キャンペーンでももらった仮想通貨の税金.webp

仮想通貨取引所などのキャンペーンで、無料の仮想通貨(暗号資産)を受け取った経験はありませんか?

一見お得に感じられるこれらのキャンペーンですが、受け取った仮想通貨(暗号資産)に税金がかかる可能性があることをご存じでしょうか。

この記事では、キャンペーンで付与された仮想通貨(暗号資産)について、税金の発生有無やその仕組みとタイミング、損益計算の方法、注意点などをわかりやすく解説していきます。

目次

  1. 取引所のキャンペーンでもらった仮想通貨(暗号資産)は課税対象?
  2. 取引所のキャンペーンで付与された仮想通貨(暗号資産)の損益計算方法は?
  3. 付与された仮想通貨(暗号資産)の損益計算時の注意点
  4. まとめ

取引所のキャンペーンでもらった仮想通貨(暗号資産)は課税対象?

エアドロップやキャンペーン報酬など、取引所から仮想通貨(暗号資産)を無料でもらえることがあります。こうした場合、税金の取り扱いについて注意が必要です。

付与された仮想通貨(暗号資産)は課税対象になる

一般的に、企業が発行するポイント(例:家電量販店のポイントやクレジットカードのポイントなど)については、個人が取得・利用しても課税対象にはなりません。  
参考:No.1907 個人が企業発行ポイントを取得又は使用した場合の取扱い 

しかし、エアドロップやキャンペーンなどで無料で仮想通貨(暗号資産)を受け取った場合、これらは「ポイントのように見えても実態は仮想通貨(暗号資産)として付与されており、仮想通貨(暗号資産)は、法的に資産として扱われるため、受け取った時点で課税対象となる点に注意が必要です。仮想通貨取引による所得は通常、「雑所得」となります。

そして、仮想通貨(暗号資産)を受け取った時点、すなわちウォレットや口座に残高が付与された時点の時価評価額が、そのまま利益と見なされ、利益から必要経費(手数料など)を差し引いた「所得」が税金の計算対象となります。

取引所のキャンペーンで付与される仮想通貨(暗号資産)の取得には手数料などの経費がかからないことが一般的ですので、付与された時点の時価がそのまま所得になると考えてよいでしょう。

例えば、口座開設キャンペーンの報酬として1,000円相当のビットコインを受け取った場合、その時点で1,000円の所得が発生したと見なされるのです。

一定水準を超える場合は確定申告が必要    

仮想通貨(暗号資産)により所得が発生した場合、一定の条件を満たすと確定申告が必要になります。  
具体的に見ていきましょう。

サラリーマン(会社員・公務員など)の場合

サラリーマンなどの給与所得者の場合、通常は勤務先で実施する「年末調整」によって税金の申告が完結しますが、一定の条件に該当する場合は個別に確定申告を行う必要があります。

サラリーマンの方が副業として仮想通貨(暗号資産)取引をしていて確定申告が必要になるケース 

●仮想通貨(暗号資産)取引による利益などのの「雑所得」が年間20万円を超える場合  
● 年収2,000万円を超える場合(仮想通貨(暗号資産)取引の利益額にかかわらず )

例えば、キャンペーンで合計5万円相当の仮想通貨(暗号資産)を獲得し、その売却益で更に16万円を得たとします。この場合、雑所得が21万円となるため、確定申告が必要 になります。

個人事業主・専業主婦(夫)・学生などの場合

個人事業主など、すでに本業のための確定申告をしている場合は、仮想通貨(暗号資産)による所得もその金額に関係なく申告対象となります。

一方で専業主婦(夫)や学生などで給与所得や事業所得がまったく無い人の場合は、仮想通貨(暗号資産)の利益が基礎控除額である48万円を超えると、確定申告が必要になります。

これは、2,400万円以下の全ての人に適用される基礎控除が48万円であり、この基礎控除を引いた後の課税所得額がゼロを超える場合は税金を支払う必要があるためです。(非常に稀ですが、本業の所得と仮想通貨(暗号資産)取引による利益の合算が48万円以下であれば、個人事業主であっても確定申告は必要ありません)

なお、親や配偶者の扶養に入っている場合は、所得額が48万円を超えることで扶養から外れ、扶養者の税負担が増える可能性があります。

扶養から外れるケースについては関連記事でも詳しく解説していますので、気になる方は併せてご覧ください。

所得区分にも要注意

確定申告の要否を判断する際に、あわせて注意したいのが、付与された仮想通貨(暗号資産)の所得区分です。

仮想通貨(暗号資産)取引による所得は「雑所得」になるケースが一般的ですが、キャンペーン報酬が「対価性がない」「一時的な所得」などの一定の条件を満たした場合、「一時所得」と見なされる可能性もあります。

その場合、「一時所得」には最大50万円の特別控除が適用されるため、課税所得を圧縮できる(税額を減らせる)可能性もあります。

雑所得か一時所得かの判定はケースバイケースとなりますので、迷う場合は税務署の相談窓口や税理士などの専門家に相談すると良いでしょう。

取引所のキャンペーンで付与された仮想通貨(暗号資産)の損益計算方法は?

