テザー(USDT)とは?ホワイトペーパーから読み解く特徴や将来性について解説

仮想通貨コラム
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テザー(USDT)はTether Limited社が発行する仮想通貨で、米ドルの価値に1対1で裏付けられていることが特徴です。

そんなテザー(USDT)に投資してみたいものの、話題性や時価総額だけで判断してしまっていいのか悩んでいる。そんな方は、仮想通貨の計画書にあたる「ホワイトペーパー」の情報から、判断材料を集めてみてはいかがでしょうか。

この記事では仮想通貨テザー(USDT)とはどんな特徴があるのか?仮想通貨の計画書にあたる「ホワイトペーパー」を参照しながら、投資する上で重要な特徴を把握し、将来性について解説していきます。

目次

  1. そもそもホワイトペーパーとは?
  2. テザー(USDT)の特徴
  3. テザー(USDT)の将来性
  4. テザー(USDT)の足元の価格状況
  5. まとめ

そもそもホワイトペーパーとは?

仮想通貨のホワイトペーパーとは、プロジェクト運営者などによって発行される仮想通貨の説明資料を指します。特定の仮想通貨プロジェクトの目的や技術的な特徴、また 今後のロードマップなどが記載されています。

特に仮想通貨は株式や仮想通貨などと異なり、裏付けとなる資産が無い場合が多いため、ホワイトペーパーに記載されたプロジェクトの内容そのものが、その仮想通貨の価値を裏付ける非常に重要な要素となります。

それでは具体的にホワイトペーパーのどの部分に注目すればよいのでしょうか。代表的なポイントとして次の各点が挙げられます。

● 開発目的  
● アルゴリズム
● 体制(セキュリティ対策を含む)  
● 発行上限  
● 目標

では、このポイントに焦点を当てながら、特徴や描いている未来、将来性について説明していきます。

テザー(USDT)の特徴

テザー(USDT)は、運営母体であるTether Limited社によって価格が米ドルと連動するようにコントロールされている仮想通貨です。

このように法定通貨にペッグ(レートを一定に保つこと)された仮想通貨は「ステーブルコイン」と呼ばれていますが、テザー(USDT)はその代表的な銘柄として知られています。

それでは、テザー(USDT)の特徴について見ていきましょう。

開発目的

テザー(USDT)は「ブロックチェーン上の法定通貨」をコンセプトとして開発されました。

ブロックチェーンという非常に優れたテクノロジーの登場によって、当事者間の取引を仲介する第三者が不要になり、低コストかつリアルタイムで国境を意識することのない送金が実現されたのは周知の通りでしょう。

しかし、それにも関わらず仮想通貨の用途が限定的に留まっている原因について、テザー(USDT)のホワイトペーパーは次の2点を指摘しています。

● 不安定な価格変動   
● マーケットのテクノロジーへの理解不足

テザー(USDT)は米ドルとのペッグ制を採用し、100%の準備金を確保したうえでテザー(USDT)を発行するというシンプルな仕組みによって、これらの問題を解消することを目指したのです。もちろんテザー(USDT)は仮想通貨であり、実際の法定通貨(米ドル)そのものではない点には注意が必要です。

しかし、大きな価格変動に晒されることなくブロックチェーンや仮想通貨の利便性を享受することができる点が、テザー(USDT)の大きなメリットとして評価されています。

現在、米ドルとペッグしているステーブルコインはテザー(USDT)だけではありません。

中でもCircle Financial社が発行するUSDコイン(USDC)は、テザー(USDT)の比較対象としてよく耳にすることでしょう。しかし、ステーブルコインにおける市場シェアはテザー(USDT)が圧倒的なシェアを誇っているのが現状です。2023年8月22日時点の時価総額では、USDCが約270億ドルであるのに対してテザー(USDT)は約830億ドルと、実に3倍以上の開きがあります。これは仮想通貨全体で見てもビットコイン・イーサリアムに次ぐ第3位の規模となっています。(CoinMarketCap調べ)

アルゴリズム

テザー(USDT)は既存のプラットフォーム上で作成されたトークンであるため、独自のブロックチェーンやアルゴリズムは存在しません。

当初、テザー(USDT)はビットコインのブロックチェーン上で誕生しましたが、徐々に対応するブロックチェーンを拡大し、現在は以下のようなブロックチェーン上でテザーを取引することが可能です。

● ビットコイン  
● イーサリアム  
● トロン  
● ポリゴン  
● アルゴランド  
● ソラナ etc.

