
ブロックチェーンを使って現実資産(RWA)とデジタルを結ぶ動きが広がっています。中でも、実物カードと交換可能な「NFTトレカ」は、コレクションや取引の新たな形として注目されています。
こうした中、「NFTトレカって何?」「税金はどうなるの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、NFTトレカの基本から、メルカリで取り扱われているNFTトレカの特徴、税金がかかるタイミングや計算方法、償還時の注意点について、初心者にもわかりやすく解説していきます。
NFTトレカとは
NFTトレカとは、ブロックチェーン技術を活用してデジタル上で所有権を証明できるトレーディングカードのことを指します。
従来の紙製トレカと異なり、所有履歴がブロックチェーン上に記録され、偽造や複製が困難な点が特徴です。
近年ではデジタル上の保有にとどまらず、実物のカードと連動した「RWA(Real World Asset:現実資産)型」のNFTトレカも登場しています。
これは、NFTを保有することで対応する実物のトレカを受け取ることができる仕組みで、新たなコレクション体験として大きな注目を集めています。
メルカリの「NFTトレカ」とは
「メルカリNFT」におけるNFTトレカとは、どういうものなのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
メルカリNFTの登場でNFTトレカが身近に
NFTトレカはこれまで、OpenSeaなどのNFTプラットフォームで購入可能でしたが、こうしたサービスに慣れていない人には利用のハードルがありました。
2025年1月には、日本国内のフリマアプリ「メルカリ」が「メルカリNFT」の提供を開始し、NFTトレカの取り扱いも始まりました。これにより、ユーザーは売上金やポイント、クレジットカードを使ってNFTを購入できるようになり、利用手段の選択肢が広がっています。
仮想通貨やWeb3に詳しくない人でも、比較的手軽にNFTトレカの購入・取引にアクセスできるようになった点は、変化の一つと言えるでしょう。
トレカの個人間トレードがオンラインで可能に
「メルカリNFT」で取り扱われているのは、CryptoGames株式会社が提供する「TCG STORE」によるRWA型NFTトレカです。これは、鑑定済みの実物トレーディングカードを裏付け資産としてNFT化したものです。
ユーザーはこのNFTをメルカリで購入し、他のユーザーに転売したり、必要に応じて実物のトレカを償還(受け取り)したりすることが可能です。
実物カードは専門業者によって安全に保管されているため、NFTの売買のみで実質的な所有権の移転がオンライン上で完結するという仕組みが実現されています。
従来は実物のトレーディングカードを取引する際に現物の受け渡しが必要でしたが、RWA型NFTトレカであれば、発送や受け取りの手間なく、完全にオンラインで個人間の取引を完結できます。
NFTトレカの税金がかかるタイミング
NFTトレカの取引を通じて利益を得た場合、所得税や住民税などの課税対象となる可能性があります。
NFTに関する税務上の取り扱いについては国税庁から考え方の指針が公開されていますが、基本的に「売買による利益」が課税対象となっています。
具体的には次のようなケースで、利益が課税される可能性があるでしょう。
● NFTトレカを売却して利益が出たとき
購入価格よりも高くNFTトレカを売却した場合、その差額が所得となり、課税対象になります。
● NFTトレカを他のNFTや暗号資産などと交換したとき
一見するとNFTトレカを別の資産に等価交換しているだけに見えますが、税務上は一度売却して得た日本円を支払うのと同じ行為とみなされ、利益が出ていれば課税される可能性があります。
一方で、NFTトレカを保有しているだけの状態では課税されません。
たとえ含み益があっても、売却などによって利益が確定していない限り、個人の場合は税金は発生しないと考えて良いでしょう。
メルカリNFTで取引をした場合の税金については、ページ下部の関連記事でも詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。
NFTトレカの税金計算方法
NFTトレカを売却して利益が出た場合、その所得は通常「譲渡所得」として分類され、給与など他の所得と合算のうえで「所得税」や「住民税」が課税されます。
詳しく見ていきましょう。
NFTトレカ取引による所得の計算方法
取引による所得額は、次のように計算されます。
NFTトレカ売買による所得額の基本式
売却額 - (取得費 + 必要経費) = 利益(課税所得) |
ここでいう取得費には、NFTトレカの購入時に支払った日本円換算額に加え、購入手数料などが含まれます。
必要経費には、NFTトレカを売却する際にかかったトランザクション手数料(いわゆるガス代)や取引手数料などが該当します。
例えば、5,000円で購入したNFTトレカを8,000円で売却し、手数料として500円を支払った場合、課税対象となる所得は次のようになります。
8,000円 −(5,000円 + 500円)= 2,500円(課税対象額)
なお、NFTトレカの購入にメルカリの売上金やポイントを使った場合でも、その取得時点の日本円評価額を記録しておく必要がある点に注意が必要でしょう。
所得から税額を計算する方法
NFTトレカの売却益などから算出した所得額は、給与など他の所得と合算した金額に応じて所得税率が適用されます。
該当する税率を用い、次の計算式で税額を求めることができます。
(課税所得 × 税率)- 控除額 = 所得税額 |
なお、課税所得を計算する際には、基礎控除(最大48万円)や社会保険料控除などの各種所得控除が適用できます。
それらを差し引いた結果、例えば課税所得が300万円となった場合、税率10%、控除額97,500円が適用されることになります。
300万円 × 10% - 97,500円 = 202,500円(所得税額)
上記は所得税に関する計算方法ですが、他にも約10%程度の住民税がかかります。
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NFTトレカの税金計算の注意点
NFTトレカ、特にRWA型NFTトレカの税務上の取り扱いについては、現時点で国税庁等による明確な指針は示されておらず、実際の税務判断はケースバイケースとなる可能性があります。
ここでは、一般的な税務原則に基づいた際に考えられる注意点についてご紹介します。
実物カードの市場価値はあいまい
償還時に取得した実物トレカの「時価」は、必ずしも明確ではありません。公式価格が存在しない場合も多く、どのタイミング・基準で価値を評価するかが不透明であり、損益の判断がグレーになりやすいという問題もあります。
このような場合、税務署に対して適切に説明できるよう、判断根拠や記録を残すことが非常に重要です。
頻繁な取引では所得区分が変わる可能性も
RWA型NFTトレカに限らず、NFTの転売などの取引を反復的・継続的に行っている場合、営利目的と見なされて所得が「事業所得」や「雑所得」に区分される場合があります。
所得区分が「譲渡所得」からこれらの区分に変わった場合は、50万円の特別控除が使えなくなるほか、経費計上の範囲も異なるため、結果的に税負担が増える可能性もあります。
また、事業所得として計上する場合は、開業届などの書類や、社会通念上の要件など実質的に事業として行えているかの判断が求められますので、事業所得計上の要件は厳しいでしょう。
まとめ
NFTトレカは、デジタル資産としての利便性とコレクション性を兼ね備えた新しい取引対象です。
特にメルカリを通じて誰でも簡単に購入・取引できるようになったことで、これまでNFTに馴染みのなかった人にも身近な存在になってきています。
一方で、売却などで利益が出た場合は税務申告が必要になることもあるため、早めに損益の記録と管理を始めておくことが大切です。
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