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HyperLiquid(ハイパーリキッド)に代表される海外のPerp DEX(無期限先物を扱う分散型取引所)では、米国株や金・原油・株価指数などの実世界資産を、24時間オンチェーンの無期限先物(Perp)として取引できます。暗号資産が売られやすいリスクオフ局面や、伝統市場が閉まっている週末でも、別の要因で動く資産にポジションを取れる点が注目を集めています。

一方で、こうした取引が日本でどう課税されるかは、国内取引所での現物売買とも、国内の株式・FX・商品先物とも前提が異なります。「国内なら株式も金も約20%の分離課税なのだから、これも同じでは」と考える方もいるのではないでしょうか。この記事では、海外DEXでの実世界資産Perp・トークン化資産の取引にかかる税金の考え方を、HyperLiquidを代表例に、2026年6月時点の情報をもとに解説します。

なお、ここで解説する税務上の扱いは、HyperLiquid固有のものではありません。(1)取引する対象が暗号資産・暗号資産デリバティブであること、(2)取引の場が日本で登録されていない海外の取引所であること——この2点から生じる、海外のPerp DEX全般に共通する考え方です。本記事では、その最も代表的な例としてHyperLiquidを通して説明します。

この記事でわかること

  • 海外DEX(HyperLiquid等)での利益が、日本では原則として「雑所得」の対象になる考え方がわかります
  • 株式・金・指数などのPerpが、国内の分離課税ではなく総合課税になりうる理由を理解できます
  • 無期限先物(Perp)とファンディングレートの損益の考え方がわかります
  • 年間取引報告書が発行されない海外DEXで、損益を算出する手順がわかります
  • 暗号資産の税制改正が、海外DEXの利用者にどう影響しうるかを見通せます

目次

  1. 海外DEX(HyperLiquid)取引にかかる税金の基本
  2. 無期限先物(Perp)・ファンディングレートの税金
  3. 実世界資産連動Perp(株式・金・指数)とトークン化資産の税金
  4. 年間取引報告書がないDEX取引の損益を算出する手順
  5. 暗号資産の税制改正と海外DEX利用者への影響
  6. 確定申告で注意すべきポイント・申告漏れリスク
  7. よくある質問
  8. まとめ

海外DEX(HyperLiquid)取引にかかる税金の基本

海外DEXでの取引を考える前に、まず日本の暗号資産税制の基本を押さえておくことが大切です。

仮想通貨(暗号資産)取引から生じた利益は、現行制度では原則として「雑所得」に分類され、給与所得などほかの所得と合算して税額を計算する「総合課税」の対象となります。総合課税では所得が大きいほど税率が高くなる累進課税が採用されており、所得税・住民税・復興特別所得税を合わせると、最高で約55%の税率になる場合があります。

仮想通貨取引の利益に対する税金の基本的な仕組みについては、以下の記事で詳しく解説しています。

海外取引所でも日本の居住者は申告の対象

「海外のDEXだから日本では関係ない」と考えるのは誤りです。日本の居住者は、国内外を問わず生じた所得について申告の対象となるのが原則です。取引の場が海外の分散型取引所であっても、日本の居住者で利益が出ていれば確定申告が必要となるケースがあります。

税率の目安

総合課税の税率は、課税所得に応じて段階的に上がります。たとえば課税所得が900万円を超える部分には、所得税と住民税を合わせて約43%以上の税率がかかる計算になります(実際の税額は所得控除など個別の事情によって変わります)。自分のケースでの概算は、損益計算ツール「クリプタクト」が提供する「【完全無料】仮想通貨の税金計算シミュレーションツール」でも確認できます。

無期限先物(Perp)・ファンディングレートの税金

無期限先物(Perp)は、満期のない先物取引です。海外のPerp DEX(HyperLiquidはその代表例です)でこれを取引する場合に重要なのは、国内のFXや商品先物・株価指数先物が「申告分離課税(約20%)」の対象であるのに対し、暗号資産のデリバティブ取引による損益は、現行制度では雑所得として総合課税の対象になるのが一般的という点です。同じ「先物取引」でも、国内の証券会社等を通じた取引と、海外DEX上の暗号資産デリバティブとでは前提が変わる可能性があります。なお、無期限先物はレバレッジを伴う取引であり、価格変動によっては損失が大きくなる可能性がある点にも注意が必要です。

Perpの実現損益の考え方

Perpの損益は、ポジションを決済した時点で実現損益として認識するのが基本的な考え方です。未決済のまま保有しているポジションの含み益・含み損は、原則として課税対象には含まれません。

ファンディングレートの受取・支払の扱い

Perpでは、買い方と売り方の間でファンディングレート(資金調達料)の授受が定期的に発生します。受け取ったファンディングレートは所得として認識されるのが原則で、支払った分は必要経費的に取り扱われる場合があります。授受の回数が多いほど集計が複雑になるため、記録を残しておくことが大切です。

