個人事業主が仮想通貨で得た所得の税金対策|青色申告や法人化は?

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仮想通貨取引からの利益には、所得税や住民税の支払いが必要です。株式投資に適用される約20%の申告分離課税と比較すると、仮想通貨の税率は合計で50%を超えることもあります。このため、多くの人が「仮想通貨の税金は高い」と感じているかもしれません。

しかし、同じ仮想通貨取引でも「事業」として行うことで、サラリーマンの副業や小遣い稼ぎとして行う場合よりも税金が安く抑えられる可能性があることをご存じでしょうか。

この記事では、仮想通貨取引を個人事業主として行った場合の税金について、その税率や利用可能な控除、法人化を検討したいタイミングなどをわかりやすく解説していきます。事業として仮想通貨取引を行う際に欠かせない、決算作業の負担を軽減する方法についてもご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

  1. 仮想通貨の取引で一定以上の利益を出したら確定申告が必要
  2. 仮想通貨取引の利益にかかる所得税率は?【個人事業主の場合】
  3. 仮想通貨取引の利益にかかる所得税を抑えるには?【個人事業主】
  4. 仮想通貨の税金対策ならクリプタクトがおすすめ!

仮想通貨の取引で一定以上の利益を出したら確定申告が必要

個人事業主が仮想通貨取引によって一定以上の利益を得た場合、確定申告をして税金を支払う必要があります。

確定申告の要否を判断する際には、利益が48万円を超えているか否かが一つの基準となります。

所得税には基礎控除と呼ばれる仕組みがあり、年収2,400万円以下の人であれば最大48万円まで所得(利益)から控除(差し引いて計算)することが認められているためです。                    

すなわち仮想通貨の取引も含めて年間の所得が48万円以下の場合は、課税所得が無いため確定申告は不要と考えることができます。一方で年間の所得が48万円を超える場合は、確定申告を忘れずに行うようにしましょう。

なお、この記事では所得税を中心に解説していきますが、所得を得た人は所得税の他に住民税も支払う必要があります。

確定申告を行う場合は住民税の申告も併せて行ったものと見なされますが、確定申告を行わない場合は別途住民税の申告が必要になりますので注意しましょう。

住民税の申告についてはこちらの記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

仮想通貨取引の利益にかかる所得税率は?【個人事業主の場合】

税金対策を考える上で、まずは所得税の仕組みを押さえておきましょう。

所得税の税率は最大45%

所得税では「超過累進課税」と呼ばれる仕組みが採用されており、課税される所得金額に応じて税率が高くなります。

その税率は最小5%から最大45%とされており、具体的な所得と税率の関係は次の表のようになっています。

所得税率.png  
*1,000未満の端数金額は切り捨て  
引用:国税庁|No.2260 所得税の税率

上記の通り、課税される所得金額の合計が増えるほど税率も高くなっていますが、一方で控除額も増えています。

これは、所得金額に税率を掛けたあとに税額から差し引くことができる金額を指しており、税率の変わり目にあたる人が損をすることがないように配慮されているのです。

このように、所得税の計算をする際は課税所得の合計に対応する税率を掛け、控除額を差し引くことで所得税額を求めることができます。

なお、上記の税率は総合課税の対象となっている「不動産所得」「給与所得」「事業所得」「雑所得」などに適用されます。分離課税の対象である「配当所得」「退職所得」「山林所得」などは別の計算方法となりますので注意しましょう。

「雑所得」より「事業所得」の方が税制上優遇されている

さて、「課税される所得金額」とは仮想通貨取引やその他の所得を合算した金額ですが、計算をする際には必要経費や所得控除などを差し引けることとなっています。この際、所得がどの所得区分に該当するかによって税務上の取り扱いが異なります。

