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仮想通貨の取引に確定申告は必要?課税額の確認方法や未申告のリスク

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仮想通貨(暗号資産)投資は手軽に始めることができ、大きなリターンを期待できる投資手法として、近年多くの投資家から注目を集めています。しかし、仮想通貨(暗号資産)取引で利益を得た場合は税金の納付が必要となるため、ハードルが高いと感じる方もいるのではないでしょうか。

仮想通貨の税金は、株式投資と違って、証券会社が損益を計算して、その金額を納税すれば良いというものではありません。  仮想通貨の投資家は自分の責任で納めるべき税金を計算をし、正しく申告して納税しなければいけないものなのです。とはいえ、やるべき事さえきちんと把握しておけば、煩雑な計算を自動で行ってくれる便利なツールもありますので、あまり心配することはありません。

今回は、仮想通貨(暗号資産)取引を行った場合の確定申告について徹底解説していきます。時間や手間のかからない簡単な方法も紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

 

目次

  1. 仮想通貨(暗号資産)の取引で得た所得は確定申告の対象
  2. 仮想通貨(暗号資産)の取引で得た所得にかかる所得税はどれくらい?
  3. 仮想通貨による所得を確定申告しなかった場合に起きること
  4. 仮想通貨(暗号資産)の所得に確定申告が必要かどうかは損益の計算で確認する
  5. 仮想通貨(暗号資産)の確定申告の方法
  6. 仮想通貨(暗号資産)の確定申告対策なら「クリプタクト」がおすすめ

仮想通貨(暗号資産)の取引で得た所得は確定申告の対象

冒頭でも少し触れましたが、仮想通貨投資に係る税金は基本的に本人が計算をして申告・納税することが原則です。しかし、そう言われてもあまり実感が湧かないという方も多いのではないでしょうか。

なぜなら会社員の給与所得については、源泉徴収という方法で給料からおおよその所得税額が天引きされており、基本的には会社で年末調整という作業をするだけで税額の計算や申告が完了する仕組みとなっているからです。また、株式投資などでは源泉徴収ありの特定口座を利用することで、金融機関が税金の処理をしてくれる仕組みもあります。一方でこのような仕組みに当てはまらない場合は、基本的に本人が納税額を計算し、申告を行う必要があります。この手続きのことを「確定申告」といいます。

さて、話を仮想通貨(暗号資産)に戻しましょう。

仮想通貨(暗号資産)については、株式投資のような源泉徴収の仕組みがありません。そのため、仮想通貨(暗号資産)取引による所得が一定額以上ある場合には、確定申告が必要になります。

例えば、会社員やアルバイト・パートなどの給与所得者は仮想通貨取引やその他の副業による所得が20万円を超えた場合に、年末調整とは別に確定申告も行う必要があります。一方、個人事業主や被扶養者(専業主婦や学生)は、すべての所得の合算をもとに算出される「所得税額」から「税額控除」を引いた額がプラスになる場合に確定申告が必要になります。

税額控除には色々ありますが、所得合計額が2,400万円以下の個人であれば、基礎控除として48万円が控除されます。そのため、仮想通貨(暗号資産)の所得を含めた全ての所得の合計が48万円以内であれば確定申告は必要ありません。

ここで言う仮想通貨(暗号資産)の所得とは、取引などで得た収入金額から必要経費を引いた利益のことを指します。

必要経費として計上できるものの例:

売却した仮想通貨の取得価額、売却に係る取引手数料、(仮想通貨投資にかかる)通信費など

必要経費を引いたあとの収支がマイナスの場合や、仮想通貨を購入したものの保有しているだけで売却していない場合などは、所得は発生しません。                           
なお、仮想通貨から仮想通貨への交換や、仮想通貨での決済(商品やサービスの購入)においても損益が生じることとなりますので、留意が必要となります。

なお、所得税の確定申告が不要な場合であっても、住民税の申告は別途必要になる点には留意が必要です。

仮想通貨(暗号資産)の取引で得た所得にかかる所得税はどれくらい?

