DAO(分散型自律組織)とは?仮想通貨との関係や事例について解説

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近年、ブロックチェーン技術を基盤とした新しい組織の在り方として、DAO(分散型自立組織)が注目されています。

Web3(3.0)やDeFiなど仮想通貨関連のトレンドワードと共に語られることが多い「DAO」ですが、よくわからないという人も多いのではないでしょうか。この記事では「DAO」とはどのような概念なのか、なぜ注目されているのかについてその特徴や仮想通貨との関係性を踏まえて解説していきます。

目次

  1. DAO(分散型自律組織)とは?
  2. DAOと仮想通貨の関係性
  3. DAOの歴史
  4. DAOの事例
  5. 今後のIEOの予定
  6. DAOはなぜ注目されているの?

 DAO(分散型自律組織)とは?

DAOとはDecentralized Autonomous Organization(分散型自律組織)のことで、「ダオ」と発音されています。

主な特徴は次のとおりです。

● 中央管理者がいない組織  
● ガバナンストークンなどを通じた投票による意思決定  
● 誰でも組織に参加でき、運営の透明性が高い

中央管理者がいない組織

従来の組織はリーダーや管理者のいるピラミッド型の階層を形づくることで組織が動くことが一般的でした。

しかしDAOには、このような管理者が存在しません。

DAOに参加するコミュニティメンバーは互いにフラットな関係性であり、自由意志に基づいてDAOに参加することができます。そして、自分がそのプロジェクトに出資した分だけ、運営に対する発言権を得られることが一般的です。

ガバナンストークンなどを通じた投票による意思決定 

メンバー間のコミュニケーションがオンラインで完結するDAOでは、「Discord」や「Telegram」などのSNSツールが活用されるケースが多く見られます。これらのツールは、独自の「サーバー」や「チャンネル」と呼ばれるグループを簡単に作成することができ、メンバー管理もしやすいため、コミュニティのオンライン拠点や議論の場として活用されています。

例)オンライン上でのメンバー間コミュニケーションの様子

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しかし、コミュニティとして正式に意思決定を行う際には信頼できる投票制度が必要です。DAOでは前項のような仕組みを実現するために、ガバナンストークンと呼ばれる仮想通貨が活用されています。 
コミュニティのメンバーは所定の方法でガバナンストークンを購入することで、プロジェクトに対して出資を行うとともに、組織運営における投票権を得ることができます。 
ガバナンストークンは購入するほかに、プロジェクトに貢献することに対する謝礼や無料のプレゼントとしても配布されるなど、インセンティブの付与やプロモーション活動のツールとしても活用されています。

 誰でも組織に参加でき、運営の透明性が高い

ガバナンストークンを保有していれば誰でも参加できるDAOは、組織運営の透明性が非常に高いという特徴も併せ持っています。

そもそも、DAOはブロックチェーン技術を基盤として運営されているため、スマートコントラクトを用いた投票などのトランザクションは全て公開され、誰でも閲覧することができます。  

また、DAOが有する投票機能や各種サービスなどのプログラムは、基本的にオープンソースとして公開されています。

そのため、どのような仕組みでDAOの組織が動いているのかを常に外部からチェックすることが可能となっているのです。

 DAOと仮想通貨の関係性

DAOは、非中央集権的なブロックチェーンの仕組みや、自動的なプロセスで契約を締結・履行できるスマートコントラクトなど、仮想通貨と共通の仕組みによって運営されています。

そもそも、ビットコインやイーサリアムも特定の所有者や管理者がいない非中央集権的なコミュニティによって運営・開発されていることから、これらも広義におけるDAOと言うこともできるでしょう。

また、DAOが意思決定に用いているガバナンストークンの中には仮想通貨取引所へ上場しているものも多く存在し、資金調達の手段のひとつとしても活用されています。  
このように、DAOと仮想通貨は深い関係によって繋がっているのです。

 DAOの歴史

DAOの発祥は、2016年に誕生した「The DAO」にあると言われています。

「The DAO」は、イーサリアムのプラットフォームを活用した投資ファンドであり、ガバナンストークンによる投票によって投資先を決定し、得られた利益は投資者に分配するというものでした。

それまでになかった新しい仕組みとして注目を浴びた「The DAO」は、2016年5月に実施したICOにおいて当時の時価で約150億円相当のETHの調達に成功しています。

しかし直後にシステムの脆弱性を突かれ、約50億円が流出するという事件が発生してしまいました。

幸い、イーサリアムのコミュニティがハッキングを無かったことにするため、ハードフォークで送金記録を取り消すことで被害は食い止められましたが、DAOの歴史は失敗から始まることとなってしまったのです。

