NFT(エヌエフティー)の税金とは?利益計算の方法や確定申告について紹介

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NFTの税金について、コインタックス税理士事務所 速水代表税理士に解説してもらいました。

目次

  1. NFTとは?
  2. NFTで発生する税金
  3. NFTで税金が発生するタイミング・計算方法
  4. NFTの利益の計算方法
  5. NFTの税金のまとめ

 

最近はメディア上でもよく見かける「NFT」ですが、仕組みやどのような流行を見せているのかはブロックチェーン業界を追っていればある程度ご存じかと思います。

今回はNFTについて、取引した場合の課税関係を説明します。       
少しでもNFTに関心がある方は、知っておくべき知識になると思いますので、今回はNFTに関する税金について掘り下げてみようと思います。

1. NFTとは?

そもそもNFTは、Non-Fungible Token  の略であり、日本語訳すると「非代替性トークン」になります。簡単にいうと、唯一無二であることをデジタル上で証明する仕組みのことを指します。

NFTが注目を浴びたのは、デジタルアート業界でした。    

美術館で見るようなキャンバスに描かれたアートとは異なり、デジタルアートの場合は複製が容易であり、個体の判別や、そのものに価値を付けることが難しいデメリットがありました。しかしNFTとして発表することで、その作品を所持することに価値を持たせ、実際に取引が行われるようになった背景があります。
二次流通時に製作者まで報酬が入るような機能も存在し、アートだけでなく音楽業界などのクリエイターにも広く知られるようになりました。

また、NFTゲームの流行も無視できないほどの流行を見せています。dApps(ダップス)と呼ばれるブロックチェーン上で動作させる仕組みのアプリでは、ゲーム内のキャラクターやアイテムなどがNFTとして扱われています。
従来のRPGゲームなどで使用するアイテムをゲーム内のショップに売るのではなく、実際に市場に出して売ることができるようになった、と捉えれば簡単かもしれません。
 

2. NFTで発生する税金

保有しているNFTを売却することで利益が得られるシステムは次々と生まれています。仮想通貨と同様に、利益が発生した時点で税金が発生するのはNFTも変わりません。       
しかし、少し仮想通貨とは考え方が変わってくる部分もありますので注意が必要です。


仮想通貨での利益は原則として雑所得に区分されますが、NFTでは所得区分に3つの考え方があります。雑所得、譲渡所得、事業所得です。       
自分のNFT取引がどの所得に区分されるのかは、入手経路や個人の状況によって異なりますので、税理士にご相談されることをお勧めします。
 

3. NFTで税金が発生するタイミング・計算方法

NFTの扱いや入手経路などにより発生する税金が違うことはご理解いただけたかと思います。       
ではその税金が発生するタイミングや、それぞれの計算方法はどのように処理すべきなのでしょうか。       
国税庁の見解を元に以下の例を参考に考えてみましょう。

パターン1 NFTを仮想通貨で取得したとき

こちらはOpensea等のマーケットでNFTを購入する際に、仮想通貨で代金を支払ったというパターンです。NFT購入そのものには課税は発生しませんが、NFT購入時に支払った「仮想通貨」の時価上昇に伴う課税が生じる可能性があります。  

仮想通貨の交換と同様に、NFT購入時の仮想通貨の時価が、その仮想通貨の取得時よりも高ければ、その差分が利益となりますので、仮想通貨の売却益が発生する可能性があります。

(例)NFTを1ETHで購入した。この時点のETHの時価は30万円だった。ETHは1年前に購入したもので、その時点のETHの時価は20万円だった。
→  30万円 - 20万円=10万円が利益となります。

パターン2 NFTを無償で取得したとき

また、購入以外の経路から無償でNFTを取得した場合は以下のような区分に分類されます。       
NFTの時価分を無償で得たメリットに対する課税です。  

  • 役務提供の対価として取得:事業所得、給与又は雑所得  
  • 臨時、偶発的な取得   :一時所得  
  • それ以外の取得     :雑所得

NFTを取得した時点の時価が、利益額となります。

(例)NFTを無償で取得した。この時点のNFTの時価は30万円だった。
30万円が利益となります。

なお、個人からの無償取得の場合には、贈与税の対象となりえ、かつ所得税に関して時価を取得原価とする取扱いも考えられます。ただし、NFTの無償取得に関して国税庁からの見解は発表されていないため、個別事例については税理士にご相談下さい。