USDC建て・証拠金の評価

HyperLiquidの取引はUSDC建てで行われることが多く、USDCの取得時と利用時のレート差も損益計算に関わってきます。ステーブルコインや外貨など、日本円以外の通貨で取引を行っている際は、証拠金の入出金やブリッジの履歴も含め、取引全体を日本円換算で集計する必要があります。

実世界資産連動Perp(株式・金・指数)とトークン化資産の税金

海外のPerp DEXでは、米国株や金・原油・株価指数といった実世界資産に連動するPerpやトークン化資産を取引できます。たとえばHyperLiquidでは、NVDAon・SPYon・AAPL・TSLAといった米国株に連動する銘柄が取引されています。これらは原資産が現実の株式やコモディティであっても、実態としてはオンチェーンの暗号資産(およびそれを原資産とするデリバティブ)として取引されています。

ここで多くの方が抱きやすいのが、「中身は米国株や金なのだから、国内と同じ分離課税(約20%)になるのでは」という考えです。しかし、これは取り違えが起きやすいポイントです。

24時間取引できる実世界資産Perpの広がり

海外DEXでは、伝統市場が閉まる週末や夜間でも、株式・コモディティ・指数のPerpを取引できます。暗号資産が売られやすい局面や、地政学リスクが高まる局面で、株式とは別の要因で動く資産に資金を振り向けたいユーザーにとって、24時間取引できる点が魅力とされています。こうした背景から、海外DEXでの実世界資産Perpの取引は近年大きく拡大しています。

原資産が株式・コモディティでも雑所得になりうる理由

国内であれば、株式・投資信託の譲渡益、FX、商品先物、株価指数先物の損益は、いずれも申告分離課税(約20%)の対象となるのが一般的です。一方、これらの金融商品をトークン化して行われるPerpは、原資産が何であっても暗号資産デリバティブとして扱われるため、現行制度のもとでは申告分離課税ではなく、暗号資産取引による「雑所得」として総合課税の対象になる可能性があります。

参考までに、国内での一般的な扱いと、海外DEX上のPerp(HyperLiquid等)の扱いを比較すると、次のように整理できます。

資産国内での一般的な扱い海外DEXのPerp(HyperLiquid等・現行)
株式(米国株トークン等)譲渡所得・申告分離課税 約20%暗号資産=雑所得・総合課税の可能性
金・原油などコモディティ商品先物=申告分離課税 約20%暗号資産=雑所得・総合課税の可能性
株価指数先物=申告分離課税 約20%暗号資産=雑所得・総合課税の可能性

国内では約20%の分離課税で優遇されている資産クラスでも、海外DEXのPerpでは総合課税の雑所得(最高約55%)になりうる、という負担差が生じる可能性があります。「国内と同じ約20%」という前提で資金計画を立てると、想定外の納税額になるおそれがあります。

金融商品取引法上の「トークン化有価証券」との区別

日本の金融商品取引法では、規制下で発行されるセキュリティトークンを「トークン化有価証券」として位置づけており、これらは有価証券として扱われます。一方、HyperLiquidで取引されるような株式トークンは、こうした日本の規制下で発行された有価証券とは異なる性質を持つと考えられます。同じ「トークン化された株式」という言葉でも、課税の前提が変わる可能性がある点に注意が必要です。

なお、これらの実世界資産連動Perpやトークン化資産の課税上の取り扱いは前例が少なく、現時点で国税庁などによる確定した公的見解が示されていない論点です。本記事は一般的な情報提供であり、確定的な税務判断ではありません。最終的な取り扱いは、税理士または国税局電話相談センター(0570-00-5901ナビダイヤル)に確認することをお勧めします。

年間取引報告書がないDEX取引の損益を算出する手順

国内取引所であれば年間取引報告書が交付されますが、HyperLiquidのような海外DEXでは、こうした報告書が発行されないのが一般的です。そのため、利用者が自分で取引データをダウンロードして、損益を算出する必要があります。

オンチェーン取引履歴の取得

まず、自分のアカウントの取引履歴とファンディング履歴をエクスポートします。HyperLiquidの登録・入金・取引や履歴の取得といった操作手順については、以下の記事で画像付きに解説しています。

損益計算の手順

取得した履歴をもとに、取得価額と売却価額の差から損益を計算します。複数の取引が絡む場合、個人の場合は原則総平均法、法人の場合は移動平均法が法定評価方法になりますので、それぞれの計算方法に基づいて、年間の実現損益を集計します。Perp・株式トークン・コモディティ・現物が混在すると手作業での集計は煩雑になりやすく、計算ミスも起きやすくなります。

クリプタクトでの取引履歴インポート

損益計算ツール「クリプタクト」は、HyperLiquidを含む国内外の多数の取引所に対応しており、HyperLiquidの取引履歴ファイルやファンディング履歴ファイルのインポートにも対応しています。取引履歴をアップロードするだけで、日本の税制に基づいて損益を集計でき、複数取引所や多数の銘柄が混在する場合の計算を効率化できます。無料のFreeプランからご利用いただけます。