例えば、「雑所得」は他の所得との損益通算や繰越控除の利用ができません。損益通算とは異なる所得区分同士の利益と損失を相殺することを言います。仮想通貨の利益を「雑所得」で申告している場合、仮想通貨取引で赤字になった分を他の所得から差し引いて課税所得を圧縮することはできないのです。    

一方、繰越控除とは今年の損失を来年以降の利益と相殺することを言い、利益が不安定な場合には長期の視点で課税所得を圧縮する効果が期待できますが、こちらも「雑所得」では利用できません。どちらも「事業所得」「譲渡所得」「不動産所得」「山林所得」では認められた非常に有効な節税手段ですが、「雑所得」では適用することができないのです。

また、「事業所得」または「不動産所得」がある場合は、個人事業主として青色申告を行うことで最大65万円の青色申告特別控除を受けることができます。

確定申告には大別して青色申告と白色申告の2種類がありますが、一般的に白色申告の方が簡単で、申告書類も少なくなっています。一方で、青色申告の場合はより複雑な記帳や申告書類の作成が必要になりますが、青色申告では最大65万円の特別控除が利用できるほか、赤字の繰越控除が可能となるなど税制面で大きなメリットがあるのが特徴です。  

このように「雑所得」より「事業所得」の方が税務上優遇されており、仮想通貨取引による所得も「事業所得」として申告することで有利になると考えられているのです。

事業所得に認められる基準とは

仮想通貨取引による所得を「事業所得」として申告するためには、実際に仮想通貨取引を事業として行っている必要があります。

とはいえ、税務当局としても申告された内容について事業性の有無を見分けるのは簡単なことではありません。

そこで国税庁では「事業所得」として申告できる所得について、次のような判断基準を設けています。

※資産の譲渡は譲渡所得・その他所得  
(注)次のような場合には、事業と認められるかどうかを個別に判断することとなります。  
①その所得の収入金額が僅少と認められる場合  
②その所得を得る活動に営利性が認められない場合  
引用:国税庁|「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)

仮想通貨取引による収入が300万円以下で、かつ帳簿書類の保存をしていない場合には原則的に「雑所得」と見なされますが、そうでない場合には「事業所得」として認められる可能性があります。

特に、事業として適正な帳簿書類を作成・保存しているかどうかが、重要な判断基準になっているのです。

また、国税庁は「事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する。」と明記しており、社会通念上の判断も必要になってくるので留意が必要です。

記帳と帳簿の保管を適正に行うことは、青色申告(65万円控除)においても条件となっています。仮想通貨取引に関する会計を事業としてしっかり行うことで、税金対策を一歩前進させることに繋がることでしょう。

仮想通貨取引の利益にかかる所得税を抑えるには?【個人事業主】

ここまでは所得税に関する基礎知識について解説してきました。  
それでは、仮想通貨取引における所得税を抑える節税対策について、その方法を整理してみましょう。

経費を正確に算出して収入から差し引く

経費を漏らさず正確に計上することは、最も手軽に始められる節税方法のひとつです。

所得税は収入から経費などを引いた課税所得に対して税率を掛けて算出されるため、所得を低く抑えることが重要となります。

ただし、仮想通貨取引において経費に該当するのは、仮想通貨の売買などに際して直接要した費用となります。

仮想通貨取引における経費の例  
・仮想通貨の取引手数料  
・仮想通貨の送金手数料  
・電気代や通信費  
・パソコン代 etc…

なお、電気代や通信費など、仮想通貨取引以外の用途と共用している場合は按分計算が必要です。個人事業主として自宅で仮想通貨取引を行う場合などは、特に注意するようにしましょう。

また、パソコン代については10万円以上の場合は減価償却の対象となるため、一括で経費計上することができません。ただし、青色申告書を提出して少額減価償却資産の特例を受けることができる場合は、30万円以上が減価償却の対象となります。