パターン3 NFTを譲渡し仮想通貨を取得したとき

先程とは対照に、保有しているNFT売却の対価として仮想通貨を受け取ったというパターンです。

NFTの売却価格 - NFTの取得原価 が利益額となります。

(例)NFTを1ETHで購入した。この時点のETHの時価は20万円だった。1年後に、このNFTを1ETHで売却した。この時点のETHの時価は30万円だった。
→ 30万円 - 20万円 = 10万円が利益となります。


なお、前提として、国税庁では「NFTが仮想通貨などの財産的価値を有する資産と交換できる物である場合、その取引は所得税の課税対象になる」と見解を示しています。従って、財産的価値が無い資産と交換出来ないNFTは課税対象となりません。

では、個人がNFTゲームでアイテムを売却した際に発生する税金はどのような捉え方になるのでしょうか。

まず、NFTの譲渡(売却)ですが、その取引が営利目的かつ継続的に行われている場合には、雑所得や事業所得に区分されます。       
しかし、取引が単発的であり、たまたま譲渡したNFTの値上がり益(キャピタルゲイン)と認められる場合は、譲渡所得として区分される可能性も考えられます。       
自身がどのようにNFT取引を行っているかで所得区分が変わりますので、しっかりと認識しておきましょう。

パターン4 NFT同士を交換したとき

これまでの仮想通貨を介した取引とは違い、NFT同士の交換のように時価が存在しない資産同士の取引の課税関係は、やや煩雑になると考えられます。       
原則として、交換したNFT同士の時価の差額が、得た利益と考えられますが、そのNFTが必ずしも時価評価ができるとは限りません 。     
現実的には、交換後のNFTが最終的に時価評価可能な仮想通貨や法定通貨と取引されたタイミングで、最初のNFT取得時に係った費用の差分を利益として計算を行う方法に帰着するのではないでしょうか。

NFTに係る税金の計算方法に対する国税庁の見解は、まだまだ解釈の余地が残るところが多く、個人の取引内容や目的などから妥当と考えられる計算を行うほかありません。

法人がNFTを保有し続けた場合、期末に時価評価を行うかという論点があります。時価評価を行うためには、仮想通貨のように「活発な市場を有する」必要があるのですが、NFTが活発な市場を有している場合というのは、まだまだ少ない現状だと思われます。       
NFTの期末時価が何等かの情報により得られる場合は時価評価をお勧めしますが、現実的に取得原価のままにせざるを得ない事態も残ると思われます。

関連して、仮想通貨の期末時価課税が改正される可能性が出てきています。       
現在は期末の評価損益を課税の対象としていますが、実現利益が無い中で求められる課税であり、ブロックチェーン技術の発展を阻害するとして改正の声が挙げられていました。       
この税制について、令和5年税制改正要望には「自社発行のトークンについては、期末時価評価課税の対象外とすること」と記載されており、税制が変更される可能性があります。

参考)金融庁「金融庁の令和5年度税制改正要望について」

パターン5 流通時にプログラムされた収入を受け取ったとき

NFTの二次流通時に製作者が報酬として受け取る「ロイヤリティ」は、課税対象です。制作者の方の事業形態にもよりますが、雑所得もしくは事業所得に該当すると考えられます。

パターン6 NFTの保有者から著作権料を受け取ったとき

先程のロイヤリティと似たような印象を受けますが、ロイヤリティは各マーケットで定められた二次流通時の規定でしかなく、一種の利益を得られるシステムを利用している場合のみ生ずると考えられます。

それに対し、著作権料というのはNFTの保有者が作品の編集や複製及び販売する場合に支払う使用料です。       
NFTを購入した時点ではデータを保有している証明を得ただけであり、その作品を自由に扱って良いという意味ではありません。あくまで、著作権は製作者に帰属します。       
例を挙げると、NFTゲーム内の土地を購入したとして、その土地は誰でも見れますし管理しているのはゲーム制作者側です。あくまでも土地を購入したデータを保有しているだけです。

この保有しているデータを編集・複製を行うには、著作権者に使用料を支払う必要があります。これがこの例での著作権料となるイメージですね。       
税金の区分としてはロイヤリティと同様で、著作権者の状況によって、事業所得または雑所得に区分されると考えられます。
 

4. NFTの利益の計算方法

購入時や交換時にどのような計算方法となるか考え方をご説明しましたが、基本的に仮想通貨とは違い取引所から取引履歴が抽出できるわけではありません。       
正確に計算を行うにはそれぞれのNFTに対し、購入時の時価や支払った通貨、マーケット名など取引の詳細を随時メモするのが最善策でしょう。       
NFT毎の計算が必要になる可能性が高く、多くのNFTを所有している方は相当煩雑な計算となりますが、いざ計算を行う際に詳細情報まで記録しておけば相当に妥当といえる損益額の算出が可能です。

NFTの確定申告は必要ですか?

