ仕様のトークンを発行でき、さまざまなウォレットや取引所で取引可能です。

ERCという共通ルールがあることで、誰が作ったトークンでも同じように取引ができ、安心して使えるようになっています。

イーサリアムのコンセンサスアルゴリズムの変化

コンセンサスアルゴリズムとは、ブロックチェーン上で取引データが正しいことを参加者みんなで確認し、合意する仕組みのことです。なお、ブロックチェーンとは、取引データを「ブロック」と呼ばれる箱にまとめ、鎖のようにつなげて記録・保存する仕組みをいいます。

仮想通貨取引は銀行預金と異なり、国や金融機関などの中央管理者がいません。そのため、改ざんや間違った取引データが記録されないよう、取引情報はネットワーク上で誰でも確認できるようになっています。しかし、共有しただけではデータが正しいかどうかはわかりません。

そこで、ブロックごとに「正しい」とされる条件を設け、共有された取引情報が正しいかどうかを世界中の参加者で確認し、「確かに正しい」と認められたものだけが新しいブロックとして追加されます。この仕組みがコンセンサスアルゴリズムです。

コンセンサスアルゴリズムはいくつか種類があり、仮想通貨によって異なります。

プルーフ・オブ・ワーク(PoW)
ビットコインをはじめ、多くのアルトコインに使われているアルゴリズム。マイナーと呼ばれる人やコンピューターが大量の計算をして取引の正しさを証明する仕組み。

プルーフ・オブ・ステーク(PoS)
イーサリアムで現在使用されているアルゴリズム。大量の計算をする代わりに、ユーザーが自分のETHを預けて、ネットワークの運営や取引の承認に参加する仕組み。

イーサリアムでは、もともとビットコインと同じPoWを採用していましたが、多大な計算量を必要とするため電力消費が大きいという課題がありました。そこで、計算量ではなく預けている通貨量に応じてブロックの生成権を与えるPoSへの移行を計画し、2022年9月に完了させました。

PoSへ変更したことで電力消費が大幅に削減され、誰でもステーキングに参加して報酬を得ることが可能になりました。加えて、51%攻撃(悪意のマイナーが計算量の過半数を占めることでブロックチェーンを支配できる問題)も発生しにくくなったと考えられています。PoSで51%攻撃を実行するには通貨量の過半数を保有する必要があり、実現性が極めて低いためです。

イーサリアムの「ステーキング」とは

ステーキングとは、自分のETHを一定期間預けることでネットワークの運営に参加し、ブロックの承認者に選ばれると報酬が得られる仕組みです。一連の流れは以下のようになっています。

  1. ネットワークの運営に参加するために、自分のETHを預ける
  2. 同じように自分のETHを預けている人の中から、取引の承認作業(バリデーター)を行う人がランダムで1人、または複数人選ばれる
  3. 選ばれた人が「ブロックが正しい」と承認すると報酬としてETHが支払われる

なお、ビットコインでは、計算問題を解いてブロックを作成する「マイナー」に報酬が支払われる「マイニング報酬」という仕組みが使われています。マイニング報酬はPoW、ステーキング報酬はPoSの仕組みのもと行われるものなので、似て非なる報酬だといえます。

オープンソースの開発体制とセキュリティ

イーサリアム(ETH)は有志の人々によって支えられたオープンソースの仮想通貨であり、その発展を後押しするための強力なコミュニティによって自律的に運営される体制となっています。

その中心的な存在として、イーサリアム財団(Ethereum Foundation)とethereum.orgが挙げられます。イーサリアム財団は、ETHのICO(Initial Coin Offering、つまり暗号資産新規発行による資金調達)によって設立された非営利団体です。Devconと呼ばれるイーサリアム開発者たちの年次総会を主催しており、イーサリアムの各種開発プロジェクトへ財政支援などのサポートも行っています。

そしてethereum.orgはイーサリアム財団からの財政支援を受けて、イーサリアム(ETH)の広報や教育、開発支援などのサービスを提供しています。Webサイトは日本語にも対応していますので、イーサリアム(ETH)に関する正確で充実した情報源を探している場合は、まず最初に確認したいサイトと言えるでしょう。

