トロン(TRON/TRX)は主にゲームや動画、音楽などのデジタルコンテンツに特化したプラットフォームと、そのプラットフォーム上で使用される仮想通貨です。
トロン(TRON/TRX)に投資してみたいものの、話題性や時価総額だけで判断してしまっていいのか悩んでいる。そんな方は、仮想通貨の計画書にあたる「ホワイトペーパー」の情報から、判断材料を集めてみてはいかがでしょうか。
この記事では仮想通貨トロン(TRON/TRX)とはどんな特徴があるのか?仮想通貨の計画書にあたる「ホワイトペーパー」を参照しながら、投資する上で重要な特徴を把握し、将来性について解説していきます。
そもそもホワイトペーパーとは?
仮想通貨のホワイトペーパーとは、プロジェクト運営者などによって発行される仮想通貨の説明資料を指します。特定の仮想通貨プロジェクトの目的や技術的な特徴、 今後のロードマップなどが記載されています。
特に仮想通貨は株式や仮想通貨などと異なり、裏付けとなる資産が無い場合が多いため、ホワイトペーパーに記載されたプロジェクトの内容そのものが、その仮想通貨の価値を裏付ける非常に重要な要素となります。
それでは具体的にホワイトペーパーのどの部分に注目すればよいのでしょうか。代表的なポイントとして次の各点が挙げられます。
● 開発目的
● アルゴリズム
● 体制(セキュリティ対策を含む)
● 発行上限
● 目標
では、これらのポイントに焦点を当てながら、特徴や描いている未来、将来性について説明していきます。
トロン(TRON/TRX)の特徴
それではトロン(TRON/TRX)の特徴について、ホワイトペーパーに沿って見ていきましょう。
開発目的
ホワイトペーパーではトロン(TRON/TRX)について次のように表現されています。
“The TRON Protocol, one of the largest blockchain-based operating systems in the world, offers public blockchain support of high throughput, high scalability, and high availability for all Decentralized Applications (DApps) in the TRON ecosystem.”
引用:https://tron.network/static/doc/white_paper_v_2_0.pdf
要約すると、トロン(TRON/TRX)のプロトコルはTRONエコシステム内の分散型アプリケーション(DApps)に対して高スループット(処理速度)、高スケーラビリティ(拡張性)、そして高可用性を実現したブロックチェーンを提供するものだとしています。
そしてトランザクションのスループット時間が遅く、かつトランザクション手数料が高いビットコインやイーサリアムは、広く普及できる拡張性がない(“not scalable for widespread adoption. ”)と指摘し、トロン(TRON/TRX)はこうした既存の仮想通貨が抱える課題に対する革新的なソリューションとして構想されたのです。
アルゴリズム
トロン(TRON/TRX)では、Proof-of-Stake(PoS)の一種であるDelegated Proof of Stake (DPoS)と呼ばれるコンセンサスアルゴリズムが採用されています。
PoSはビットコインなどが採用しているProof-of-Work(PoW)が抱える課題、すなわち過大な電力消費による環境負荷を解消するために開発されたアルゴリズムで、仮想通貨の保有量に応じてブロック生成権を付与する仕組みとなっています。
この仕組みによってPoSはPoWよりもエネルギー効率が高いアルゴリズムとなりましたが、DPoSでは更に処理速度を向上させるための仕組みが加えられているのです。具体的には仮想通貨の保有量に応じて投票権を割り当て、投票によってブロックの生成権を得る人(承認者)を選出します。
PoSが直接民主主義だとすると、DPoSは間接民主主義のようなアルゴリズムと考えるとイメージしやすいかもしれません。
トロン(TRON/TRX)の場合、この承認者はスーパー代表者(“Super Representatives”:SR)と呼ばれます。
トロン(TRON/TRX)の保有者は6時間ごとにコミュニティで開催されるスーパー代表者選挙に投票することができるようになっており、得票数で上位を得た27の個人や団体が、スーパー代表者に選出される仕組みとなっているのです。
こうしたプロセスによってブロック生成権者の人数を小数に限定できるため、トロン(TRON/TRX)では非常に高い処理能力が実現されています。
組織体制やセキュリティ対策の状況
