バイナンスコイン(BNB) とは、世界最大級の仮想通貨取引所Binance(以下、バイナンス)が独自に発行した仮想通貨のことです。バイナンスコイン(BNB)に投資してみたいものの、話題性や時価総額だけで判断してしまっていいのか悩んでいる。そんな方は、仮想通貨の計画書にあたる「ホワイトペーパー」の情報から、判断材料を集めてみてはいかがでしょうか。
この記事では仮想通貨バイナンスコイン(BNB)とはどんな特徴があるのか?仮想通貨の計画書にあたる「ホワイトペーパー」を参照しながら、投資する上で重要な特徴を把握し、将来性について解説していきます。
そもそもホワイトペーパーとは?
仮想通貨のホワイトペーパーとは、プロジェクト運営者などによって発行される仮想通貨の説明資料を指します。特定の仮想通貨プロジェクトの目的や技術的な特徴、 今後のロードマップなどが記載されています。
特に仮想通貨は株式や仮想通貨などと異なり、裏付けとなる資産が無い場合が多いため、ホワイトペーパーに記載されたプロジェクトの内容そのものが、その仮想通貨の価値を裏付ける非常に重要な要素となります。
それでは具体的にホワイトペーパーのどの部分に注目すればよいのでしょうか。代表的なポイントとして次の各点が挙げられます。
● 開発目的
● アルゴリズム
● 体制(セキュリティ対策を含む)
● 発行上限
● 目標や計画
これらのポイントに焦点を当てながら、バイナンスコイン(BNB)の特徴や描いている未来、将来性について説明していきます。
バイナンスコイン(BNB)の特徴
それではバイナンスコイン(BNB)の特徴について、ホワイトペーパーに沿って見ていきましょう。
開発目的
バイナンスコイン(BNB)は、現在では世界最大級の仮想通貨取引所となったバイナンスが、その設立の際に資金調達のために発行したトークンです。このように仮想通貨を用いた資金調達法はICO(Initial Coin Offering)と呼ばれており、バイナンスのICOでは1億BNBが2017年7月1日に販売が開始されています。なお、ICOについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
バイナンスのホワイトペーパーによると、発行された2億BNBのうち1億BNBはバイナンスチームの資金などとして確保したうえで、残りの1億BNBがICOで一般投資家へ販売されました。また、四半期毎にバイナンスの利益のうち20%を使用してバイナンスコイン(BNB)を買い戻し、バーン(焼却)することが明示されています。
バイナンスコイン(BNB)はバイナンスにおける取引手数料の支払いなどに利用できるようにすることで通貨の流動性や需要を保つことに寄与すると説明されています。
アルゴリズム
バイナンスコイン(BNB)は当初、イーサリアムのブロックチェーン上でERC-20互換トークンとして発行されましたが、2019年にバイナンス独自のブロックチェーンであるバイナンスチェーンのBEP-2互換トークンが追加されました。
さらに2020年には、バイナンスチェーンを発展させたバイナンススマートチェーンのBEP-20互換トークンも追加されています。
従って、現在のバイナンスコイン(BNB)には次の3種類が存在していることになります。
● イーサリアムのBNB ERC-20
● BNB Beacon Chain(旧バイナンスチェーン)のBNB BEP-2
● BNB Smart Chain(旧バイナンススマートチェーン)のBNB BEP-20
チェーンの名称が途中で変更されていることも相まって少々複雑に見えますが、ここではイーサリアムの他にバイナンス独自のチェーンが2種類あり(これらを総称してBNBチェーンとも呼ばれます)、それらのチェーンでもBNBが取引できるという点を押えておきましょう。
これらのチェーンではイーサリアムをベースに独自の改良が加えられており、特に最新のBNB Smart Chain(旧バイナンススマートチェーン)ではイーサリアムよりも処理速度が速く、送金手数料が大幅に安いことが特徴となっています。
またコインの希少性を担保するため、バイナンスコイン(BNB)の取引で消費されるガス料金(トランザクション手数料)の一部が自動的にバーン(焼却)される、「Auto-Burn」とよばれる機能が実装されている点も技術的な特徴と言えるでしょう。
組織体制やセキュリティ対策の状況
バイナンスコイン(BNB)の発行母体であるバイナンスは、2017年6月にチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao 通称CZ)氏が中心となって中国で設立されました。営業開始後はわずか180日で、世界最大の仮想通貨取引所にまで急成長を遂げたことで知られています。
現在でもその取引高は他の追随を許しておらず、記事執筆時点の2023年7月24日現在では24時間取引高が50億ドル近くあり、次点に続くBitForexの約20億ドルから2倍以上の開きが確認できます。創設者のチャンポン・ジャオ氏はカナダのマギル大学でコンピューター科学を学び、卒業後は若くして東京証券取引所で取引注文をマッチングするシステムを構築。その後は上海へ渡っています。