なお、こうしたプロジェクトの設計思想は「ホワイトペーパー」と呼ばれる説明資料にまとめられています。イーサリアムのホワイトペーパーには、開発目的やアルゴリズム、発行に関する考え方などが示されており、後述する「発行上限がない」という設計の根拠を確認する際にも参照されます。

イーサリアムでできること・活用先

イーサリアムは単に売買される通貨ではなく、さまざまな技術やサービスの基盤として活用されています。スマートコントラクトという仕組みがあるからこそ、決済以外の用途が大きく広がっているのです。ここでは、代表的な活用先を4つ紹介します。

分散型アプリケーション(DApps)の構築

DApps(ダップス)とは、「Decentralized Applications(分散型アプリケーション)」の略で、特定の企業や管理者に依存せず、ブロックチェーン上で動作するアプリのことです。

従来のアプリケーションでは、ユーザーのデータはすべて中央のサーバーに集められ、企業や管理者が管理していたため、サーバーがハッキングされたり、管理者によってサービスが停止されたりするリスクがありました。

イーサリアム上では、スマートコントラクトを利用してDAppsを構築できるため、ユーザーのデータが中央のサーバーに集まることなく、分散して管理されます。分散される分、セキュリティ性や耐障害性が高まり、安全に利用できるのが大きな特徴です。DAppsは、NFTゲームや分散型取引所(DEX)など、さまざまな分野で活用されています。

NFT発行のプラットフォーム開発

イーサリアムは、NFT(非代替性トークン)の開発や売買の基盤としても広く活用されています。

NFTは、「世界にひとつしかない」とデジタル上で証明できる仕組みです。前述のとおり、画像や音楽などのコンテンツがコピーされにくくなるため、アートや音楽、ゲームアイテムなどの分野でも「本物」や「独自のもの」として価値を持たせることが可能になりました。

実際、多くのNFTはイーサリアムの「ERC-721」などのスマートコントラクト規格を使って発行されており、NFT市場の中心的なプラットフォームとなっています。

分散型金融(DeFi)サービスの構築

DeFiとは、銀行などの仲介者を通さずに、誰でも金融サービスを利用できる仕組みのことです。日本では「分散型金融」とも呼ばれています。

DeFiでは、仮想通貨の貸し借りや交換、資産運用などが、スマートコントラクトによって自動で処理されるため、中央の管理者を通さずに利用できます。たとえば、従来の銀行では融資を受けるには審査や手続きが必要でしたが、DeFiでは、スマートコントラクト上で条件を満たせば自動で貸し借りが可能です。こうした仕組みは「レンディングサービス」や「DEX(分散型取引所)」などで活用されています。

インターネットさえあれば世界中の誰もが金融サービスにアクセスできるDeFiは、今後も利用拡大が期待されています。

トークン発行による新たな資金調達方法の提供

イーサリアムでは、ERCというトークン規格を使って、誰でも独自トークン(ERCトークン)を発行できます。さらには、ERCの仕組みを利用して独自トークンを使った資金調達が可能になりました。

こうした資金調達方法は、スタートアップ企業や新しいプロジェクトが世界中の投資家から資金を集める手段として注目されており、「トークンセール」と呼ばれています。発行されたERCトークンは、仮想通貨取引所で売買されたりDeFiなどに使われたりと、用途はさまざまです。

たとえば、ステーブルコインとして知られるDAIやUSDCなどは「ERC-20」という規格で発行されており、現在では多くのプロジェクトがこの規格を採用しています。

ビットコインとの違い

イーサリアムを理解するうえで、もっとも比較されるのがビットコインです。どちらも代表的な仮想通貨ですが、設計の出発点が異なります。

目的の違い:決済手段か、プラットフォームか

ビットコインが「価値の保存・決済手段」としての役割を重視した設計であるのに対し、イーサリアムは「スマートコントラクト」という自動実行プログラムを組み込める点が最大の違いです。この機能により、イーサリアムのブロックチェーン上ではDeFi(分散型金融)やNFTなど、多様なアプリケーションが構築されています。