基本的には利益を得た場合に確定申告を行い、納税の必要があります。       
確定申告の必要性の有無は納税する対象者によって異なりますので注意が必要です。  

  • 会社員:暗号資産(NFT)取引で20万円以上の所得が出た場合  
  • 総所得金額が1,000万円以上の方  
  • 専業主婦、学生(被扶養者):暗号資産(NFT)取引で48万円以上の所得が出た場合  
  • 個人事業主:所得の金額に関係なく確定申告を実施

また、上記のような例に当てはまらなくても確定申告と納税が必要となる可能性があります。       
今回は所得税(雑所得など)の話であり、個人の所得に課される税金として住民税があります。住民税はどんな場合も申告が必要ですので、ご注意ください。       
例えば、会社員の方がNFT取引の利益が20万円以下だったために所得税の申告は不要と認識されていても、住民税の申告は必要となります。

NFTの税金を払わないときの罰金金額はいくらですか?

確定申告と納税の必要があるのに何も行わなかった場合、脱税とみなされる可能性があります。附帯税という罰金が課されるので、より多くの税金を支払う必要があります。

【無申告加算税】

原則3月15日の申告期限までに確定申告を行わなかった時に課税される加算税です。       
各年度分の納付すべき税額に対し、50万円までは15%、50万円超の部分は20%を乗じた金額が課税されてしまいます。

例外として、税務署から調査される前に自主的に納付した場合は5%分軽減されます。       
期限から1か月以内に自主的に申告する場合は、期限後の申告であっても無申告加算税は課税されません。なので、確定申告期限を超えてしまった場合でも、一日でも早い申告をお勧めします。

また、無申告加算税に関して、事実の仮装や隠蔽を行うなど悪質な不正を行い申告を行っていないことが発覚した場合、無申告加算税に加えて40%に相当する重加算税が課せられます。       
参考)No.2024 確定申告を忘れたとき|国税庁

【延滞税】

期限までに税金が納められない場合、法定納付期限の翌日から納付日までの延滞税が課せられます。       
他にも、期限後の修正申告時や、更正の請求または決定の処分を受けた際も日数に応じた延滞税を納付する必要があります。

実際に納付税が発生した場合ですが、2か月までは「原則7.3%」と比較的低い税率が設定されています。それ以降は「原則14.6%」とされています。       
しかし、いずれも特定基準割合を基準とした割合との比較で低い方が適用されることになります。       
延滞税は日割計算ですので、数日の延滞であれば大きな負担とはなりませんが2か月が経過すると大きな税額になりかねないので、注意が必要です。       
参考)No.9205 延滞税について|国税庁

その他にも、実際の所得より少なく申告した場合の「過少申告加算税」がありますので、確定申告後に計算間違いに気付いた場合は、お早目の修正をお勧めします。

暗号資産やNFTは匿名性が高いので、自分は大丈夫と安心してはいけません。       
最近では法整備が進み、国税庁が取引所に対しユーザーの取引履歴を照会出来るようになりました。無申告はバレないという考えは今すぐに捨てて、きちんと確定申告を行いましょう。

NFTの税金は法人化した方がお得なのですか?

法人でのNFT取引には、法人税が課されます。利益の考え方は個人の場合と同様ですが、最終の利益合計にかかる税率が異なるため、法人化した方がお得になると考える方もいらっしゃるでしょう。注意点としては、法人の場合は期末に保有しているNFTを時価評価する必要があります。取引からの利益以外に期末の評価損益も加味する必要があることから、取引からの利益のみの比較では、個人と法人どちらがお得かは考えられません。詳しくは、税理士にご相談されることをお勧めします。
 

5. NFTの税金のまとめ

NFT取引を含む暗号資産取引に係る税金の考え方は、とても複雑です。法整備は日々整いつつありますが、不確定な論点はまだまだ残っています。税金計算には、収益と必要経費の補足が非常に重要です。日々の取引記録を行うことで、税金計算の負担軽減につながります。


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