そして、Fusion Systems社、Blockchain.info、OKCoinなど数々のプロジェクトを成功に導いた後、2015年にBijieTech社を設立しました。バイナンスの立ち上げには、このBijieTech社から多くのメンバーが参加しているとされています。バイナンスの成功には、このような豊富な実績と技術力を持つリーダーとそのチームの力が背景にあったと言えるでしょう。
バイナンスの公式サイト上では、最先端のセキュリティ対策とデータプライバシー管理を組み込むことで、ユーザー保護を最優先にすることを表明してます。
将来性
ここではバイナンスコイン(BNB)の将来性について、次の観点で見ていきましょう。
発行上限について
バイナンスコイン(BNB)には2億枚の発行上限が設定されています。
その全てがICOの時点で発行されているため、今後は新規発行される予定はありません。
加えて前述したように、バイナンスコイン(BNB)は買い戻しによるバーン(焼却)と、ガス代の一部が自動的にバーン(焼却)される「Auto-Burn」が続けられています。
これは、バイナンスコイン(BNB)の供給量を減少させることで希少性を高め、将来にわたってその価値を維持、向上させることが目的とされています。
最終的には総発行数の50%にあたる1億BNBがバーン(焼却)される予定となっており、将来性を考えるうえで一定のプラス材料と見られています。
今後の計画
また、BNBチェーンの今後の開発についてはロードマップも公表されており、2023年については次の5つの分野でそれぞれ進捗が計画されています。
パフォーマンス
●ブロックチェーンの速度を向上させる
スケーラビリティ
● スループットを向上させ、zkBNB EVM 互換性を確立する
セキュリティ
●ネイティブセキュリティDAOの強化
●リスクマネジメントフレームワークの構築
分散化
●バリデータシートの拡張
●バリデータ選出の民主化
インフラ
●開発環境の改善
●新しいブロックチェーンの導入
ブロックチェーン技術においては、処理の速度や許容量などのパフォーマンスが全体の効率性や実用性に大きな影響を与えています。BNBチェーンのアップデートによってこうした課題が解消されていくことで、バイナンスコイン(BNB)の利用拡大に繋がることが期待されているのです。
一方で、バイナンスはSEC(米国証券取引委員会)からの訴訟問題を抱えていることでも知られています。訴状によると、バイナンスが上場するトークンの一部に証券性があり、規制要件を満たしていないバイナンスは米国証券法違反にあたるという内容です。
とはいえ世界的にDeFi(分散型金融)が盛り上がりを見せる中で、こうしたニュースでさえもトークンの取引材料となってDEX(分散型取引所)の取引量が激増する現象なども発生しており、今後もバイナンスの展開が注目されています。
市場拡大に向けたポイント
世界最大級の仮想通貨取引所であるバイナンスですが、日本では暗号資産交換業の登録がされていない状態が長く続いていました。そのため、過去には金融庁から日本在住者向けのサービス提供停止を促す警告を受け、サイト上の日本語対応などを停止し、日本在住者からの口座開設ができなくなったた経緯があります。
しかしその後バイナンスは、日本で仮想通貨取引所を運営する「株式会社サクラエクスチェンジ」がバイナンスのビットコインを買収する形で暗号資産交換業のライセンスを取得し、2023年8月1日にBinance Japan株式会社として正式に日本国内での仮想通貨取引所サービスを開始しました。
Binance Japanでは本家バイナンスで提供されているサービスの一部が利用できませんが、それでも34銘柄の取り扱いがあります。また、取扱銘柄の中にはバイナンスコイン(BNB)も含まれています。
バイナンスコイン(BNB)を取り扱う国内仮想通貨取引所はBinance Japanが初めてであり、日本在住者による直接取引が可能となったことで今後バイナンスコイン(BNB)の市場が拡大する可能性があるでしょう。
足元の価格状況
さて、足元の価格はどうなっているのでしょう?
弊社が運用する金融情報プラットフォーム「フィンタクト」で開示されているチャートをみてみると、2023年8月29日時点では、1BNB = 32,039.67円となっていました。

最新情報はこちらからご確認いただけます。
「フィンタクト」ではこのほか関連するニュースやほかのユーザーの実績も確認できるため、こうした情報も実際の買い時を見極める際、傾向把握にも活用いただけます。
まとめ
バイナンスコイン(BNB)の特徴や将来性について理解を深められましたか?
現在、国内の主要取引所(bitFlyerやCoincheck、GMOコインなど)では取り扱いがありません。しかし、上述のとおりBinance Japanが日本国内で正式にサービスを開始したことで、日本在住者にとって身近な仮想通貨となる可能性があります。
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