つまり、イーサリアムは取引だけでなく、スマートコントラクトを活用したアプリ開発など、幅広い用途に使えるプラットフォームとして開発されました。一方のビットコインは、価値の保存や決済手段など、主にデジタル通貨としての利用を目的に作られた通貨です。「開発プラットフォームとその利用に関係する通貨のイーサリアム」と、「保存や決済など流通を目的としたビットコイン」というように、目的と用途が異なっています。

発行上限と供給の考え方の違い

ビットコインには発行上限(2,100万枚)が設定されていますが、イーサリアムには発行上限がなく、供給の考え方も異なります。ビットコインは発行上限と半減期によって希少性を担保する設計ですが、イーサリアムは発行上限を設けず、発行量が調整される仕組みを採っています。

また、新しいブロックを作る仕組みも異なります。ビットコインはPoW(プルーフ・オブ・ワーク)を採用し続けている一方、イーサリアムは2022年にPoS(プルーフ・オブ・ステーク)へ移行しました。そのため、報酬を得る仕組みも「マイニング」と「ステーキング」で分かれています。

ビットコインとイーサリアムの比較表

項目 ビットコイン(BTC) イーサリアム(ETH)
主な目的 価値の保存・決済や送金 アプリを動かすプラットフォーム+通貨
スマートコントラクト 中心的な機能ではない 最大の特徴として組み込まれている
発行上限 2,100万枚 上限なし(発行量は調整される仕組み)
半減期 あり なし
コンセンサスアルゴリズム PoW(プルーフ・オブ・ワーク) PoS(プルーフ・オブ・ステーク)
報酬の仕組み マイニング報酬 ステーキング報酬
主な活用例 送金・決済 DApps・NFT・DeFi・トークン発行

ビットコインそのものについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

イーサリアムを保有する際の税金の注意点

イーサリアムは、単に保有しているだけでなく、ステーキングやDeFi、NFTなど取引の種類が多岐にわたります。そのため、ビットコインを売買するだけの場合よりも、税金の計算が複雑になりやすい通貨だといえます。

売却・交換で利益が出た場合

イーサリアムを売却したり、他の仮想通貨・商品と交換したりして利益が生じた場合、その利益は雑所得として課税対象になるとされています。日本円に換金したときだけでなく、ETHを別の仮想通貨に交換した時点でも損益が計算される点に注意が必要です。

雑所得は総合課税の対象となり、給与などほかの所得と合算して税額が計算される取扱いになります。総合課税では所得が多くなるほど税率が上がる仕組みが採られており、住民税を含めると最大55%程度の負担になる場合があるとされています。

ステーキング報酬の扱い

ステーキングによって得た報酬も、受け取った時点の時価で所得として認識する必要があります。ETHを預けているだけで報酬が積み上がっていくため、受け取りの記録が残りにくく、集計漏れが起こりやすい部分です。

また、受け取った報酬をあとで売却した場合には、受け取り時の時価が取得価額の計算に関わってきます。報酬の受け取り日時と数量を記録しておくことが重要です。

DeFi・NFT取引を行う場合の記録

DeFiでの運用やNFT取引を行う場合は、取引の都度損益が発生し得るため、正確な記録・計算が重要です。DEXでの交換、レンディング、NFTの購入・売却など、それぞれが課税対象となる取引に該当し得ます。取引所の履歴だけではウォレット上の取引を追いきれないケースもあります。

取引件数が多くなる場合は、損益計算ツールを利用して取引履歴を一元的に集計する方法も選択肢になります。仮想通貨の税金や確定申告の基本については、こちらの記事で詳しく解説しています。

