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仮想通貨の税金が安い国6選と国内でも可能な税金対策

仮想通貨コラム
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日本では、仮想通貨に対しては最大約55%もの税金がかかってしまう場合があるなど、決して仮想通貨投資家にとって税金が安い国とは言えません。一方で、世界には仮想通貨の税金が安いことで有名な国がいくつか存在します。

この記事ではこうした仮想通貨取引で所得を得た人にも優しい税制を採用している国についてご紹介しつつ、国内に居住していても出来る税金対策について併せて解説していきます。

目次

  1. 仮想通貨の税金が安い国6選 
    ・ドバイ 
    ・シンガポール 
    ・マレーシア 
    ・ドイツ 
    ・スイス 
    ・韓国
  2. 日本の税金は高い?
  3. 日本の税金を安く抑える方法 
    ・経費計上を漏らさない 
    ・年内に損益をシミュレーションして余計な税金を抑える 
    ・事業として仮想通貨取引を行う
  4. まとめ

仮想通貨の税金が安い国6選

投資やビジネスの世界では税金が安い国が「タックスヘイブン」と呼ばれてきましたが、最近では仮想通貨において税制が優しい国を指す「クリプトヘイブン」という言葉も定着してきました。

ここでは世界の「クリプトヘイブン」の中から主な6カ国について見ていきましょう。

ドバイ

アラブ首長国連邦を構成する国の一つであるドバイは、所得税や住民税が存在しない「無税の国」として有名です。

もちろん、仮想通貨取引を行っても課税されることはありませんので、利益が全て手元に残る形となります。

2023年からは9%の法人税が導入されることとなりましたが、それでも日本の法人税と比較すると格段に安いうえに、個人投資家は引き続き非課税で取引が可能です。

近年ではドバイ仮想通貨規制局(Virtual Asset Regulatory Authority:VARA)が設立され、バイナンスやBybitなど世界的な仮想通貨取引所が進出するなど、仮想通貨投資家にとって非常に便利な環境が整っていると言えるでしょう。

シンガポール

アジアの金融ハブとして発展しているシンガポールですが、日本と比べて税金が安く、仮想通貨取引に有利な国としても知られています。

シンガポールでは原則的に、株や不動産、仮想通貨などに対するキャピタルゲインが非課税です。つまり、購入した仮想通貨が値上がりしたことによる売却益には税金がかからないのです。

頻繁な短期トレードによる利益の場合は例外として所得税が課せられますが、その税率も累進課税で最大20%程度に収まっており、日本と比較すると大幅に安いことは言うまでもありません。

治安も良く、多くの日本企業が進出していることから、日本人の移住先としても非常に人気となっています。

マレーシア

シンガポールの隣に位置するマレーシアは、豊富な天然資源に恵まれ、税金が安い国として知られています。

日本の消費税や住民税にあたる税金が無く、所得税は日本と同じ超過累進課税制度を採用しているものの、最大税率は最大30%と日本より大幅に低くなっています。

また、個人の仮想通貨取引によるキャピタルゲインに対しては基本的に非課税となっており、この点は仮想通貨投資家にとって大きな魅力と言えるでしょう。

法人取引の場合は利益に対して法人税が課せられることになりますが、この際も日本と違って住民税がないため、全体的に日本よりも低税率とされています。

ドイツ

税金が安い国と聞いてドイツを思い浮かべる人はあまりいないかもしれませんが、仮想通貨の税制に関して言うならば、ドイツには非常にユニークな特徴があります。

ドイツの所得税法では資産の取得から売却まで1年以上の期間が開いている場合は売却益が課税対象となりません。

これは仮想通貨にも適用されていて、保有してから1年以上が経過した場合は、売却益に所得税がかからないのです。

従来はレンディングやステーキングなどで取得した仮想通貨については例外が存在していましたが、2022年のドイツ財務省によって発表された仮想通貨の所得税ガイドラインで、それらのケースでも1年経過で非課税になることが明確化されました。長期的なトレードを主に行う投資家であれば、恩恵の大きい税制と言えるでしょう。

スイス

スイスは古くから先進諸国と比較して税金が安い「タックスヘイブン」として知られており、多くの国際企業や富裕層を惹きつけてきました。

その魅力は現在でも健在で、個人が仮想通貨取引において得た収益は非課税のキャピタルゲインとなっていることも相まって、日本の仮想通貨投資家にとっても魅力的な移住先候補とされています。

仮想通貨に関する先進的な取り組みも進んでおり、一部の自治体ではビットコインやテザー、またはスイスフラン連動のステーブルコイン「LVGA」での納税が可能です。

今後は納付書のQRコードを読み込むだけで仮想通貨を納税できる仕組みの導入も予定されているほか、民間への仮想通貨決済の普及も推進されており、すでにマクドナルドなどで仮想通貨決済が導入されています。

韓国

仮想通貨取引が活発な国のひとつである韓国ですが、仮想通貨によるキャピタルゲインが非課税の国としても知られています。

韓国の所得税法では課税対象となる所得が列挙されていますが、仮想通貨については規定されていないため、2023年現在は課税対象外とされているのです。

ただし韓国政府の税改革計画によると、将来的に20%の課税開始が計画されています。

仮想通貨への課税は当初2022年に開始される予定でしたが、その後2023年から2024年へと相次いで延期され、現在は2025年に施行予定であると報じられています。

韓国で仮想通貨取引を行う場合は、このような税改革の最新状況に注意する必要があるでしょう。

日本の税金は高い?

