DeFiの流動性提供の税金処理方法とは?損益の計算方法を解説

税金・税制
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流動性提供とは、DeFi(分散型金融)のプラットフォーム上のプールに2種類の仮想通貨を提供することを指し、提供者は交換取引などで実際に使われた量に応じて報酬を得ることができます。

仮想通貨を元手に利回り(Yield)を収穫(Farming)できることから、イールドファーミングとも呼ばれる投資手法ですが、税金の考え方が少し特殊なため、正しく理解しておかないと過少申告や未納に繋がる恐れもあります。

この記事では、DeFiの流動性提供(イールドファーミング)で税金が発生するタイミングと、その計算方法についてわかりやすく解説していきます。

流動性提供を行っている方、またはこれから始めようとしている方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

  1. ケース別DeFiの流動性提供に係る税金 
    ●報酬を受け取った場合 
    ●開始時と解除時で通貨の枚数が変わった場合 
    ●LPトークンを取得した場合
  2. 仮想通貨の損益計算をより簡単に行う方法

なお、流動性提供(イールドファーミング)についてはこちらの記事でも詳しく解説していますので、興味のある方は併せてご覧ください。

ケース別DeFiの流動性提供に係る税金

現在、DeFiの流動性提供(イールドファーミング)に対する税務上の取り扱いについて、国税庁から明確な指針は示されていませんが、一般的には次のようなタイミングで損益認識をする必要があるものと考えられています。

● 報酬を受け取った場合  
● 開始時と解除時で通貨の枚数が変わった場合  
● LPトークンを取得した場合

それぞれの考え方について、詳しく見ていきましょう。

報酬を受け取った場合

国税庁の指針によると、マイニング・ステーキング・レンディングなどにより仮想通貨を取得した場合、その取得時点の時価を収入として認識する必要があるとされています。

流動性提供(イールドファーミング)によって報酬を得た場合も、これと同様に利益認識すべきと考えられます。

流動性提供を行い、報酬としてXコインを2枚、Yコインを3枚取得した。

⇒次のように利益を認識する必要がある。  
● Xコイン2枚の時価を利益認識  
● Yコイン3枚の時価を利益認識

 

報酬を得るために直接要した費用(DeFiのトランザクション手数料など)については経費計上が認められる可能性がありますが、通常は小額に留まることが一般的ですので、基本的に流動性提供(イールドファーミング)による報酬はほぼ全額が所得として課税対象になると考えて良いでしょう。

このように、報酬に伴う損益認識はシンプルな内容ですが、流動性提供(イールドファーミング)に関する税金計算は報酬の部分だけでは完結しません。

次の項では、プラットフォームに預けている残高について、増減が発生するケースについて見ていきましょう。

開始時と解除時で通貨の枚数が変わった場合

流動性提供(イールドファーミング)を行い、実際に取引が行われると、プラットフォームに提供している仮想通貨の残高が変動していきます。

これは、DeFiの利用者が実際に流動性提供者が提供した仮想通貨を使って交換取引などを行っているためです。

これによって、流動性提供を解除する際の残高が、開始時の残高から増減しているという現象が発生します。取引量が相応にある通貨ペアであれば、こうした変動はほぼ確実に発生すると考えて良いでしょう。

変動によって生じた損益は、流動性提供を解除するタイミングで次のように損益認識する必要があります。

10枚のXコインと15枚のYコインで流動性提供を開始した。解除時に、12枚のXコインと14枚のYコインが戻ってきた。

⇒次のように損益を認識する必要がある。  
● (12 - 10) = 2枚のXコインを時価で利益認識  
● (14 - 15) = -1枚のYコインを損失計上

 

なお、総額が減少している場合はインパーマネントロス(Impermanent Loss)、逆に総額が増加した場合はインパーマネントゲイン(Inpermanent Gain)と呼びます。

これらは流動性提供の仕組み上の都合で発生してしまう変動であり、インパーマネントゲインはそれ自体を主目的として流動性提供(イールドファーミング)が行われているわけではありません。

しかし、損益が発生する以上、税金の計算上はしっかりと考慮しておく必要があるのです。

LPトークンを取得した場合

LP(Liquidity Pool)トークンとは、流動性提供者に対して発行されるトークンです。

通常は、流動性提供(イールドファーミング)で預けている仮想通貨に対する「預かり証明書」のような機能を果たしており、それ自体には資産価値がないケースが一般的です。

資産価値がないLPトークンの取得(増減)は損益に影響を与えないため、損益計算には組み込まないで良いものと考えられます。

流動性提供を行い、10枚のLPトークンを取得した。その後、提供解除に伴い10枚のLPトークンを返した。

⇒ LPトークンの増減については損益認識しない

 

ただし、LPトークンは通常の仮想通貨と同様にウォレット間で移転が可能なものが多く、中には移転に伴って流動性提供の「所有権」を譲渡できるものなど、DeFiサービスごとに独自のユースケースが用意されている場合があります。

流動性を提供することによって取得するLPトークンは、仮想通貨の交換として利益を認識するのか、そうでないのかについて、国税庁は明確に定めておりません。

LPトークンの取得をもって仮想通貨同士の交換と同様の処理をするべきという見解もありますが、一方でLPトークンは流動性を提供したという証拠となるトークンのみであり、仮想通貨の交換に該当しないという見解もあります。

取得したLPトークンの特性や、自身がLPトークンをどのように用いて取引するかなどによって税務上の取り扱い方法が変わる可能性もあり、最終的には所轄の税務署が判断することになります。実際に申告する際には、税理士や税務署などに確認をするようにしましょう。

仮想通貨の損益計算をより簡単に行う方法

流動性提供(イールドファーミング)は、保有する仮想通貨を提供するだけで、特に手間をかけることなく継続的に利益を得られる魅力的な投資手法です。しかし、発生した利益に対しては自分で正確に税金の計算をして、申告を行う必要があります。

この記事でご紹介してきた考え方で利益認識した金額は、その他の仮想通貨の利益と合算し、必要経費などを差し引いたうえで所得税の課税対象となります。すなわち、流動性提供(イールドファーミング)だけでなく他の仮想通貨取引も含めて1年間に行った取引を全て記録し、それぞれの取引の損益を算出する必要があるのです。

こうした作業は非常に煩雑で手間がかかるため、確定申告の期限が近づいてから頭を抱えてしまう方も少なくないことでしょう。

そこで頼りになるのが、仮想通貨専門の損益計算ツール「クリプタクト」です。

「クリプタクト」であれば、国内外90カ所以上の取引所・ウォレットサービスからの取引履歴の取得に対応している他、ウォレットアドレスとネットワークを指定することでブロックチェーンから直接取引履歴を取得することも可能なため、1年間の取引を簡単に収集することができます。

また、カスタムファイルを作成することで流動性提供(イールドファーミング)を含むさまざまなケースにも対応できるため、仮想通貨取引の損益計算をワンストップで完結することが可能です。カスタムファイルの記載方法については随時ヘルプページにてご案内しています。

クリプタクトのカスタムファイル作成例

※この場合、(取引)種類の箇所、増えたコインをBONUS、減ったコインをLOSSとして入力していただくことでクリプタクトが取引内容を認識できるようになっていることをご案内しています。

なお、ツールのその操作感や画面イメージはデモ画面で手軽に確認することができます。 デモ画面の利用にユーザー登録は必要ありませんので、ぜひお気軽にご覧ください。

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