なお、税金の取扱いは取引の内容や状況によって異なります。個別の判断は税理士等の専門家にご相談ください。

イーサリアムならではの課題

イーサリアムは、スマートコントラクトやDAppsなどの活用が期待される一方で、いくつかの特有の課題も抱えています。ここでは3つの課題について解説します。

スケーラビリティと電力消費量

スケーラビリティとは、「取引やユーザーの数が増えても、スムーズに動けるか」という処理能力の大きさ・拡張性のことです。

イーサリアムでは、処理できる取引の数に限りがあるため、多くの利用者が集中すると処理が追いつかず、取引速度が低下したり、手数料が高騰したりする「スケーラビリティ問題」があります。また、スケーラビリティ問題に関連しては、電力消費量の多さも問題視されてきました。とくに、イーサリアムがPoWを採用していたときは、マイニングの計算作業に多くの電力を消費していたため、環境負荷が高いとされていました。

こうした問題に対応するため、イーサリアムは2022年にPoSへ移行し、電力消費の大幅な削減に成功しています。とはいえ、電力消費量に関する課題が完全に解決したとはいえないため、処理能力を高めるための技術開発は継続して進められており、今後の改善が期待されています。

スマートコントラクト特有の課題

スマートコントラクトは、一度設定されたら自動で動作するという強みがある反面、書き間違いや設計ミスがあると修正が困難であるというリスクがあります。また、悪意のあるコードが組み込まれていた場合でも、そのまま実行されてしまう可能性があります。

たとえば、前述の「THE DAO事件」では、多額の仮想通貨が不正に引き出されましたが、これはスマートコントラクトの脆弱性を突かれたことが原因でした。

だからこそ、高いセキュリティ対策やコードの正確性が求められており、現在も安全性を高めるための開発や監査体制の強化といった取り組みが進められています。

ガス(Gas)代の増加

イーサリアム上でスマートコントラクトを実行したり、トークンを送信したりする際には、「ガス代」と呼ばれる手数料が発生します。

ガス代は取引ごとに必要であり、ネットワークの混雑状況や取引の複雑さによって上下するため、取引が頻繁なタイミングなどでは高額になることもあり、利用者の負担になりやすいのが現状です。

ただし、2021年に実施された「EIP-1559」というアップグレードでは、ガス代の仕組みに変更が加えられ、ガス代を予測しやすくする仕組みが導入されました。更なる改善に向けた取り組みも進められています。

イーサリアムの将来性

イーサリアムの将来性を考えるうえでは、発行上限をめぐる論点、公開されているロードマップ、そして仮想通貨全体にかかる規制強化の動きという3つの視点があります。

発行上限がないという論点

イーサリアムの将来性を考える際に、論点としてあげられるのが「発行上限」です。イーサリアムには発行上限が設定されていません(すなわち半減期もありません)。世界初の仮想通貨であるビットコインは発行上限と半減期によって希少性を担保する考え方で作られていますが、それらが無いイーサリアムでは流通量が増え続けて価値が希釈していくのではないかと、その将来性を心配する声もあります。

しかし、イーサリアムのホワイトペーパーでは、仮想通貨は不注意や保有者の死亡などによって一定量が常に喪失されていくため、むしろ永続的に発行されるからこそ流通量が安定するとの考えが示されています。

今後のロードマップ

このように将来の持続可能性についても深く考慮されているイーサリアムですが、今後も更なるアップグレードが予定されており、ethereum.orgのWebサイトにはそのロードマップが公開されています。

例えば、イーサリアムの普及によって生じたスケーラビリティ問題(利用者過多による送金遅延やコスト高騰)への対策として、シャーディングと呼ばれる技術の導入を含む大型アップデートが検討されています。これによって送金コストの大幅な引き下げが見込まれています。

仮想通貨としてのイーサリアムの利便性や許容量が改善されることは、ネットワークの利用拡大につながると期待されています。

規制強化の動きと今後の注目点

NFTブームの広がりやDeFi(分散型金融)の発展に際しては、イーサリアムのブロックチェーンがその受け皿として人気を博してきました。加えて、イーサリアムのブロックチェーン上でERC-20規格に準拠した独自トークンを誰でも簡単に発行できることも、イーサリアムの発展に大きく寄与していると言えるでしょう。