さて、仮想通貨(暗号資産)取引で利益を得た場合どれほどの税金がかかるのか、気になるところではないでしょうか。

仮想通貨(暗号資産)取引に対する所得税については、総合課税として取り扱われます。                           
総合課税とは、給与所得、事業所得、雑所得などの所得の合計額に対して課税される方式で、所得が増えるほど税率が高くなる累進課税方式が採用されています。

累進課税でかかる税率と控除額

課税所得金額税率税額控除額
1,000円~195万円未満5%0円
195万円~330万円未満10%97,500円
330万円~695万円未満20%427,500円
695万円~900万円未満23%636,000円
900万円~1,800万円未満33%1,536,000円
1,800万円~4,000万円未満40%2,796,000円
4,000万円円以上45%4,796,000円

参考:国税庁「No.2260 所得税の税率」

たとえば、給与所得を得ている会社員の課税所得が300万円のケースでは、所得税率は10%となります。そこへ仮想通貨(暗号資産)による所得が50万円が加わると、所得税率は20%に上がることになります。

所得税額の計算式

所得税額 = 課税所得金額 × 税率 - 控除額

このように、仮想通貨(暗号資産)取引で得た所得に対する税率は、課税所得金額に応じて変わります。

また、上記の所得税とは別に住民税もかかることとなります。                           
住民税は課税所得の概ね10%となっています。

株式投資における売買益(譲渡所得に該当)のように、申告分離課税として一律税率が定められているわけではありませんので、混同してしまわないように注意しましょう。

仮想通貨による所得を確定申告しなかった(し忘れた)場合に起きること

確定申告は、自分が支払うべき税金を計算して申告するための非常に大切な手続きです。しかし確定申告を行うためには、仮想通貨による所得を正確に把握しておく必要があります。日々の取引をこまめに計算できていれば良いのですが、ついつい後回しにしてしまい、1年分の取引をまとめて計算しなければならないという状態になってしまうと大変です。                           
こうなると確定申告を行うこと自体を億劫に感じてしまう方もいることでしょう。

特に海外取引所で売買を行って利益を得た場合などは、漠然と「確定申告をしなくてもバレないのではないか?」と考えてしまう人もいるかもしれませんが、それは大きな間違いです。税務署には税務調査を行う権限があり、必要に応じて銀行や仮想通貨取引所などに取引内容の提出を求めることができます。また、日本は世界151カ国・地域と租税条約を結んでいるため、海外の税務当局に対しても情報の収集や提供を要請することが可能なのです。そのため、海外の取引所であっても、税務署は租税条約を通じて取引履歴等の情報を収集することができるのです。

税務調査で申告漏れが発覚してしまうと、本来払うべき所得税に加えて延滞税や加算税などの追徴課税を受けることになるほか、全くの無申告の場合は無申告加算税によって納税額が大幅に増える可能性もあります。申告漏れは必ず発覚するということを意識して、日頃から確定申告に向けて備えおくようにしましょう。

関連記事:ばれないのは間違い!仮想通貨の税金を未払いで放置すると起きること  

仮想通貨(暗号資産)の所得に確定申告が必要かどうかは損益の計算で確認する


ここまで、確定申告の要否や税率を判断するためには所得の金額を把握する必要があることをご紹介してきました。ここからは仮想通貨(暗号資産)取引による所得の計算方法を解説していきます。

まずは利益が発生するタイミングを知る

前述した通り、所得とは収入から必要経費を引いた利益のことを指しますが、この利益が発生したとみなされるタイミングについてはしっかりと押さえておく必要があります。

■仮想通貨(暗号資産)を売却(日本円に換金)したとき

仮想通貨(暗号資産)を売却して得た金額と、仮想通貨(暗号資産)の取得価額との差額によって利益が発生します。

例:200万円で購入した1BTCを300万円で売却                            
⇒100万円の所得が発生したとみなされる

仮想通貨(暗号資産)を他の仮想通貨(暗号資産)と交換したとき

交換時点での他の仮想通貨(暗号資産)の時価と、仮想通貨(暗号資産)の取得価額との差額によって利益が発生します。

例:200万円で購入した1BTCを、300万円分の他の仮想通貨に交換                           
⇒100万円の所得が発生したとみなされる

