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Axie Infinity(アクシー インフィニティ)で税金が発生するタイミングは?計算方法や確定申告について解説

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Axie infinity 税金.jpg

近年、遊びながら稼げる「Play to Earn」という概念が脚光を浴び、ブロックチェーンゲームの人気が高まっています。特に2021年にアジアを中心に大ブレイクしたAxie Infinity(アクシー・インフィニティ)は、こうしたブロックチェーンゲームブームの火付け役となったことで知られており、現在でも日本を含め世界中で多くのユーザーがプレイしている大人気ゲームとなっています。

しかし、ゲームとはいえ実際に利益を得ることができるため、税金の取扱いに不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、Axie Infinityを通じて税金が発生するタイミングやその計算方法、主な注意点などについてわかりやすく解説していきます。

Axie Infinityやその他のブロックチェーンゲームなどの税金でお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

  1. Axie Infinityとは?
  2. Axie Infinityの税金が発生するタイミング・計算方法 
  3. Axie Infinityに係る税金 
  4. Axie Infinityの税金に関する注意点 
  5. まとめ

Axie Infinityとは?

Axie Infinity(アクシー・インフィニティ)はベトナムのスタートアップ企業であるSky Mavis(スカイ・メイビス)によって2018年に開発されたブロックチェーンゲームです。

プレイヤーはアクシーと呼ばれるモンスターを収集し、敵のモンスターと戦わせながらアクシーの育成や繁殖をしていく対戦バトルゲームとなっています。

プレイヤーはゲームのプレイを通じて、アクシーの強化などに使用できるSLP(Smooth Love Potion)と呼ばれるトークンや、AXS(Axie Infinity Shards)と呼ばれるガバナンストークンを獲得することができます。

またアクシーはNFTとなっており、SLP(Smooth Love Potion)やAXS(Axie Infinity Shards)とあわせてプレイヤーの仮想通貨ウォレット内で保管されます。

SLP(Smooth Love Potion)やAXS(Axie Infinity Shards)はビットコインなどの仮想通貨と交換することができるほか、アクシー自体もマーケットプレイスを通じて売買することが可能です。そのため、プレイヤーは優秀なアクシーを繁殖させて売りに出したり、SLP(Smooth Love Potion)やAXS(Axie Infinity Shards)を販売するなどによって利益を得ることができるのです。

このようにAxie Infinityはゲームとブロックチェーンを融合することで、遊びながら稼ぐ「Play to Earn」を実現したことで、アジアを中心に世界中で大きな反響を呼びました。

当初はゲーム開始時にアクシーを購入するなどの初期投資が必要でしたが、その後の2022年には無料の初期アクシーによって初期投資なしでプレイを開始できる「Axie Infinity:Origins」のサービスが開始されています。

また、2023年5月には「Axie Infinity:Origins」のiOS版がベトナムやアルゼンチンなどの一部地域でリリースされました。

日本でのiOS版のリリースはまだ行われていませんが、Appleが外部で購入したNFTを使用できるアプリをApp Storeに掲載するのは世界初の事例であることから、改めてAxie Infinityへの注目が高まっています。

Axie Infinityの税金が発生するタイミング・計算方法

Axie Infinityのようなブロックチェーンゲームの税金について理解するには、基本となる仮想通貨の損益認識のタイミングとその計算方法について把握することが重要です。仮想通貨取引において損益認識されるタイミングについては以下で紹介しています。  

そのうえで現在、ブロックチェーンゲームに関する税務ですが、国税庁(「NFTに関する税務上の取扱いについて(情報)」)にて一部、ブロックチェーンゲームに該当する部分が記載されています。              

ここではこうした指針に沿って、Axie InfinityでNFTや仮想通貨が関係するケースについて見ていきます。

ただし、ここで示す考え方はあくまでも一般例ですので、個別事例の判断に際しては必要に応じて税理士に相談するなど、慎重に確認をするようにしましょう。なお、仮想通貨やNFTの税務上の取扱いについては次の記事でも詳しく解説していますので、興味のある方は併せてご覧ください。

