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仮想通貨でできた借金は自己破産できる?税金の取り扱いは?

仮想通貨コラム
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近年「億り人(おくりびと)」という言葉に代表されるように、仮想通貨(暗号資産) 取引は一夜にして大金を得る可能性がある投資方法として多くの人から注目を集めています。しかし、仮想通貨取引で負債を抱える方も少なくありません。仮想通貨で借金を背負ってしまった場合、自己破産できるのでしょうか?またその場合の税金はどうなるのでしょうか?

この記事では、もし仮想通貨取引によって借金を抱えてしまった場合自己破産申請ができるのか、そして税金についてはどのような扱いになるのかについて解説します。

目次

  1. 仮想通貨でできた借金は自己破産できる?
  2. 仮想通貨の税金は自己破産で免除される?
  3. 自己破産できない場合はどうすればいいか
  4. まとめ

仮想通貨でできた借金は自己破産できる?

「自己破産」とは、収入や財産が不足して債務(借金)の返済ができなくなった個人のための破産手続のことです。

裁判所に対して破産手続開始の申立てを行うことで、原則として 同時に「免責許可」の申立ても行ったものとみなされます。なお、通常は 破産手続開始の申立ての際に免責許可の申立ても併せて行うことになります。

免責許可が認められて初めて返済義務を免除されることになるため、この免責許可を受けることこそが、個人が自己破産をする最大の目的と言えるでしょう。

ただし、免責許可は申し立てれば必ず認められるというものではありません。

免責不許可事由については破産法第252条第1項に定められていますが、その中の一つに下記の規定があります。

破産法第252条第1項 
四 浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。

ここでいう「射幸行為」とはギャンブル性の高い行為などを指し、FXや仮想通貨取引などの投機的な取引も含まれると解釈されています。

そのため、投機的な仮想通貨取引によって多額の負債を抱えたことが自己破産の原因になった場合は、免責許可が認められない可能性があるのです。

一方で、同法第252条第2項には次のような規定もあります。

破産法 第252条 第2項 
前項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合であっても、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる。

免責不許可事由に該当している場合であっても、その程度が軽微である場合や、破産者が真摯(しんし)な反省をして、破産手続に誠実に対応し、経済的更生が期待できる場合などは免責許可が認められる場合があり、これは「裁量免責」と呼ばれています。

このように、仮想通貨取引によって自己破産する場合は「裁量免責」によって免責許可が認められる可能性がありますが、そのためには少なくともしっかりと反省をして二度と同じ失敗は繰り返さない決意を裁判所に示すことが必要でしょう。

仮想通貨の税金は自己破産で免除される?

自己破産によって免責許可が認められると、すべての支払いが免除されるかというと、そうではありません。
破産法では、いくつかの請求権については免責されないこととされています。

自己破産しても税金の支払義務は免除されない

破産法第148条及び破産法第253条 により、「租税等の請求権」は免責されないこととされています。

租税とは税金のことで、自己破産をしても税金の支払い義務は免除されないということです。例えば、仮想通貨取引で多額の利益を得るとその翌年に支払うべき税金も高額となりますが、もし納税資金を確保していないまま仮想通貨が暴落した場合、現金化をしても税金を払えないという事態に陥る可能性があります。
このような状況で自己破産をして仮に免責を受けることができた場合、借金などの返済は免除される可能性はありますが、税金の支払い義務は残ることになります。

そもそも、自己破産は借金などの返済を免除する制度ですので、このような免責の対象となる借金などが無い場合は自己破産をすることができません。税金を支払えない場合は、税務署に速やかに分納や猶予の相談をしましょう。
なお、税金を滞納すると延滞税や追徴課税の対象となるほか、最終的には財産を差し押さえられる場合もあります。決して放置することなく、可能な限り早く対応することが重要です。

税金以外で免除されない支払義務

なお、税金以外の免責の対象とならない債権には、例えば、次のようなものがあります。

● 一定の不法行為に対する損害賠償金 
● 養育費や婚姻による費用 
● 雇用関係に基づく給料などの支払い 
● 罰金など

仮想通貨取引とは直接関係がないためこの記事では詳述しませんが、自己破産によって全ての責任が免除されるわけではないという点は押さえておきましょう。

自己破産できない場合はどうすればいい?

それでは、免責許可が認められなかったり、免責の対象となる借金がなく自己破産ができないといった場合は、どうすればいいのでしょうか。

代表的な方法を2つご紹介します。

任意整理を検討する

任意整理とは、債務者と債権者(貸金業者など)が直接交渉をして、現実的に返済可能な条件で合意することを目指す方法です。利息の軽減や返済期限の猶予などによって月々の返済負担を軽くすることができます。

自己破産の場合と違い免責不許可事由などもありませんので、仮想通貨取引による借金であっても利用ができるほか、裁判所を介さないため時間や費用を抑えられる点も特徴です。

個人再生を検討する

個人再生とは、裁判所に返済が困難であることを認めてもらい、原則3年〜5年で返済できるように借金を減額等した返済計画(再生計画)を組む方法です。自己破産とは異なり、返済計画にしたがった返済をすることで、基本的には住宅ローン返済中の持ち家がある場合も手放さずに済むというメリットがあります。

裁判所を介して借金の全額免除を受ける自己破産と、直接交渉によって利息軽減や猶予だけを受ける任意整理との中間に位置する手続きと言えるでしょう。

まとめ

仮想通貨取引による借金が原因であっても自己破産は選択し得る手続にはなります。しかし、免責許可が認められるためには、当然ながら一定の厳しい基準が存在します。

特に、投機性の高い仮想通貨取引によって借金が膨らんだことが原因である場合は、少なくとも二度とそのような失敗を犯さないことを裁判所に信じてもらう努力が必要でしょう。裁判所は破産手続に関連して詳細な聞き取りや資料提出などを求める場合がありますが、こうした調査に誠実かつ正確に対応できなければ、「反省が見られない」として裁量免責が認められない可能性がありますのでこの点に関しては十分に留意しておきましょう。

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