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トロン(TRON/TRX)の将来性・今後の見通しは?ホワイトペーパーから読み取れる特徴を解説

仮想通貨コラム
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トロン(TRON/TRX)は主にゲームや動画、音楽などのデジタルコンテンツに特化したプラットフォームと、そのプラットフォーム上で使用される仮想通貨です。

トロン(TRON/TRX)に投資してみたいものの、話題性や時価総額だけで判断してしまっていいのか悩んでいる。そんな方は、仮想通貨の計画書にあたる「ホワイトペーパー」の情報から、判断材料を集めてみてはいかがでしょうか。

この記事では仮想通貨トロン(TRON/TRX)とはどんな特徴があるのか?仮想通貨の計画書にあたる「ホワイトペーパー」を参照しながら、投資する上で重要な特徴を把握し、将来性について解説していきます。

目次

  1. そもそもホワイトペーパーとは?
  2. トロン(TRON/TRX)の特徴 
    開発目的(DAppsに対して高い処理速度、拡張性、可用性を実現する) 
    アルゴリズム(DPoSを採用) 
    組織体制やセキュリティ対策の状況(TRON DAOによる民主的選挙)
  3. トロン(TRON/TRX)の将来性 
    将来的に希少性が高まる「デフレ仮想通貨」 
    ロードマップに基づいた長期的な開発 
    DeFi(分散型金融)での活用が広がり 
    大企業・国家との提携の強化
  4. トロン(TRON/TRX)の足元の価格状況
  5. まとめ

そもそもホワイトペーパーとは?

仮想通貨のホワイトペーパーとは、プロジェクト運営者などによって発行される仮想通貨の説明資料を指します。特定の仮想通貨プロジェクトの目的や技術的な特徴、 今後のロードマップなどが記載されています。

特に仮想通貨は株式や仮想通貨などと異なり、裏付けとなる資産が無い場合が多いため、ホワイトペーパーに記載されたプロジェクトの内容そのものが、その仮想通貨の価値を裏付ける非常に重要な要素となります。

それでは具体的にホワイトペーパーのどの部分に注目すればよいのでしょうか。代表的なポイントとして次の各点が挙げられます。

● 開発目的   
● アルゴリズム   
● 体制(セキュリティ対策を含む)   
● 発行上限   
● 目標

では、これらのポイントに焦点を当てながら、特徴や描いている未来、将来性について説明していきます。

トロン(TRON/TRX)の特徴

それではトロン(TRON/TRX)の特徴について、ホワイトペーパーに沿って見ていきましょう。

開発目的(DAppsに対して高い処理速度、拡張性、可用性を実現する)

ホワイトペーパーではトロン(TRON/TRX)について次のように表現されています。

“The TRON Protocol, one of the largest blockchain-based operating systems in the world, offers public blockchain support of high throughput, high scalability, and high availability for all Decentralized Applications (DApps) in the TRON ecosystem.” 

引用:https://tron.network/static/doc/white_paper_v_2_0.pdf

要約すると、トロン(TRON/TRX)のプロトコルはTRONエコシステム内の分散型アプリケーション(DApps)に対して高スループット(処理速度)、高スケーラビリティ(拡張性)、そして高可用性を実現したブロックチェーンを提供するものだとしています。

そしてトランザクションのスループット時間が遅く、かつトランザクション手数料が高いビットコインやイーサリアムは、広く普及できる拡張性がない(“not scalable for widespread adoption. ”)と指摘し、トロン(TRON/TRX)はこうした既存の仮想通貨が抱える課題に対する革新的なソリューションとして構想されたのです。

アルゴリズム(DPoSを採用)

トロン(TRON/TRX)では、Proof-of-Stake(PoS)の一種であるDelegated Proof of Stake (DPoS)と呼ばれるコンセンサスアルゴリズムが採用されています。

PoSはビットコインなどが採用しているProof-of-Work(PoW)が抱える課題、すなわち過大な電力消費による環境負荷を解消するために開発されたアルゴリズムで、仮想通貨の保有量に応じてブロック生成権を付与する仕組みとなっています。

この仕組みによってPoSはPoWよりもエネルギー効率が高いアルゴリズムとなりましたが、DPoSでは更に処理速度を向上させるための仕組みが加えられているのです。具体的には仮想通貨の保有量に応じて投票権を割り当て、投票によってブロックの生成権を得る人(承認者)を選出します。

PoSが直接民主主義だとすると、DPoSは間接民主主義のようなアルゴリズムと考えるとイメージしやすいかもしれません。

トロン(TRON/TRX)の場合、この承認者はスーパー代表者(“Super Representatives”:SR)と呼ばれます。

トロン(TRON/TRX)の保有者は6時間ごとにコミュニティで開催されるスーパー代表者選挙に投票することができるようになっており、得票数で上位を得た27の個人や団体が、スーパー代表者に選出される仕組みとなっているのです。

こうしたプロセスによってブロック生成権者の人数を小数に限定できるため、トロン(TRON/TRX)では非常に高い処理能力が実現されています。

組織体制やセキュリティ対策の状況(TRON DAOによる民主的選挙)

TRONのDAO(分散型自律組織)は、ジャスティン・サン(Justin Sun)氏によって2017年7月にシンガポールで設立されました。その後、2018年5月にTRON(TRON/TRX)のメインネットが稼働を開始しています。

トロン(TRON/TRX)のDPoSでは、僅か27人のスーパー代表者がブロック生成を担うことで高い処理能力が実現されています。そのためスーパー代表者が結託すれば、ブロックチェーンに不正を働くリスクも完全に無いとは言い切れません。