①NFTの取得をした場合

Axie Infinityのマーケットプレイスでは、NFTとしてアクシーやアイテムを購入することができます。

NFTを仮想通貨で購入した場合、それは仮想通貨で商品を購入(決済)したことと同様と見なすことができます。

そのため、決済に使用した仮想通貨について損益認識を行うこととなるでしょう。

アクシーを1ETHで購入した。この時点でETHの時価は40万円だったが、ETHの取得時の時価は30万円であった。

⇒ 40万円 - 30万円 = 10万円 が利益認識され課税対象となる

②NFTの売却をした場合

保有しているアクシーやアイテムなどのNFTは、Axie Infinityのマーケットプレイスで売却することができます。

国税庁の指針では、NFTを売却して仮想通貨を得た場合、その売却益を損益認識することとされています。

1ETHの時価が40万円の時に、アクシーを1ETHで購入した。その後、1ETHの時価が50万円の時に、アクシーを1ETHで売却した。

⇒ 50万円 - 40万円 = 10万円 が利益認識され課税対象となる

③NFTをMintした場合

NFTのMint(ミント)とは、新たなNFTを発行することを指します。

Axie Infinityではアクシーを繁殖させて新しいアクシーを生み出すことができ、これはブロックチェーン上ではNFTのMintとして行われます。

国税庁の指針では、NFTを発行して第三者に譲渡した際に、その譲渡によって得た利益を損益認識することとされています。

なお、その際の計算方法は次の通りです。

計算式

NFTの譲渡収入 - NFTに係る必要経費 = 利益認識する金額

なお、NFTに係る必要経費については「そのNFTを組成するために要した費用」とされており、Mintに要する手数料やガス代(トランザクション手数料)などを算入できる可能性があるでしょう。

アクシーを新規にミントした。ミントする際に0.5ETHの手数料が発生した。ミント時のETHは20万円であった。   
後日、上記のアクシーを1ETHにて売却した。売却時のETHは30万円であった。

ミント時 
⇒0.5ETH×20万円=10万円を新規NFTの取得価額とし、この時点では課税対象の利益はない。

売却時 
⇒売却価額-取得価額=損益として認識するため、売却価額(1ETH×30万円)-取得価額(10万円)=20万円が利益認識され課税対象となる。

④SLP・AXSを取得した場合

Axie Infinityをプレイしていると、SLP(Smooth Love Potion)やAXS(Axie Infinity Shards)などの仮想通貨を獲得することができます。

このように購入以外の方法で仮想通貨を取得するケースについて、国税庁の指針ではマイニングやレンディングなどを例に挙げて解説されており、取得時点の時価を利益として認識するものとされています。

1AXSの時価が700円の時に1,000AXSを取得した。

⇒ 1,000AXS × 700円 = 70万円 が利益認識され課税対象となる

なお、国税庁はブロックチェーンゲームから得られる報酬の計算方法として簡便法を認めています。簡便法とは、「ゲーム内通貨ベースで所得金額を計算し、年末に一括で評価する方法」となっています。

⑤SLP・AXSを他の仮想通貨に交換した場合

SLP(Smooth Love Potion)やAXS(Axie Infinity Shards)は、DEXや仮想通貨取引所などを通じてイーサリアムなど他の仮想通貨と交換することができます。

このように仮想通貨Aと仮想通貨Bを交換する取引は、仮想通貨Aを売却し、売却した価格で仮想通貨Bを購入した取引と税務上はみなされますので、仮想通貨Aの譲渡価額と取得原価の差額を損益認識する必要があります。