しかし、こうした失敗から教訓を得ることでDAOのセキュリティや技術は進化を続け、現在も世界中で新しいDAOが誕生し続けています。

 DAOの事例

DAOの事例は先述した「The DAO」 などの他にも、さまざまな目的(プロトコルそのものを維持・運用・改良していく、同じ趣味趣向を持つ人々がコミュニケーションをとる、など)のために編成された数多くのDAO存在します。

ここでは規模の大きいDAOの事例として国内外で代表的な2つを紹介します。

Uniswap

イーサリアム上の分散型取引所(DEX)として有名なUniswapですが、その運営母体のコミュニティは世界最大級のDAOの一つとしても知られています。  

Uniswapのサービス自体は中央管理者のいないDEXですが、その仕組みを開発して公開しているコミュニティが、DAOの形態を採用しているのです。UniswapのDAOメンバーは「UNI」と呼ばれるガバナンストークンを保有することでUniswapの運営に参加することができます。

「UNI」はUniswapをはじめBinanceやDigiFinexなど複数の仮想通貨取引所で購入できるほか、流動性マイニングと呼ばれる作業を行うことで報酬として獲得することも可能です。

NinjaDAO

DAOは日本にも数多く存在していますが、中でも「NinjaDAO」は国内最大級のNFTコレクションを管理するDAOとして注目されています

NinjaDAOは誰もが利用できるキャラクター「CryptoNinja」の公式コミュニティであり、Web3(3.0)発祥のIP(知的財産)を生み出すことを目的としています。ドット絵にデフォルメされた愛らしいCryptoNinjaが自動生成されるジェネラティブNFTや、ふるさと納税の返礼品、TVアニメシリーズ化など、魅力的なIPを活用したさまざまなプロジェクトが人気を博しています。

ガバナンストークンの「CNGT」を保有することで、コミュニティの運営にも参加することができます。二次創作や商用利用が自由なIPという特徴的なコンセプトも相まって、公式以外にも様々なプロジェクトが行われています。    

DAOはなぜ注目されているの?

いま、IT分野では「Web3(3.0)」という概念が急速な盛り上がりを見せています。
Web3(3.0)とは、ブロックチェーン技術を活用した分散型のインターネットを指す概念です。この概念では小数のサーバーから一方向的に情報を発信していたインターネット黎明期をWeb1.0、現在のように双方向に情報発信ができるものの中央集権的な大組織(Google、Twitter、Facebook、あるいは政府など)によってサービスやデータが独占されている状態をWeb2.0と定義しています。

そしてWeb3(3.0)はそれらの進化形として、今後は中央集権的な大組織を必要としない、ユーザー主体の分散型インターネットの仕組みが主流になっていくとする考え方なのです。このWeb3(3.0)の考え方を通じて、中央管理者のいない金融サービスである「DeFi(分散型金融)」や、ブロックチェーンでデジタルコンテンツの所有権を証明する「NFT」、そしてそれらの技術を使って仮想空間を作り上げる「メタバース」などが誕生してきました。

こうしたプロジェクト全てに共通して必要となるのがそれを運営するコミュニティや組織であり、それさえも分散型で実現するのがDAOということになります。DAOはインターネットに接続できる環境さえあれば誰でも作ることができるため、今後もさまざまな新しいDAOが登場していくことが予想されます。こうした最新のトレンドワードとの関連性や将来性が、DAOが注目を集める大きな要因となっているのです。

なお、Web3(3.0)については以下の記事で詳しく解説していますので、興味のある方は併せてご覧ください。

まとめ

DAOはWeb3(3.0)・DeFi・NFT・メタバースなどの最新トレンドワードとの関連性も高く、非常に将来性が期待される分野です。しかしながら、DAOは新しい概念であるため世界各国での法整備が十分に進んでいない点には留意が必要です。

たとえば日本においては現状、DAOで作られた組織は法人格を有することができないため、DAOが法的な権利主体となることができません。すなわち、DAOが主体となって契約関係を結んだり、許認可が必要な事業を営むことはできないのです。またコミュニティメンバーの責任の所在も不明確であるなどの問題もあります。

とはいえ、こうした問題に対する法整備の議論は日本を含めて世界各国で進められており、DAOを取り巻く環境が今後どのように変化していくのかが注目されています。

なお、仮想通貨の損益通算ツール「クリプタクト」が運営している当ブログでは、こうした仮想通貨関連のトレンドワードや仮想通貨取引をするうえで知っておきたい税金について解説する記事を定期的に公開しています。最新情報が知りたい方はクリプタクトに登録すると受け取れるメルマガの登録や公式Twitterアカウントをフォローしてみてください。