仮想通貨(暗号資産)で決済(商品購入の支払いなど)をしたとき

決済時点での商品価格と、仮想通貨(暗号資産)の取得価額との差額によって利益が発生します。

例:200万円で購入した1BTCを支払い、300万円の自動車を購入                           
⇒100万円の所得が発生したとみなされる

ステーキングやマイニング、ゲームなどの報酬で仮想通貨(暗号資産)得たとき

仮想通貨(暗号資産)を得た時点での時価から、必要経費を差し引いた金額によって利益が発生します。

例:1BTCが200万円の時に、マイニング報酬として0.1BTC(20万円)を得た                           
 マイニングには電気代が5万円かかった                           
⇒15万円の所得が発生したとみなされる

レンディングによって利子として仮想通貨(暗号資産)を得たとき

仮想通貨(暗号資産)を得た時点での時価から、必要経費を差し引いた金額によって利益が発生します。

例:1BTCが200万円の時に、レンディング報酬として0.1BTCを得た                           
⇒20万円の所得が発生したとみなされる

このように、仮想通貨(暗号資産)における所得はそれぞれの取引を行ったタイミングで発生したとみなされ、それぞれの時点における時価で日本円に換算する必要があります。

特に、マイニングなどの報酬は取得した時点で所得が発生するため、売却して日本円に交換していなくてもその年の課税対象となります。そのため相場下落などにより、翌年以降の売却価額が取得価額より少なくなると、結果的に得られた金額より支払った税金の方が多かったという結果になる可能性も否定できません。

そのため、税務上の取り扱いをしっかり把握して税金対策を行うことが非常に重要となります。

詳しいルールは以下のリンクをチェックしてみて下さい。

国税庁「仮想通貨(暗号資産)に関する所得の計算方法等について」

仮想通貨(暗号資産)の損益を計算する

前の項では、仮想通貨(暗号資産)取引において利益が発生したとみなされる各タイミングについて、取得した量と同じ量を売却(または決済に使用)するシンプルな例をご紹介しました。しかし現実の取引においては、毎日変動する相場で仮想通貨を繰り返し売買することが多いため、売却(決済使用)する仮想通貨(暗号資産)の取得価額を把握することは簡単ではありません。

仮想通貨の取得価額の算定方法について総平均法か移動平均法のどちらかの方法で行うこととされています。移動平均法とは仮想通貨を取得するたびにその時点における取得価額を計算する方法であるのに対し、総平均法とは期間全体の平均単価から取得価額を計算する方法です。税務署へ届出を行うことでどちらの計算方法も適用することができますが、届出をしない場合は、個人の場合は総平均法、法人の場合は移動平均法が自動で適用されます。そして、一度選択した計算方法は原則として3年間は変更できないため、総平均法と移動平均法のどちらを採用するかは慎重に判断した方がよいでしょう。

計算方法1.「総平均法」

総平均法は仮想通貨の取得金額合計を、取得数量の合計で割ることで取得原価とする計算方法です。

例:

購入合計数量5BTC
購入合計金額(100万円 × 2BTC) + (70万円 × 3BTC) = 410万円
取得価額410万円 ÷ 5BTC = 82万円

この表のように一度の計算で年度を通じて適用できる取得価額を算出するため、計算を容易に行えることが大きなメリットと言えます。この場合、1BTCが110万円の時に3BTCを売却すると(110万円 - 82万円) × 3BTC = 84万円の利益が発生する計算になります。

ただし、総平均法は年度を通じて一つの取得価額を適用するため、価格変動が大きい場合には実際の損益感覚から乖離してしまう場合もあります。

たとえば上の表の例で100万円 × 2BTCを買った直後に90万円で1BTCを売却した場合、投資家の感覚としてはこの時点で10万円の損失が確定したように見えます。

ところが総平均法では、この後に購入した70万円 × 3BTCも含めたこの年度の取得価額が82万円と算出されるため、90万円 × 1BTCの売却によってむしろ8万円の利益が発生したとみなされることになるのです。

もちろんこれは計算を行うタイミングによって生じる一時的な乖離に過ぎません。投資開始年度から投資終了年度までの合計期間における損益は、総平均法と移動平均法で一致します。しかし、年度で損益を見ると、総平均法と移動平均法で損益がずれることがあるのです。