これら複数のブロックチェーンに対応していることで、テザー(USDT)は幅広いサービスで決済や取引に使用できる利便性が実現されているのです。その反面、技術的な面での特異性はあまり無いと言えるでしょう。

組織体制やセキュリティ対策の状況

テザー(USDT)はTether Limited社が運営しているステーブルコインであり、価格は常に米ドルと1対1の水準になるようコントロールされています。

テザー(USDT)自体は通常の仮想通貨と同様に仮想通貨取引所に上場されており、売買によって相場が変動する状態です。しかし、同社の公式サイト「Tether.to」で1USDT = 1米ドルの固定レートによる交換サービスが常時提供されているため、実勢レートも1米ドルから乖離しにくい仕組みになっているのです。

また同社は発行済みのUSDTと同量の米ドルを準備金として確保しているため、仮に全てのホルダーが米ドルへの交換を申し出たとしても、1対1の交換レートを保つことができるとされています。

なお、同社は日々の資産状況を公式サイト上で公開しているほか、透明性と信頼確保を目的として世界大手の監査・保証会社であるBDOグループによる保証報告書を四半期毎に公開しています。

テザー(USDT)の将来性

それでは、テザー(USDT)の将来性について次の観点で見ていきましょう。

発行上限について

テザー(USDT)は発行上限枚数が設定されていないという特徴があります。

多くの中央管理者が存在しない仮想通貨では、希少性を維持するために発行上限枚数や半減期などが設定されており、それによって一定の将来性が担保される仕組みとなっています。

しかし、テザー(USDT)には中央管理者であるTether Limited社が存在し、常に価格が米ドルとペッグするように流通量を調整することが可能です。そもそも、仮にテザー(USDT)に発行上限枚数を設定してしまうと、テザー(USDT)の需要が発行上限を超えた場合に価格が上昇して米ドルとのペッグが崩れてしまいかねません。

発行上限が設定されていないからこそ、将来にわたって米ドルとのペッグを維持可能な仕組みになっていると言えるでしょう。

今後の計画について

テザー(USDT)は法定通貨のように使える仮想通貨を目指して、使用できる場面を増やし続けています。

今年の6月にはブロックチェーン「kava」上でUSDTをローンチする計画を発表しており、対応するブロックチェーンが拡大しています。

また、実社会においてはスイスのルガーノ市が事実上の法定通貨としてテザー(USDT)を採用しており、買い物や税金の納付などをテザー(USDT)で行うことが可能となっています。

ルガーノ市をハブとして、ヨーロッパ全体にテザー(USDT)を普及させていく構想もあるとされており、今後の展開が注目されています。

追い風要因・リスク

Defi(分散型金融)やNFT市場の拡大なども、幅広いブロックチェーン上に対応しているテザー(USDT)にとって追い風と言えるでしょう。

ただし、テザー(USDT)の価格はTether Limited社の信用に依存しており、カウンターパーティーリスク(取引相手の信用リスク)の高い銘柄である点には注意が必要です。

実際に過去にはTether Limited社の不正会計が疑われ、ニューヨーク市当局からの訴訟問題を抱えた時期があったほか、一時的にペッグが外れて価格が米ドルから乖離してしまう時もありました。

その後和解によって訴訟問題は解決し、資産状況の積極的な公開を開始したことで現在の高いシェアを獲得していますが、今後もTether Limited社の財務状況や信用性に注目していく必要があるでしょう。

テザー(USDT)の足元の価格状況

さて、足元の価格はどうなっているのでしょうか。

弊社が運用する金融情報プラットフォーム「フィンタクト」で開示されているチャートをみてみると、記事作成時点の2023年8月22日時点では、1USDT=146.31円となっていました。

テザー チャート フィンタクトUSドルのステーブルコインであるため、概ねドル円レートと同水準であることがわかりますね。なお、USDTの最新情報はこちらからご確認いただけます。

「フィンタクト」ではこのほか関連するニュースやほかのユーザーの実績も確認できるため、こうした情報も実際の買い時を見極める際、傾向把握にも活用いただけます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。テザー(USDT)の特徴と将来性について理解を深められましたか?

テザー(USDT)は残念ながら現在国内の主要取引所(bitFlyerやCoincheck、GMOコインなど)で取り扱いがありません。それゆえ、国内取引所のみ口座を開設している場合は、海外取引所の口座を新たに開設し、国内の取引所から海外取引所へBTCを送金し購入することになります。

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