仮想通貨と株式の違いとは?税金面も含め解説

株式と仮想通貨(暗号資産)は、いずれも投資を目的として取引されることが多い金融商品です。しかし、両者には基本的な性質や取引市場、配当の有無、価格変動の原因、かかる税金などさまざまな点において違いがあります。

ここでは、株式と仮想通貨の主な違いについて解説していきます。

目次

  1. そもそも株式とは何か?仮想通貨(暗号資産)とは何か?
  2. 株式と仮想通貨(暗号資産)の違い
  3. 株主優待の仕組みと特徴
  4. 株式と比べた仮想通貨(暗号資産)のメリット
  5. 投資は仮想通貨(暗号資産)と株式ならどちらが良い?
  6. 株式と比べた仮想通貨(暗号資産)取引を行う際の注意点
  7. まとめ

そもそも株式とは何か?仮想通貨(暗号資産)とは何か?

株式と仮想通貨はそもそもどういったものなのか、それぞれの定義を確認しておきましょう。

株式とは

株式とは、株式会社が自社に出資をしてくれた人に対して発行する証券のことをいいます。企業が事業資金を確保する方法にはいくつかありますが、株式の発行もそのひとつです。企業は事業資金を広く確保するために株式を発行し、企業理念に賛同した人や将来性などを評価した人が株式を購入することで、資金を確保することができます。

企業にとっては、株式発行で得た資金は株主に返還する義務はないというメリットがある一方、株主は企業からの配当金などを受け取れることや経営に参加する権利を持てること、株主優待を受けられるといったメリットがあります。  

仮想通貨とは

仮想通貨とは、インターネット上で取引できるデジタル通貨で、ブロックチェーンなどの分散台帳技術を用いて管理されています。主な仮想通貨として、ビットコインやイーサリアム、XRPなどがあります。

仮想通貨は基本的に24時間365日いつでも取引することができ、距離や国内外の垣根なくスピーディーかつ低コストで送金できる点が特徴です。また、小数点以下の細かい単位でも取引できるため、少額から気軽に購入を始められる点もメリットと言えるでしょう。

株式と仮想通貨(暗号資産)の違い

株式と仮想通貨にはどのような違いがあるのでしょうか。取引市場の違い、配当の有無などいくつかの点において違いがありますので確認していきましょう。

取引市場の違い

株式と仮想通貨は取引される場も異なります。

株式の取引は「株式市場」で行われ、日本には「東京証券取引所(東証)」、「名古屋証券取引所(名証)」、「札幌証券取引所(札証)」、「福岡証券取引所(福証)」の4か所があります。  

仮想通貨は、仮想通貨交換業者が運営する取引所や販売所で取引することが可能です。「bitFlyer(ビットフライヤー)」や「SBI VCトレード」、「GMOコイン」など多数の取引所(販売所)があります。

配当の有無

株式と仮想通貨は配当の有無においても違いがあります。

株式では、一般的に企業で利益が出た際に株主に対し持ち株数に応じた配当金が分配されます。なお、企業によっては利益が出ても配当金が出ないところや、利益が出ていなくても配当金が出るところもあります。配当金は一般的に、年に1回または2回、本決算や中間決算の際に分配され、決算から2〜3か月後に支払われることが多いです。  

一方、仮想通貨には基本的に配当金という概念はありません 。ただし、一部の仮想通貨には「ステーキング」というシステムがあり、対象となる仮想通貨を保有しブロックチェーン上のネットワークに参加すると、その対価として報酬を得ることが可能です。ステーキングというシステムにより、暗号資産においてもインカムゲイン(※)で利益を得られることが可能になったとされています。  

 ※インカムゲイン:資産を保有することで得られる収入のこと  

価格変動の原因

株式の価格変動は、売り手と買い手のバランスにより決まります。価格変動の原因としては、会社の業績や景気動向、金利水準、政治の動向、国際情勢、自然災害などがあります。中でも、特に投資家が考慮するのは会社の業績や将来性、社会経済の状況とされています。  

仮想通貨の変動は、主に通貨の需要と供給によって左右されます。価格変動の原因としては、将来性や知名度、仮想通貨取引所への上場、仮想通貨のアップデート、バーン(Burn※)による供給量の減少などが挙げられます。

 ※バーン(Burn):すでに発行し市場に流通している仮想通貨の枚数を減らすこと。Burnは「消却」を意味する。  

収益にかかる税金

株式も仮想通貨も取引で得た利益には税金がかかりますが、税金の種類が異なります。また、税制優遇措置においても対応が異なります。

株式投資により得られた利益(譲渡益や配当金など)には、基本的に所得税15%と住民税5%、2037年12月末までは、復興特別所得税も加算され合計で20.315%の税金が課されます。原則として譲渡益や配当金は「申告分離課税」としてほかの所得と分けて税額を計算します。

