仮想通貨のハードフォークとは?これまでの事例や今後の予定も解説

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仮想通貨取引における「ハードフォークとは何か?」と疑問に思う方もいるでしょう。ハードフォークとは、仮想通貨のベースとなっているブロックチェーンが分岐することをいいます。では、分岐が行われるとその後の取引や仮想通貨はどうなるのでしょうか。

この記事ではハードフォークの概要やこれまでの事例、今後予定されているハードフォークについて解説していきます。

目次

  1. 仮想通貨のハードフォークとは
  2. ソフトフォークとハードフォークの違い
  3. これまでのハードフォークの事例
  4. 今後のハードフォークの予定
  5. まとめ

仮想通貨のハードフォークとは 

仮想通貨のハードフォークとは、鎖状につながっている一本の仮想通貨のブロックチェーンが途中でフォークのように枝分かれしていくことをさします。

仮想通貨の基盤となっているブロックチェーンは、1本の鎖状につながっています。しかし、ブロックチェーンはさまざまな要因・目的により途中から分岐することがあり、この分岐をフォークといいます。なお、カトラリーのフォークに似ていることからこのような名前になったと言われています。

フォークが発生するのにはいくつかの要因が考えられます。ひとつには悪意を持った参加者によるものもありますが、多くの場合は新たな機能の追加やセキュリティリスクへの対応、コミュニティ内の意見・主張の一致を図る必要性が出てきたことによるものです。

こうした要因に対しては計画的にフォークが行われることがあります。そしてその変更の適用範囲・方法の違いによってハードフォークとソフトフォークに分けられます。

 ソフトフォークとハードフォークの違い 

ソフトフォークとハードフォークの具体的な違いは以下の通りです 。

ソフトフォーク

ソフトフォークとは、仮想通貨のプログラムのバグを修正することや問題を解決するために行ったルール変更により発生する手順や規則の変更のことを指します。一度分岐しても、再びひとつのブロックチェーンに収束するという特徴があります。

変更された手順や規則はすべてのブロックに適用されるため、従来のルールに賛同していた参加者にとっては、不本意なシステムになる可能性があるでしょう。

ソフトフォークでは、従来のブロックチェーンと変更後のブロックチェーンとの間に相互性があるため、従来のブロックチェーンで使用されていた仮想通貨はそのまま使用可能です。

ハードフォーク

ハードフォークとは、主に大規模なルール変更のためにブロックチェーン自体の変更を行うことを指します。ブロックチェーン自体の変更を行うとブロックに互換性がなくなります。つまり、従来のブロックチェーンと、新バージョンのブロックチェーンのふたつが存在するということになります。この点がソフトフォークと大きく異なる点といえるでしょう。

これまでのハードフォークの事例

仮想通貨のハードフォークは珍しいことではありません。ここでは有名な仮想通貨でこれまでに行われたハードフォークの事例を紹介します。

イーサリアム(2016年7月)  

2015年7月にイーサリアムがリリースされてから約1年後、イーサリアムから分岐した仮想通貨「The DAO」を経由してイーサリアムがハッキングの被害に遭うという事件が起きました(The DAO事件)。

イーサリアムの生みの親であるヴィタリック・ブテリン氏はソフトフォークの実施を提唱しましたが、ブテリン氏の提唱に異論を唱える参加者も少なくなかったため、ソフトフォークを行ったうえでハードフォークを行うという方法が取られました。

ハードフォークが実施された後、新ルールに則ったイーサリアムのブロックチェーンはThe DAO事件でハッキングを受けなかったものとして継続されました。しかし、反対勢力は従来のルールに基づくブロックチェーンへの書き込みを続け、その結果イーサリアムは2016年9月から分裂することになったのです。

なお、従来のルールのブロックチェーンを継続している方はイーサクラシック(ETC)という名称に変更されています。

ビットコイン(2017年8月)  

ビットコインはこれまで多くの分岐を経験してきた仮想通貨ですが、中でも2017年8月に行われた「ビットコインキャッシュ(BCH)」のハードフォークを例に解説します。この時のハードフォークは、「スケーラビリティ問題」が原因とされています。

スケーラビリティ問題 とは、仮想通貨の利用者が増加するにつれ、仮想通貨送付の手数料が高騰することや取引の処理スピードが遅延するといったことが発生し、利便性が損なわれてしまう問題のことです。

スケーラビリティ問題を解決するために、ブロックひとつ当たりの格納容量を増やすという意見と、ブロックサイズの上限を引き上げ1回のブロック生成で処理できる取引数を増やすという意見が出ましたが、コミュニティ内で対立が生じました。

その後、両者の対立が解決しなかったためハードフォークが行われ、従来通りのブロックチェーンでビットコインの開発が進められる一方で、新しいルールに則って「ビットコインキャッシュ」が誕生し、開発が進められるようになったのです。

ビットコインキャッシュ(2018年11月)  

ビットコインキャッシュは、ビットコインのハードフォークにより誕生した仮想通貨です。これまで何度も利便性や機能向上のためハードフォークを行ってきました。なお、ビットコインキャッシュの公式サイトでは、これをハードフォークではなく「定期プロトコルアップデート」と呼んでいます。(これまでは毎年5月と11月に定期的に実施)具体的には以下のような内容のアップデートが行われてきました。

 2018年11月     
・開発者間の対立が起き、ビットコインキャッシュABCとビットコインSVに分裂     
・DApps構築機能が追加される

2019年5月     
トランザクションへの署名方式を「楕円曲線DSA」(ECDSA)から「シュノア署名」に変更

2020年11月     
ビットコインキャッシュノード(BCHN)とビットコインキャッシュABC(BCH ABC)の2つに分裂(ビットコインキャッシュノードが主要コミュニティ) 

2021年5月 
NFT対応のための調整(マイクロトランザクション処理や複数のデータを取引に含めることが可能に)

今後のハードフォークの予定 

今後予定されているハードフォークについて見ていきましょう。なお、ハードフォークが行われることが予測されている仮想通貨は、ハードフォーク実施の前後において大きな相場変動が起きる傾向があるといわれています。

イーサリアム(デンクン)

イーサリアムでは、2023年4月12日に「上海(Shanghai)」という名のハードフォークが実施されました。今回のハードフォークにより、ブロックチェーンの取引記録などに貢献していたバリデーターがステーキングしていたイーサリアムが引き出し可能となります。他にも、取引手数料を抑えるシステムの提案なども行われています。

今回(上海)のハードフォークの目的は、ステーキングされたイーサリアムの早急な引き出しを第一としていました。そして、今後イーサリアムの長期ロードマップの「サージ(The Surge)」をメインとしたアップデート、「デンクン(Cancun-Deneb) 」が予定されています。

このように、今後も各仮想通貨においてハードフォークが行われる可能性があるため、公式サイトなどで最新の情報を得ることが大切です。

まとめ

仮想通貨のフォークは、偶発的に起こるケースや悪意を持った参加者の意図により起こるケースもありますが、仮想通貨の安全性の向上や適切な機能を追加するためなど計画的に行われるケースもあります。

仮想通貨のフォークは新しい仮想通貨が発生する大もとになり、これまでも有名な仮想通貨でフォークが行われてきました。今後も、コミュニティの参加者の意見や主張によりフォークが行われることが予想できます。フォークをはじめ、大幅なアップデートやニュースが行われる予定の仮想通貨では、価格変動が起きやすい傾向があるため最新の情報を取得するようにしましょう。

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