TRONのDAO(分散型自律組織)は、ジャスティン・サン(Justin Sun)氏によって2017年7月にシンガポールで設立されました。その後、2018年5月にTRON(TRON/TRX)のメインネットが稼働を開始しています。
トロン(TRON/TRX)のDPoSでは、僅か27人のスーパー代表者がブロック生成を担うことで高い処理能力が実現されています。そのためスーパー代表者が結託すれば、ブロックチェーンに不正を働くリスクも完全に無いとは言い切れません。
そのためスーパー代表者には信頼できる人や団体が任命されるべきであり、その信頼性を担保しているのがTRON DAOコミュニティによる民主的な選挙です。
また、選挙の間隔が6時間という短時間になっていることも、不正を困難にしていると言えるでしょう。
トロン(TRON/TRX)の将来性
ここではTRON(TRON/TRX)の将来性について、次の観点で見ていきましょう。
発行上限について
トロン(TRON/TRX)には発行上限が設定されていません。
2018年のスタート時には1,000億TRXが発行されましたが、その後は新規発行が進んだことで2021年には供給量が約1,020億TRXにまで増加しています。
しかし、2022年にはTRON DAOによって約90億TRXのバーン(焼却)が行われた他、取引などを通じてTRXのバーン(焼却)が行われる仕組みを導入したことで、供給量は減少に転じました。
2023年7月19日現在ではトロン(TRON/TRX)の供給量は約897億枚となっており、現在も減少が続いています。
ジャスティン・サン(Justin Sun)氏はこうした状態を「デフレ仮想通貨(“deflation crypto”)」と表現しており、長期的な視点でトロン(TRON/TRX)の希少性が高まることが期待されています。
今後の計画について
トロン(TRON/TRX)では、6つのフェーズに分かれたロードマップを発表しています。

このようにトロン(TRON/TRX)のプロジェクトは10年にも及ぶ長期的なロードマップに基づいて開発が進められており、現在では「Apllo(アポロ)」が完了した状態です。
また、上記の他にも2019年8月にサイドチェーンとして「Sun Network」が開発され、トロン(TRON/TRX)のスケーラビリティが大幅に向上しています。
今後も引き続き開発が進むことで、デジタルコンテンツの分散型プラットフォームとしてその真価を発揮していくことが期待されています。
市場の拡大について
トロン(TRON/TRX)は長期的なロードマップに基づいて確実に開発が進んできており、各フェーズの進展が市場の拡大に大きく影響してきました。
また、TRON DAOは韓国の大手テクノロジ―企業であるサムスン電子や、ウェブブラウザ「Opera」の開発元として知られるノルウェーのOpera社など、数多くの企業との提携を行っています。
特に、サムスン電子のアプリストア「Galaxy Store」がトロン(TRON/TRX)のブロックチェーンで構築された分散型アプリ(dApps)の取扱いを開始した際には、非常に大きな話題となりました。
今後もこうした大きな提携の発表や、トロン(TRON/TRX)自体の大型アップデートの実施などの好材料が発表されることで、市場が更に拡大していくことが期待されています。
しかし、トロン(TRON/TRX)のプロジェクト立ち上げ当初には、ホワイトペーパーの盗用疑惑が浮上するなどのトラブルも発生しています。そうした経緯もあってか、当初のホワイトペーパーはWeb上から削除されていますが、プロジェクトが今後も健全に運営されていくことが重要なポイントと言えるでしょう。
足元の価格状況
さて、足元の価格はどうなっているのでしょう?
弊社が運用する金融情報プラットフォーム「フィンタクト」で開示されているチャートをみてみると、記事作成時点の2023年9月5日時点では、1TRX = 11.33円となっていました。

最新情報はこちらからご確認いただけます。
「フィンタクト」ではこのほか関連するニュースやほかのユーザーの実績も確認できるため、こうした情報も実際の買い時を見極める際、傾向把握にも活用いただけます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。 トロン(TRON/TRX)の特徴と将来性について理解を深められましたか?
トロン(TRON/TRX)は国内の一部仮想通貨取引所で取り扱われています 。保有するかを検討される際は、まずご自身が口座を持っている取引所がトロン(TRON/TRX)を取り扱っているか確認してみましょう。そして、頻繁に取引を行う場合は手数料などを比較して取引所を選定するといいでしょう。
今後もその他通貨についても解説記事を紹介していきますので、最新記事の更新情報を知りたい方はぜひTwitterのアカウントをフォローしてみてください。