仮想通貨で得られた利益は所得税の対象となり、原則として雑所得に区分されます。ただし、その年の仮想通貨による収入が300万円を超え、帳簿書類の保存がある場合は事業所得に区分される可能性もあります。

なお、株式投資ではNISAやiDeCoなど税制優遇措置が取られているものもあります が、仮想通貨にはそのような措置はありません(2025年月11現在)。

株主優待の仕組みと特徴

株主優待とは、企業が自社の株を購入してくれた株主に向けて、自社製品やサービス、割引券などの「優待品」を贈る制度のことです。

例えば外食産業が自社店舗で利用できる割引券を配布するケース、テーマパークの運営会社が株主に優待入園券を配布するケースがあるほか、中には仮想通貨(暗号資産)を優待として配布する企業もあります。

企業にとっては、こうした優待を行うことで株主のロイヤリティ(企業に対する愛着)を高め、長期保有を促進する(株主基盤が安定する)効果があると言われています。

株主優待は全ての企業が行っているわけではなく、また優待を受けるには保有株数や保有期間などの条件があることが一般的です。

株主の中には配当利回りとは異なる実物による還元に大きな魅力を見出す人も多く、優待株を優先的に購入する投資家もいます。

株主優待にかかる税金

ギフトカード・ポイント・入園券・仮想通貨などの株主優待は「金銭的価値を持つ」ものとして、受領時にその時価をもって「雑所得」として扱われることが一般的です。

配当金は分離課税で一律に課税されますが、「雑所得」の場合は20万円以下であれば確定申告が不要(実質的に所得税が非課税)になるため、株主にとっては税務面でもメリットになる場合があります。

ただし、「雑所得」が20万円を超えたり、他の要件で確定申告を行う場合などは申告対象となる点に注意しましょう。

株主優待として仮想通貨を受け取るケース

近年、日本企業が株主優待としてビットコインやイーサリアム、XRPなどの仮想通貨を配布する事例が増えています。

こうした優待で仮想通貨を受け取った場合、受領時の時価をもって「雑所得」が生じたと見なされ、所得税等の課税対象となります。

また、後にその仮想通貨を売却して利益が出た場合、その譲渡益も「雑所得」として課税対象となるため、受領時と売却時の二段階で課税される点に注意が必要です。

株主優待として仮想通貨を受け取る場合は、仮想通貨の損益計算ができるように、予め準備しておくようにしましょう。

株主優待を活用する際の注意点

株主優待を賢く活用するためには、その「優待内容(何を・いくら相当)」「権利確定日」「受取条件」および「税務上の扱い」を事前に確認しておくことが大切です。

特に仮想通貨優待の場合、受領時点の時価で「雑所得」が生じるとともに、その後も価格が変動するリスクがある点に注意が必要です。

仮に価格が暴落してしまえば、売却のタイミングによっては受領時の税金だけが高くついてしまう可能性も否定はできません。

一方で価格が大きく上昇した場合は、売却時の課税が大きくなる点に注意が必要です。

適切な保管方法や取引管理方法を準備しておくようにしましょう。

株式と比べた仮想通貨(暗号資産)のメリット

仮想通貨(暗号資産)取引には、株式取引にはない柔軟性や利便性が多くあります。具体的に見ていきましょう。

いつでも取引できる自由度

仮想通貨は、株式市場とは異なり24時間365日いつでも取引できる点が大きな特徴です。

基本的に平日の日中しか取引できない株式に対し、仮想通貨は休日や夜間でも売買が可能なため、夜の空いた時間でも市場の動きに合わせて取引できます。

また、ブロックチェーンのネットワークそのものが絶え間なく稼働しているため、仮想通貨を決済利用するサービスなども24時間利用可能であることが一般的です。

この自由度の高さは、時間に縛られず投資や取引を行いたい人にとって大きなメリットといえるでしょう。

少額から始めやすい投資環境

仮想通貨は数百円や数千円といった少額から購入できるため、初心者にとって始めやすい環境となっています。

株式の場合は通常、単元(一般的に100株)ごとに取引する必要があるため、取引に多額の資金が必要になります。例えば株価1,000円の株を100株購入するには、10万円が必要です。

一方で仮想通貨は多くの銘柄が小数点以下の細かい単位での売買に対応しています。

取引所や銘柄によっては1億分の1(小数点以下第8位)での取引も可能であるため、1円単位で売買することさえも可能です。 

必ずしも大きな資金を準備する必要がないため、まずは小さく試しながら経験を積みたい人にも向いていると言えるでしょう。

高い成長ポテンシャルと値上がり期待

仮想通貨市場は世界的に拡大を続けており、他の投資商品と比べても高い成長ポテンシャルが期待されています。

ビットコインやイーサリアムに代表される主要銘柄は、これまでに大きな値上がりを経験しているほか、日々新しい銘柄も生まれ続けています。

また、ブロックチェーンやWeb3(3.0)、AI・ゲーム領域など新しい技術分野と連動するプロジェクトも多く、こうした分野の技術革新の進展が価格上昇につながることもあります。