通常、仮想通貨(暗号資産)売却時の損益計算には以下の計算式が用いられます。

売却価額(売却単価 × 数量)  - 取得価額(取得単価 × 数量) = 損益

つまり、仮想通貨(暗号資産)を売却する際の損益計算のために、その仮想通貨をいくらで取得したのかを把握しておく必要があるのです。

一般的に、仮想通貨(暗号資産)を購入した場合の取得価額は購入時の価格となります。

一方で、キャンペーンなどによって無料でもらった仮想通貨(暗号資産)の場合、取得価額は受け取った時点の時価が基準となります。


例えば、時価1,000円相当の仮想通貨(暗号資産)を受け取った場合、その取得価額は1,000円です。 後日、この仮想通貨(暗号資産)が3,000円に値上がってから売却した場合、この「3,000円 - 1,000円 = 2,000円」   が売却益になります。

なお、上記の他にも同じ銘柄の仮想通貨(暗号資産)を受け取ったり購入したりした場合は、取得単価の平均(「総平均法」または「移動平均法」)に基づいて取得価額を計算していくことになります。

平均取得単価の計算方法について詳しく知りたい方は、関連記事をご覧ください。

付与された仮想通貨(暗号資産)の損益計算時の注意点

キャンペーンなどで無料でもらった仮想通貨を後日売却した場合、受け取った時点の時価を取得価額として、売却時の価格との差額で損益を計算する必要があります。

取得時と売却時のそれぞれで課税の対象となる点や、記録の取り扱いには注意が必要です。  
詳しく見ていきましょう。

取得時と売却時の2段階で課税対象に

キャンペーンなどで仮想通貨(暗号資産)が付与された場合、まず付与時点の時価がそのまま所得として課税対象になります。

さらに、その仮想通貨(暗号資産)を後日売却・交換した場合、売却価額から取得価額を差し引いた差額が再び所得として課税対象となります。

例:  
ビットコイン価格が1BTC = 700万円の時に、キャンペーン報酬として0.0002BTCを受け取った。

⇒ 700万円 × 0.0002BTC = 1,400円の利益

後日、ビットコイン価格が1BTC = 900万円の時に0.0002BTCを売却した。

⇒ 売却価額(900万円 × 0.0002BTC) - 取得価額(700万円 × 0.0002BTC) = 400円の利益

合計1,800円の利益

このように、付与時と売却時でそれぞれ利益が発生し、課税対象の所得となる点に注意が必要です。

損益計算のために記録を残しておくことが重要

上記のように、仮想通貨(暗号資産)の損益を正確に計算するには、キャンペーンで付与された仮想通貨(暗号資産)だけでなく、購入や売却などの取引も含めて全て漏らさずに記録しておく必要があります。

取引が一つの仮想通貨(暗号資産)取引所で完結している場合は、その取引所の取引履歴データを取得するだけで完結できる場合もありますが、実際には複数の取引所に跨って取引をするケースが少なくありません。

また、近年ではDeFi(分散型金融)やDApps(分散型アプリ)の利用など、取引所外の取引を行うケースも増えてきています。

取引の幅が広がり、件数が増えるほど仮想通貨(暗号資産)の損益計算とその準備は煩雑化していきます。

仮想通貨(暗号資産)取引を行う場合は、損益計算や確定申告に向けた準備についてもしっかりと意識しておく必要があるでしょう。

まとめ

この記事ではキャンペーンで付与された仮想通貨(暗号資産)について、税金が発生する仕組みやタイミング、損益計算の方法、注意点などを解説してきました。

確定申告の要否を確認するには仮想通貨(暗号資産)取引全体の損益計算が必要となるため、取引履歴の収集・管理や計算に大きな手間がかかってしまいます。損益計算や確定申告に向けた準備を、手間をかけずに正確に行いたい場合は、専用の損益計算ツールの活用を検討するのも良いでしょう。

仮想通貨(暗号資産)専門の損益計算ツール「クリプタクト」であれば、国内外130種類以上の取引所やウォレットから取引履歴を取り込むことができるため、手作業で取引の記録を管理する必要がありません。

25,000銘柄を超える仮想通貨(暗号資産)・法定通貨の時価情報も1分単位で保有しているため、正確な時価情報に基づいた損益計算が自動的に行われます。

手間をかけずに正確な損益計算を行うことで、安心して確定申告の要否判断や準備をしてみてはいかがでしょうか。

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