仮想通貨取引における経費計上についてはこちらの記事でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

青色申告を行う

確定申告の際に青色申告を選択することで、税制面でさまざまな優遇措置を受けることができます。

最大65万円の青色申告特別控除を受けることで 、課税所得を大幅に圧縮することができるほか、最大3年間に渡って赤字を繰り越すことができるようになるため、利益が不安定な仮想通貨取引においては長期的な視点で非常に有効な節税手段となります。

比較表(クリプタクト作成)

また、事業所得として計上することで、雑所得よりも経費の範囲が相対的に増えるため、経費計上できる費用が増える点もメリットと言えるでしょう。

なお、青色申告は白色申告の場合と比べて確定申告の内容が複雑になるほか、記帳や帳簿書類の保存などの要件が厳しくなる点はデメリットとなります。

会計ソフトなどを導入し、仮想通貨取引の税金計算などの管理負担を可能な限り軽減させる工夫をすることが重要でしょう。  
なお、現在の主要な会計ソフトは基本的に複式簿記に対応しているため、会計ソフトを導入し、会計ソフトにしっかりと入力すればそれだけで概ね青色申告の要件を満たすこととなります。

法人化を検討する

仮想通貨取引で一定以上の所得を得ている場合は、「法人成り」すなわち事業の法人化を視野に入れてみるのも一つの方法です。

個人の場合は仮想通貨取引の利益に対して5%~45%の所得税がかかりますが、法人の場合は所得税の代わりに15%もしくは23.2%の法人税を支払うこととなります。

つまり、仮想通貨の利益の規模によっては、所得税よりも法人税の方が安くなる可能性があるのです。

さらに法人化することで、社会保険料や福利厚生費など、経費として計上できる範囲が個人事業主よりも広がります。

ただし、法人は設立時に登記などの費用が必要になるほか、経理や決算事務などが個人事業主よりも複雑になるというデメリットもあります。

また、法人が仮想通貨取引を行う場合は、保有する全ての仮想通貨について期末に時価評価を行い、簿価の洗替処理をします。含み益は課税対象として処理されるために、仮想通貨を保有しているだけでも税金が発生する可能性があります。

このような管理作業を全て手作業で行うのは大変大きな負担となりますので、仮想通貨の管理に長けた会計ツールを導入することで、事務作業を効率化することも併せて検討してみると良いでしょう。    

なお、法人化による仮想通貨取引の節税については、こちらの記事でも長所と短所などについて詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。

仮想通貨の税金対策ならクリプタクトがおすすめ!

この記事では、仮想通貨取引にかかる税金を安くするための対策について解説してきました。

特に仮想通貨取引を事業として行うことで、個人事業主または法人として大きな節税につながる可能性があります。

ただし、仮想通貨取引の税金を申告する際には、年間の取引履歴を全て漏らさず把握し、正確な損益計算に基づいて税額を算出する必要があります。

ただでさえ手作業で行うのは負担が大きい作業ですが、さらに青色申告や法人決算などの負担も重なる場合は、出来る限り仮想通貨の計算作業を自動化して、作業負担を軽減することが欠かせません。

仮想通貨専門の損益計算ツール「クリプタクト」であれば、確定申告に必要な仮想通貨取引の損益計算を簡単に自動化することが可能です。

実現損益と年度損益も同時に見比べることができるため、最適な税金対策を検討するうえで必要な情報にいつでもアクセスすることができます。

※上記の計算機能はスタンダードプラン以上の加入が必要です。

また、法人化した際に必要となる年度末評価損益の加算に関する機能もが備わっているため、法人における仮想通貨の期末会計処理もサポートすることができます。

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これらの計算に必要な仮想通貨の取引履歴は、国内外における多数の仮想通貨取引所とのAPI連携や、ブロックチェーンからの取引履歴取得機能により、DeFi取引を含めて幅広い対象を手間をかけずに収集できます。

「クリプタクト」を活用することで煩雑な確定申告作業をできる限りシンプルにして、効率的に税金の対応を進めてみてはいかがでしょうか。

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