執筆:西村 麻美

株価
(2020/8/7)
時価総額自己資本比率ROEROIC
6,540円8,010億円73.1%10.07%10.1%
PER
(実績)
PER
(予想)
PBR配当利回りEV / EBITDA
36.53倍N / A3.39倍N / AN / A

株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス2021年3月期 第1四半期決算短信はこちら


 

2021年3月期第1四半期 決算分析

■2021年3月期第1四半期決算 

売上高870億円(前年比63.2%増⤴
営業利益245億円(同241.4%増⤴
四半期純利益143億円(同248.6%増⤴

大幅増収増益の好決算だった。

アミューズメント事業においては緊急事態宣言を受けて国内の店舗を休業した事から大幅に減収減益があったものの、デジタルエンタテインメント事業、出版事業、ライツプロパティ事業での増収増益が大きく貢献した。デジタル販売の伸びにより営業利益率は14.7%改善し、28.2%となった。

セグメント別では、デジタルエンタテインメント事業のHDゲーム(ハイ・デフィニション・ゲーム)では、4月に発売した 「FINAL FANTASY VII REMAKE」のデジタル販売(ダウンロード販売)の伸びとライセンス収入によりが前年同期比で大幅な増収増益となった。

また、デジタルエンタテインメント事業のMNO(多人数参加型オンラインロールプレイングゲーム)においては「ファイナルファンタジーXIV」の月額課金会員数が前年比で増加したことにより、前年同期比で増収増益となった。

デジタルエンタテインメント事業の売上高は743億円、セグメント利益は260億円だった。

アミューズメント事業は売上高が前年同期比比57.6%減の46億円、セグメント損益は▲15億円だった。

出版事業はマンガアプリの「マンガUP!」や電子書籍等のデジタル媒体での販売増により売上高は前年同期比41.1%増の54億円、セグメント利益は同84.5%増の23億円だった。

ライツ・プロパティ等事業は自社コンテンツのキャラクターグッズ、サウンドトラックの販売の好調により売上高は前年同期比65.9%増の31億円、セグメント利益は同658.7%増の12億円だった。


 

2021年3月期予想

2021年3月期通期の業績予想は第1四半期の決算発表時点で新型コロナウィルスの感染拡大による不透明要素が大きく、信頼性の高い業績予想の算定が不可能との事で公表していない。

「FINAL FANTASY VII REMAKE」の販売本数が全世界で500万本(パッケージ販売とダウンロード販売の合計)を超えた事が8月7日に明らかになった。スクウェア・エニックスのプレイステーション向けタイトルで初めて200万ダウンロードを突破した。


 

アナリストによる投資スタンス

FF VII REMAKEの好調な売上を考えると通期の業績は前年比でかなりの利益増になる事が推測できる。会社側が業績予想を発表していないため、予想PER、EV/EBITDAの株価バリュエーションは算出できず、PBRのみで同業他社と比較すると任天堂が3.86倍、カプコンが5.01倍、スクエアエニックスが3.39倍とスクエアエニックスが多少割安に感じる。


 

過去のスクウェア・エニックス・ホールディングスの決算ハイライト

・2020年3月期


 

プロフィール

マーケットアナリスト西村麻実 / Market analyst Mami Nishimura株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト 西村 麻美

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。 
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。


 

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