日本では、仮想通貨取引の利益は所得税や住民税の対象となります。    
その税率は所得税が累進課税で5%〜45%、住民税が約10%となっており、所得によっては半分以上が税金になってしまう場合もあるほどです。さらに、雑所得として赤字を繰り越すことができないために、相対的に税率はさらに高くなってしまうケースが想定されます。

同じ投資でも株式投資による所得は分離課税として20.315%が適用されますが、仮想通貨については利益が雑所得などの総合課税の対象とされているため、前述の高い税率が適用されているのです。

今後日本でも税制が変更される可能性は否定できませんが、少なくとも現状は、仮想通貨に対する税金が非常に高い国の一つであると言えるでしょう。

日本の税金を安く抑える方法

税金は安く抑えたいけれども、そのために海外移住までするのはさすがに難しいという方が大半ではないでしょうか。

ここでは、日本国内で税金を少しでも安く抑える方法をご紹介します。

経費計上を漏らさない

所得税や住民税は、収入から必要経費などを差し引いた所得に対して課せられます。

そのため、実際にかかった必要経費は漏らさずに計上することが、税金を安く抑える第一歩となります。

仮想通貨取引の場合は、仮想通貨取引所の取引手数料や送金手数料などが該当しますので、必ず正確な金額を把握して、経費計上を忘れないようにしましょう。 なお、仮想通貨の損益計算ツール「クリプタクト」を使えば取引所別の支払い手数料も確認できます。

仮想通貨専門の損益計算ツール「クリプタクト」のサマリー画面。(支払手数料が自動的に集計されます) 
 


なお、仮想通貨取引で計上可能な経費について、こちらの記事でも詳しく解説しています。興味のある方はぜひ併せてご覧ください。

年内に損益をシミュレーションして余計な税金を抑える

個人の場合、年内に損益をシミュレーションしておくことが税金額を抑える上で非常に有効な手段となります。

仮想通貨の所得は損益が確定した時点で課税対象となるため、含み損益は個人の税金計算には反映されません。

そのため、例え莫大な含み損を抱えて実質赤字状態であったとしても、実現損益がプラスの場合は税金を支払わなければなりません。

そのような場合は、年内に損切りを行うなど実現損益を調整することで、余計な税金を抑えることができるのです。

個人の所得税などは1月1日から12月31日までの取引を集計して、翌年の3月15日頃までに確定申告をする必要があります。

年を越えてから損益を把握しても後の祭りとなってしまいますので、年内に調整が行えるよう、損益計算ツールなどを活用して常に損益を把握できる状態にしておくことをおすすめします。なお、仮想通貨の損益計算ツール「クリプタクト」を使えば自動でリアルタイムの実現損益を確認できます。

仮想通貨専門の損益計算ツール「クリプタクト」のサマリー画面。(実現損益と含み損益の状態が一目でわかります。)

法人の事業として仮想通貨取引を行う

仮想通貨取引を法人の事業として行うことも、仮想通貨にかかる税金を抑える上で有効な選択肢となります。
一般的に個人の仮想通貨取引による所得は「雑所得」として区分され、税率は15%~55%である一方、法人運用だとかかってくるのが法人税等となっており、法人税の税率は15%~23.2%となっています。なお、実際には事業税等もかかるため、概ね23%~33%程度の法人税率になるものの、個人に比べると税率が大きく優遇されています。
さらに、法人の場合は、赤字の繰越が可能な他、経費の範囲が雑所得に比べると広がるなどの多くの面で税制上のメリットがあります。
ただし、法人化はデメリットや条件もあるため詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

なお、仮想通貨の損益計算ツール「クリプタクト」は法人評価損益に対応したプランも準備されているため、法人として仮想通貨取引をされる場合でも対応ができます。

仮想通貨専門の損益計算ツール「クリプタクト」のサマリー画面。(期末評価損益を算出し、洗替法・切放法に応じた処理が可能。)

まとめ

世界には仮想通貨を取り巻く環境や税制が優しい国が数多く存在します。仮想通貨取引で大きな利益を上げている方であれば、こうした国への移住も一つの選択肢となるかもしれません。

一方で、実際に考えてみると仮想通貨の税金のために海外移住をするのは難しいという人が多いのも現実でしょう。そのような方は、日本の税制に沿って税金を安く抑える工夫を検討してみてはいかがでしょうか。

仮想通貨専門の損益計算ツール「クリプタクト」を活用すると、経費計上可能な取引手数料などが自動集計されるほか、リアルタイムに損益の状態を把握できるため、最適な税金対策を検討することが可能です。国内外の多数の仮想通貨取引所に対応しており、API連携やアップロードで簡単に取引履歴を収集できるため、税金計算にまつわる面倒な手作業を大幅に軽減することにも繋がります。

無料でお試しいただけるプランも用意されていますので、ぜひこの機会にお試しください。

※ご紹介している国の事例についてはデスクリサーチに基づくものです。その他の税金に関する箇所に関して村上税理士に監修いただいています。