仮想通貨はリスクをとりつつも高い成長性を取り込みたい投資家にとって魅力的な選択肢と考えられているのです。

デジタル資産としての利便性

仮想通貨は、インターネット上のブロックチェーンに価値を保管する仕組み上、国境を越えて資産を保有・送金することができるデジタル資産です。

銀行の営業時間や各国の既存金融インフラの制約を受けることなく、世界中の相手にスピーディーかつ低コストで送金できる点が特徴です。

また、円安・インフレなどの影響を受けにくい資産として、資産の一部を仮想通貨に分散する投資方法も注目されています。

複数の分野や地域のプロジェクトに幅広く分散投資することで、リスクヘッジにもつながります。

このように保管・運用・送金の自由度の高さが、デジタル資産である仮想通貨の大きな利便性と言えるでしょう。

投資は仮想通貨(暗号資産)と株式ならどちらが良い?

仮想通貨(暗号資産)と株式のどちらが向いているかは、投資の目的やリスク許容度によって大きく異なります。

一般的に、値動きの大きい仮想通貨は短期的な価格変動を活かしたい人や、高い成長ポテンシャルを重視する人に適していると言われています。

一方で株式は、企業の業績や配当によって比較的安定したリターンを得られるため、中長期で着実に資産形成したい人に適していると言えるでしょう。

とはいえ、仮想通貨にも比較的安定している銘柄はありますし、株式にも危険な銘柄が存在します。

どちらが良いと一概に決めるのではなく、自分の目的にあわせてバランスよく組み合わせることが大切でしょう。

株式と比べた仮想通貨(暗号資産)取引を行う際の注意点

仮想通貨(暗号資産)取引で大きな利益を得ると確定申告が必要になります。

【参考】国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」

また、この他にも株式取引とは異なる注意点があります。それぞれ見ていきましょう。

価格変動が大きく、短期間で損益が変わりやすい

一般的に、仮想通貨は株式と比べてもボラティリティ(値動き)が極めて大きい傾向にあります。

市場のニュースや投資家の動向によって価格が急騰・急落することが多く、数時間から数日の短期間で大きな損失が出る可能性もあります。

特に証拠金取引のようにレバレッジ(倍率)をかけた取引を行う場合、急激な値下がりによって強制決済が生じ、元手資金を喪失してしまうケースも少なくありません。

反面、利益が出るときには非常に大きな利益を得られる可能性もありますが、その場合は税金面で適切な対応が必要になる点に注意が必要です。

税金が総合課税で高くなる可能性がある

仮想通貨による利益は「雑所得」として総合課税の対象となり、所得が増えるほど税率が高くなる「累進課税」の仕組みが採用されています。

その税率は最大で55%にも達するため、仮想通貨取引で大きな利益が出た場合は税負担も大きくなることに注意が必要です。

また、株式のように損益通算ができず、前年の損失を繰り越して翌年以降の利益と相殺することもできません。

源泉分離課税の仕組みもないため、大きな利益を得た際は自分で確定申告をして納税する必要がある点も忘れてはいけません。

セキュリティ・管理リスクが自己責任

仮想通貨はデジタル資産であり、資産管理の多くが自己責任で行われます。

ウォレットの秘密鍵を紛失したり、取引所のセキュリティが不十分だった場合、一度資産を紛失すると二度と取り戻せない可能性があります。

また、ハッキングやフィッシング詐欺などのリスクも存在するため、安全な取引所を選ぶことや、二段階認証・ハードウェアウォレットの活用など、自身でセキュリティ対策を行うことが欠かせません。

資産を守るためには、保有者自身のセキュリティ意識が重要になります。

市場規制や制度変更の影響を受けやすい

仮想通貨に関する各国の法整備は依然として発展途上段階にあり、国や地域によって規制内容が大きく異なります。

そのため、各国政府による法改正や取引制限の発表があると、利用できるサービスが変更されたり、市場価格に影響が及んだりすることがあります。

例えば、海外取引所へのアクセス制限や、特定の銘柄の取り扱い停止といった措置が取られると、市場が敏感に反応するケースも少なくありません。

制度が成熟しきっていない市場である以上、規制動向による影響を受けやすい点を理解し、最新情報を確認しながら取引することが重要です。

まとめ

株式と仮想通貨はどちらも主に投資を目的として行われるものですが、取引市場や配当の有無、価格変動の原因などさまざまな面において違いがあります。中でも、税金に関する取扱いには大きな違いがあるため注意が必要です。

 仮想通貨の取引をするにあたっては税金に関する基本的な知識が欠かせません。損益計算は複雑でわかりにくいという場合は、クリプタクトを検討してみてはいかがでしょうか。