また、年度が終わるまで取得価額が把握できないため、所得の見積や納税資金の準備を行いづらいという点もデメリットと言えるでしょう。


計算方法2.「移動平均法」

移動平均法は仮想通貨を取得する都度、その時点における取得価額を算出する方法です。

例:

取得日BTC価格購入/売却取得価額
1月x日100万円+1BTC100万円 ÷ 1BTC = 100万円
2月x日100万円+1BTC200万円 ÷ 2BTC = 100万円
3月x日90万円▲1BTC100万円
7月x日70万円+1BTC170万円 ÷ 2BTC = 85万円
8月x日70万円+1BTC240万円 ÷ 3BTC = 80万円
9月x日70万円+1BTC310万円 ÷ 4BTC = 77.5万円

この表のように仮想通貨(暗号資産)を取得するたびに取得価額を算出していくため、取引件数の分だけ計算が煩雑で手間がかかるというデメリットがあります。

一方でその時点に応じた取得価額を把握できるため、実際に即した損益計算ができることが移動平均法の大きなメリットです。

たとえば先程と同条件の例として3月x日に90万円で1BTCを売却した場合、移動平均法によるこの時点の取得価額は100万円であるため、この取引によって10万円の損失が発生したとみなされます。

そしてその後の7月x日に70万円で1BTCを購入する際には、手元にある取得価額100万円の1BTCとあわせて、新たな取得価額として85万円が算出されます。常に取得価額を把握することで、所得の見積や納税資金を準備する上でも有利な方法と言えるでしょう。

関連記事:仮想通貨の損益計算/確定申告:「総平均法」と「移動平均法」、どちらが得?

 

仮想通貨(暗号資産)の確定申告の方法

確定申告を行うには、まず年間の仮想通貨(暗号資産)の取引がわかる明細書を用意しましょう。

ここでいう明細書とは、仮想通貨(暗号資産)の取引データやマイニングの報酬がわかる計算書など、仮想通貨(暗号資産)をいつ、どれだけ、いくらで取得したり売却したりしたかがわかる資料やデータのことを指します。

国内の取引所であれば「取引履歴」や「取引報告書」といった名称で、無料で発行できることが一般的です。また、海外の取引所では、取引報告書の義務がないために、「取引履歴」が該当します。

なお、確定申告を行う際は国税庁が提供している「確定申告書作成コーナー」や「e-tax」などのサービスを利用すれば、必要事項を入力していくだけで確定申告書を作成できるため大変おすすめです。

また、マイナンバーカードとスマートフォンがあれば、税務署に行かずに自宅からでもオンラインで確定申告を完結することが可能です。

「確定申告書等作成コーナー」はこちら

オンラインで確定申告書を提出できる「e-Tax」はこちら

確定申告書を作成する際、仮想通貨(暗号資産)の利益は基本的に「雑所得」として申告するのが一般的です。仮想通貨(暗号資産)取引を事業として行っている場合は「事業所得」として申告しましょう。

ただし、仮想通貨の損益を事業所得として計上するには、帳簿保存などの要件の他に、社会通念上の概念が求められるために、事業所得計上のハードルは高いと考えられます。

仮想通貨(暗号資産)の確定申告対策なら「クリプタクト」がおすすめ

仮想通貨(暗号資産)取引の確定申告を行うには、正確な時価算定を行い、全ての取引から発生する利益を漏らさずに把握する必要があります。

不正確な申告や申告漏れをしてしまうと、後々になって税務調査で指摘され、無申告加算税などのペナルティを受けることにもなりかねません。

難しい計算や煩雑な処理は税理士などの専門家に相談する方法もありますが、多額の費用がかかってしまうため、利益が大きくない場合は負担となってしまうことでしょう。

そこで便利なのが、仮想通貨専用の計算ツール「クリプタクト」です。                           
「クリプタクト」を活用すれば、リアルタイムに取引の損益が自動計算されるため、確定申告の準備をするのみでなく、節税対策を考えるうえでも大変有効な情報となります。                           
大きなコストをかけずに、煩雑な確定申告作業にかかる時間や手間を少しでも減らしたいとお考えの方は、「クリプタクト」のご利用をぜひ検討してみてください。

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