暗号資産の税制改正と海外DEX利用者への影響

暗号資産の税制は、現在大きな転換点にあります。海外DEXの利用者にとっては、この改正が「自分にも適用されるのか」が重要な論点になります。

改正の方向性

2025年12月に決定された令和8年度(2026年度)税制改正大綱では、一定の条件のもとで暗号資産取引による所得を「申告分離課税」へ移行する方針が示されました。実現すれば税率は約20%の水準となり、損失の3年間繰越控除も創設される見込みです。改正の注目点については、以下の記事で詳しく解説しています。

海外DEXは対象外となる可能性

ここで注意が必要なのが、分離課税の対象範囲です。金融庁の資料では、分離課税の対象は「暗号資産取引業者(登録された国内の業者)が取扱う暗号資産を、その業者に対して譲渡した場合」などとされています。HyperLiquidのような海外の分散型取引所は、日本で登録された暗号資産取引業者には該当しないと考えられるため、改正が施行されても分離課税の対象外となり、雑所得・総合課税のまま取り残される可能性があります。

施行時期は、関連法令の整備を前提に早くて2028年1月1日以降の譲渡等が対象になると見込まれています。なお、海外DEXが分離課税の対象外となるかどうかを含め、現時点で確定した公的見解が示されているわけではありません。いずれも今後の法令・下位府令の整備によって変わりうるため、最新の情報は国税庁・金融庁の公表資料でご確認ください。

確定申告で注意すべきポイント・申告漏れリスク

海外DEXの取引は、申告の準備にも特有の注意点があります。

申告漏れ時の一般的なリスク

利益が出ているにもかかわらず申告をしなかった場合、本来の税額に加えて、無申告加算税や延滞税といった追加の負担が生じる可能性があります。「海外だからわからない」という考えは、現在の税務当局の情報把握の動向を踏まえると、リスクが高い前提だと言えます。

取引量が多い場合の実務的な注意

HyperLiquidのような取引所を活発に利用している場合、取引件数が膨大になり、すべてを手作業で集計するのは現実的でないことがあります。取引履歴をこまめに保存し、損益計算ツールで継続的に集計しておくことで、確定申告の直前に慌てる事態を避けやすくなります。申告の要否や税額は個別の事情によって変わるため、判断に迷う場合は税理士や国税局電話相談センターに確認することをお勧めします。

よくある質問

Q: HyperLiquidの株式トークンの利益は、株式と同じ分離課税ですか?

いいえ、現行制度では株式の申告分離課税ではなく、暗号資産取引による「雑所得」として総合課税の対象になる可能性が高いと考えられます。総合課税では最高で約55%の税率となる場合があり、株式の約20%とは負担が大きく異なるおそれがあります。最終的な取り扱いは税理士や国税局電話相談センターにご確認ください。

Q: 金や原油、指数のPerpも雑所得ですか?

はい、HyperLiquid上のこれらのPerpは暗号資産デリバティブとして扱われるため、原資産がコモディティや指数であっても、現行制度では雑所得・総合課税の対象になる可能性が高いと考えられます。国内の商品先物・指数先物(申告分離課税)とは前提が異なる点に注意が必要です。

Q: 海外DEXの利益は、日本で申告しなくてもよいですか?

いいえ、日本の居住者は国内外を問わず生じた所得が申告の対象となるのが原則です。給与所得者で給与以外の所得が年間20万円を超える場合などは、確定申告が必要となるケースが一般的です(申告の要件は給与の状況や住民税申告の有無によって変わります)。

Q: ファンディングレートの受取も課税の対象ですか?

はい、受け取ったファンディングレートは所得として認識されるのが原則です。授受の回数が多い場合は、年間の合計を集計して損益に反映する必要があります。

Q: 税制改正で、海外DEXの利益も約20%の分離課税になりますか?

いいえ、現時点では対象外となる可能性が高いと考えられます。令和8年度税制改正大綱で示された分離課税の対象は登録された国内業者を介した取引などが想定されており、海外DEXは対象に含まれない可能性があります。制度の詳細は今後の法令整備によって変わるため、最新情報の確認が必要です。

Q: 未決済ポジションの含み益にも税金がかかりますか?

いいえ、原則として課税対象となるのは決済して確定した損益です。未決済のポジションの含み益は、一般的には課税対象に含まれません(取り扱いが変わる場合もあるため、個別の判断は専門家にご確認ください)。

まとめ

HyperLiquidに代表される海外DEXでの取引は、無期限先物・実世界資産連動Perp(株式・金・指数)・ファンディングレートといった国内取引所にはない要素を含み、日本では原則として雑所得・総合課税の対象になると考えられます。「国内なら株式も金も約20%」「海外だから対象外」という思い込みは、想定外の納税額や申告漏れにつながるおそれがあります。さらに進行中の税制改正でも、海外DEXは分離課税の対象外となる可能性がある点に注意が必要です。

取引履歴が複雑になりやすい海外DEXの損益計算には、専門の損益計算ツール「クリプタクト」が役立ちます。HyperLiquidの取引履歴をアップロードするだけで、日本の税制に基づいた集計が可能で、確定申告の準備を効率化できます。