一方で、仮想通貨の影響力が高まるにつれてマネーロンダリングやテロ資金供与への対策強化が求められており、仮想通貨送金時の利用者確認を厳格化する「トラベルルール」の導入など、日本や世界各国で規制強化の動きも加速しています。

トラベルルールに関する記事はこちら

今後想定されるブロックチェーン関連分野全体の市場拡大のなかで、イーサリアム自体の大規模なアップデートや規制強化などの要因が、イーサリアムのネットワークや市場にどのような影響を及ぼすかが注目されています。

よくある質問(FAQ)

Q. イーサリアムとビットコインの違いは何ですか?

A. イーサリアムはスマートコントラクトを活用したアプリ開発など幅広い用途に使えるプラットフォームとして、ビットコインは価値の保存や決済手段など主にデジタル通貨としての利用を目的に作られています。発行上限やコンセンサスアルゴリズムも異なります。

Q. イーサリアムに発行上限はありますか?

A. 発行上限は設定されておらず、半減期もありません。ただし発行量が調整される仕組みが取り入れられています。

Q. イーサリアムが「オワコン」?そう言われる理由は?

A. イーサリアムはガス代(手数料)が高騰した時期があり、その不便さから「使いにくい」と批判されることもありました。ただ、現在はPoS移行やスケーラビリティ向上の開発が進んでおり、将来性を評価する見方もあります。

Q. イーサリアムを多く保有しているのは誰ですか?

A. 保有者について正確に把握することは難しいですが、公開されている情報からは、米国のCoinbase社やBit Digital社が多く保有しているとされています。

Q. イーサリアムを売却して利益が出たら税金はかかりますか?

A. 売却や他の仮想通貨・商品との交換で利益が生じた場合、その利益は雑所得として課税対象になるとされています。ステーキング報酬も受け取った時点の時価で所得として認識する必要があります。個別の判断は税理士等の専門家にご相談ください。

まとめ

イーサリアムは単なる仮想通貨ではなく、スマートコントラクトを活用して多様なサービスを構築できる「分散型プラットフォーム」です。ビットコインが「価値の保存」を目的とするのに対し、イーサリアムは「機能の活用」に重きを置いており、NFTやDeFi、DAppsなど、さまざまな分野で活用が進んでいます。

スケーラビリティやガス代(手数料)の高さ、スマートコントラクト特有の課題などもありますが、2022年のPoSへの移行や技術開発の進展により、改善に向けた取り組みが続けられています。イーサリアムは国内の主要取引所でも取り扱われているため、保有を検討する際は、まずご自身が口座を持っている取引所が取り扱っているかを確認してみましょう。

また、イーサリアムはステーキングやDeFi、NFTなど取引の種類が多く、税金の計算が複雑になりやすい通貨です。取引を始める前に、記録の残し方や損益計算の方法もあわせて確認しておくと安心です。

今後もその他通貨についても解説記事を紹介していきますので、最新記事の更新情報を知りたい方は仮想通貨の損益計算ツール「クリプタクト」のTwitterのアカウントをフォローしてみてください。

本記事の税率・課税方式に関する記述(雑所得・総合課税・最大55%程度など)は、2026年8月時点で現行の制度に基づいています。ただし、2025年12月公表の令和8年度税制改正大綱により、暗号資産(仮想通貨)を分離課税(一律20%:所得税15%+住民税5%)とする改正が既に法制化されており、2026年3月に改正法が成立・公布済みです。適用開始は「金融商品取引法の改正法施行日の属する年の翌年1月1日」とされ、早ければ2028年1月以降の取引から新制度が適用される見込みです(金融商品取引法等の改正法は2026年7月に成立・公布済みで、施行は2027年中の見込みです。施行時期により適用開始年が変動します)。

そのため、本記事で解説している「総合課税・最大55%」等の内容は、あくまで2026年8月時点の制度である点にご留意ください。最新の制度動向は、仮想通貨の分離課税、令和8年度与党税制改正大綱でどう変わるかや国税庁の公表情報でご確認ください。