そのためスーパー代表者には信頼できる人や団体が任命されるべきであり、その信頼性を担保しているのがTRON DAOコミュニティによる民主的な選挙です。

また、選挙の間隔が6時間という短時間になっていることも、不正を困難にしていると言えるでしょう。

トロン(TRON/TRX)の将来性

ここではTRON(TRON/TRX)の将来性について、重要なポイントをそれぞれ見ていきましょう。

将来的に希少性が高まる「デフレ仮想通貨」   

トロン(TRON/TRX)には発行上限が設定されていません。

その点だけを見ると、将来的に流通量が増えて価値が希釈されるのではないかと思えるかもしれません。 
実際に、トロン(TRON/TRX)は2018年のスタート時には1,000億TRXが発行されましたが、その後は新規発行が進んだことで2021年には供給量が約1,020億TRXにまで増加しています。

しかし、2022年にはTRON DAOによって約90億TRXのバーン(焼却)が行われた他、取引などを通じてTRXのバーン(焼却)が行われる仕組みを導入したことで、供給量は減少傾向に転じました。 
2024年3月18日現在ではトロン(TRON/TRX)の供給量は約878億枚にまで減少しており、現在も供給量が減り続けています。

ジャスティン・サン(Justin Sun)氏はこうした状態を「デフレ仮想通貨(“deflation crypto”)」と表現し、長期的な視点でトロン(TRON/TRX)の希少性が高まることが見込まれています。

ロードマップに基づいた長期的な開発

トロン(TRON/TRX)では、6つのフェーズに分かれたロードマップを発表しています。

 

TRONロードマップ


このようにトロン(TRON/TRX)のプロジェクトは10年にも及ぶ長期的なロードマップに基づいて開発が進められており、現在では「Apllo(アポロ)」が完了した状態です。

上記の他にも2019年8月にサイドチェーンとして「Sun Network」が開発され、トロン(TRON/TRX)のスケーラビリティが大幅に向上しています。

また、2024年2月15日にはトロン・ブロックチェーンとビットコインL2(レイヤー2)の統合に向けたロードマップがジャスティン・サン(Justin Sun)氏のX(旧Twitter)アカウントで発表されています。

ステージ名概要
ステージαトロン・ブロックチェーンとビットコインネットワーク間のクロスチェーン接続を強化し、ブリッジ可能なトークンを増やしていく。
ステージβ複数のビットコインL2プロトコルと連携し、重要なパートナーシップを発表していく。
ステージγトロン・ブロックチェーン、ビットコインネットワーク、ビットトレントチェーンの統合。PoWとUTXOの安全性とPoSの高速・低料金の両立を目指す。

引用:Junstin Sun氏X(旧Twitter)アカウント

DeFi(分散型金融)での活用が広がり

当初はデジタルコンテンツに特化したプラットフォームを目指してスタートしたトロン(TRON/TRX)ですが、近年では幅広い分野へ活用の舞台が広がっています。

特に、DeFi(分散型金融)分野での活用が増えています。    

DeFiデータ調査サイト「DefiLlama」のデータによると、2024年3月18日現在のTVL(Total Value Locked:預り資産)シェアではイーサリアムに次ぐ第2位となっていることがわかります。

 

引用:DefiLlama 
 

先発であり時価総額も大きいイーサリアムと比較するとまだその差は大きいものの、トロン(TRON/TRX)の高速性やネットワークコストの低さを武器にシェアを伸ばしていくことができるかが注目されています。

大企業・国家との提携の強化

TRON DAOは韓国の大手テクノロジ―企業であるサムスン電子や、ウェブブラウザ「Opera」の開発元として知られるノルウェーのOpera社など、数多くの企業との提携を行っています。 
特に、サムスン電子のアプリストア「Galaxy Store」がトロン(TRON/TRX)のブロックチェーンで構築された分散型アプリ(dApps)の取扱いを開始した際には大きな話題となりました。

また、2022年10月にはドミニカ国がトロン・プロトコルを国家のブロックチェーンインフラとして認定し、トロン(TRON/TRX)が公認デジタル通貨となったことが発表されています。

今後もこうした大きな提携の発表やトロン(TRON/TRX)自体の大型アップデート実施など、好材料が発表されるかは注目すべきポイントであると予想されます。

しかし、トロン(TRON/TRX)のプロジェクト立ち上げ当初には、ホワイトペーパーの盗用疑惑が浮上するなどのトラブルも発生しています。

そうした経緯もあってか、当初のホワイトペーパーはWeb上から削除されています。プロジェクトが今後も健全に運営されているのかも確認すべきポイントです。

足元の価格状況

さて、足元の価格はどうなっているのでしょう?   
弊社が運用する金融情報プラットフォーム「フィンタクト」で開示されているチャートをみてみると、記事作成時点の2024年3月28日時点では、1TRX = 18.08円となっていました。

 

最新情報はこちらからご確認いただけます。

フィンタクト」ではこのほか関連するニュースやほかのユーザーの実績も確認できるため、こうした情報も実際の買い時を見極める際、傾向把握にも活用いただけます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。 トロン(TRON/TRX)の特徴と将来性について理解を深められましたか?

トロン(TRON/TRX)は国内の一部仮想通貨取引所で取り扱われています 。保有するかを検討される際は、まずご自身が口座を持っている取引所がトロン(TRON/TRX)を取り扱っているか確認してみましょう。そして、頻繁に取引を行う場合は手数料などを比較して取引所を選定するといいでしょう。

今後もその他通貨についても解説記事を紹介していきますので、最新記事の更新情報を知りたい方はぜひTwitterのアカウントをフォローしてみてください。