1AXSの時価が700円の時に1,000AXSを取得した。その後、1AXSの時価が1,000円の時に1,000AXSを100万円相当のイーサリアムと交換した。

⇒ 100万円(イーサリアムの購入価額) - 70万円(1,000AXSの取得価額)= 30万円 が利益認識され課税対象となる

⑥AXSのステーキングを行った場合

Axie Infinityの公式サイトでは、保有しているAXS(Axie Infinity Shards)を一定期間ロックすることで報酬を得る「ステーキング」を行うことができます。

国税庁の指針では、ステーキングについてマイニングなどと同様に取得時点の時価を利益として認識するものとされています。

1AXSの時価が800円の時に、ステーキング報酬として100AXSを取得した。

⇒ 100AXS × 800円 =8万円 が利益認識され課税対象となる

⑦スカラーを雇った場合

Axie Infinityでは、保有するアクシーを他のプレイヤーに貸し出してゲームをプレイしてもらう「スカラーシップ」と呼ばれる制度があります。

この制度を利用してスカラー(借り手)へアクシーを貸し出すことで、自分はプレイしていなくともアクシーが稼いだ利益を取得することができます。その後、スカラーに対して報酬を支払う必要がありますが、この報酬は必要経費として計上できる可能性があります。

1SLPの時価が1円の時に、スカラーシップを利用して10,000SLPを取得し、5,000SLPを報酬としてスカラーへ支払った。

⇒(10,000SLP × 1円)-(5,000SLP × 1円) =5,000円 が利益認識され課税対象となる

Axie Infinityに係る税金

Axie InfinityでSLP(Smooth Love Potion)・AXS(Axie Infinity Shards)やアクシーを取得したり売却したりした場合には、その利益が課税対象となることを前項でご紹介しました。

ここでは、具体的にどのような税金がどれほど課税されることになるのか解説します。

所得税

所得税は、日本に居住している個人が1年間(1月1日〜12月31日)に得た利益に対して課される税金です。

所得には「給与所得」「事業所得」「不動産所得」「利子所得」「譲渡所得」などの多くの区分が存在し、それぞれ税務上の取扱いが異なります。

その中で、仮想通貨取引による利益は主に「雑所得」、NFTの転売による利益は主に「譲渡所得」となる事例が国税庁の指針では示されていますが、実際の区分は個別ケースに応じて判断することになるでしょう。

ただし、ブロックチェーンゲームで得た報酬は「雑所得」となります。仮想通貨のトレードやマイニング・ステーキング、仮想通貨FXなどで得た報酬は個別のケースに応じて「雑所得」「事業所得」などに区分されますが、ブロックチェーンゲームについては「雑所得」と国税庁が明記しているので留意が必要です。

所得税では、所得が多いほど税率が段階的に上がる「累進課税」と呼ばれる仕組みが採用されています。そのため所得税の金額は、各所得の課税額を合計した総所得金額に対して税率を掛け、そこから控除額を差し引いて算出します。

所得税率.png

引用:国税庁|No.2260 所得税の税率

住民税

住民税は、個人が1年間(1月1日~12月31日)に得た利益に対して課される税金という点で所得税と共通していますが、所得税が国に対して納税する「国税」であるのに対し、住民税は居住する地方自治体に対して納税する「地方税」です。

税率は自治体によって異なりますが、概ね10%前後が平均となっています。

Axie Infinityの税金に関する注意点

ここまで、Axie Infinityのプレイを通じて発生する税金について解説してきました。

それでは実際にこれらの税金を納付するにはどのようなことに気を付ける必要があるのでしょうか。

スカラー報酬の経費計上について

Axie Infinityのスカラーシップ制度では、報酬はオーナー(貸し手)からスカラー(借り手)のウォレットへ個別に支払う必要があります。

この際、スカラーへ支払った報酬はSLP(Smooth Love Potion)を取得するための必要経費として計上できる可能性がありますが、証憑書類(金銭のやり取りがあった証拠となる書類)が必要なのか、必要ならばどのような形式で残すのかについて、明示的な指針は示されていません。

スカラーへの報酬支払はオンチェーンの取引ですので、基本的にブロックチェーン上の取引履歴は残りますが、そこには受領者名や取引の目的まで記録されるわけではありません。

そのため、スカラーシップ制度でアクシーを貸し出して運用している人の中には、スカラーとの業務委託契約書を作成したり、スカラーへの報酬支払時に領収書を発行してもらうなどの対応をしているケースも存在します。

とはいえ、スカラー報酬の取扱いについて指針が存在しない中で、どこまでの対応が必要であるかは各地の税務署が判断することとなります。心配な場合は、あらかじめ税理士や税務署に相談するなど、確認をしておくと良いでしょう。

確定申告が必要になる可能性がある

サラリーマンの方や、これまでに自分で税金を納めた経験がない方にとってはあまり馴染みがないかもしれませんが、税金は原則として自分で計算して税務署に申告し、納税しなければいけません。この行為を「確定申告」といいます。

サラリーマンなどの給与所得者の場合は「年末調整」で勤務先の会社がまとめて税金を申告しているケースが一般的ですが、その場合であっても雑所得を含む会社以外からの収入が20万円を越えると改めて自分で確定申告を行う必要があります。

また給与所得がない専業主婦や学生の場合は、年間の合計所得が48万円を超えた場合に確定申告が必要となる可能性があります。

こうした金額を超える利益を得た場合は、確定申告の要否について必ず確認するようにしましょう。

必要な確定申告を怠るとペナルティがある

確定申告が必要であるにも関わらず期限までに確定申告を行わなかったり、不正確な計算で過少な税額を申告した場合、追徴課税などのペナルティが課されます。

税務署には税務調査を行う権限があり、仮想通貨取引所や金融機関などを通じて取引情報を収集することができます。また、日本は海外の多くの国と租税条約を締結しているため、海外の金融当局を通じて、海外取引所の取引履歴なども入手できる体制となっています。

そのため、脱税は必ず判明すると考えた方がよいでしょう。ペナルティを避けるためにも、確定申告は必ず期間内に正確に行うようにしましょう。

Axie Infinityで得た損益を簡単、正確に計算する方法

いかがでしたでしょうか。遊びながら稼げる「Play to Earn」のAxie Infinityは非常に魅力的なブロックチェーンゲームですが、利益が発生する場合は正確な税金計算と申告が必要です。

上述の事例では日本円への換算をしていませんが、損益計算にはそれぞれの時点での時価が必要になります。確定申告の期限が近づいてから全ての税金計算を行うのは非常に負担が大きくなりますので、日々の取引の記録をしっかりとり、計画的に税金計算を行うようにしましょう。

なお、こうした税金計算をできるだけ簡単にしたい場合は、仮想通貨専門の損益計算ツール「クリプタクト」がおすすめです。「クリプタクト」であればNFTの取引であっても「カスタムファイル」を作成することで、データを取り込み、時価を算出、そのうえで損益計算を自動で行うことが可能となります。        
そのため、これまでに仮想通貨の損益計算をしたことがなく、計算の仕方がわからないという場合であっても、安心して確定申告に備えることができます。

なお、カスタムファイルとはExcelファイルやCSVなどの形で、下図のようなフォーマットに従って取引履歴データを入力したデータのことです。

アクシー(NFT)を購入したケースのカスタムファイル例  

Axie infinityカスタムファイル

また、NFTの他にも仮想通貨取引をしている場合は、その仮想通貨の価格情報やウォレットの取引履歴を豊富なAPI連携やデータ取込機能によって取得することが可能です。NFTと仮想通貨両方の取引データを合わせて計算することができるため、手動ですべてを突合する必要もなく、非常に便利で簡単に管理を行うことができます。

無料でお試しいただけるプランもあります(※)ので、この機会にぜひ「クリプタクト」をお試しください。なお、当サイトではこのほかにも仮想通貨関連の最新トレンドワードや、知っておきたい仮想通貨の税金知識などについて解説記事を多数公開しています。

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