執筆:西村 麻美

NTTの株価情報

 

株価
(2021/11/11)
時価総額自己資本比率ROEROIC
3,205円11.5兆円35.3%11.4%14.3%
PER
(実績)
PER
(予想)
PBR配当利回りEV / EBITDA
12.9倍10.69倍1.44倍3.44%3.3倍

 

2022年3月期第2四半期決算

NTTの2022年3月期第2四半期決算(累計)の結果は

営業収益5兆8,876億円(前年同期比3.1%増
営業利益1兆93億円(同0.1%増
当期利益6,758億円(同24.8%増
海外売上高93億ドル(約1兆583億円、全売上高の17.9%、前年同期比3.2%増
海外営業利益率4.8%(前年同期比1.9pt改善)

増収増益の決算だった。第2四半期から増益に転じ、通期でも増収増益を見込んでいる。

営業利益ベースの内訳はNTTドコモの減益貢献が▲673億円、長距離・国際通信事業(NTT Communications)の減益貢献が▲95億円だった。一方、地域通信事業(NTT東、NTT西)の増益貢献が347億円、データ通信事業(NTTデータ)の増益貢献が453億円だった。ドコモの減益は前期下期から始めた5Gネットワーク投資を今上期に加速したための設備投資と減価償却、また6Gの研究開発費用のためである。しかし、通期では増収増益に持って行くと会社側はコメントしている。

NTTドコモの第2四半期決算(累計)は、営業収益が前年同期比1.5%増の2兆3,162億円、営業利益が同11.9%減の4,963億円だった。ドコモの営業利益はNTTグループ全体の営業利益の約43.5%を占めた。通信事業は売上高は前年同期比1.5%増の1兆7,980億円、営業利益は同13.9%減の3,729億円だった。「ahamo」「ギガホプレミア」等戦略的新料金の導入により、純増数、MNPは順調に推移した。携帯電話契約数は同3%増の8,345万人となった。5G契約数は694万と順調に拡大、年間目標の1,000万に向けて順調に推移した。

NTTドコモのスマートライフ領域(スマートライフ事業、その他事業)の売上高は前年同期比0.17%減の5,386億円、営業利益は同5%減の1,234億円だった。dポイントクラブ会員数は同9%増の8,554万人、dポイントカード登録数は同16%増の5,433万人だった。dポイント利用数は同18%増の1,361億ポイント、提携先利用は同28%増の1,033億ポイントだった。dカード取扱高は同27%増の3兆600億円、d払い取扱高は同65%増の5,480億円だった。決済・ポイント利用可能箇所は同39%増の371万か所となった。

地域通信セグメントは売上高が前年同期比4.3%増の1兆5,674億円、営業利益が同13.6%増の2,905億円だった。フレッツ光(コラボ光を含む)の契約数は同0.9%増の2,303万契約、ひかり電話の契約数は同0.2%増の1,875万契約だった。

長距離・国際通信事業の売上高が前期比0.5%減の9,976億円、営業利益は同11.9%減の701億円だった。

NTTデータの決算は、売上高は前年同期比12.2%増の1兆2,121億円、営業利益は同71.0%増の1,091億円、四半期純利益は同77.0%増の1,108億円だった。営業利益率は3.1pt改善の9.0%だった。セグメント別受注高の内訳は公共・社会基盤では中央府省向け更改案件及び新規案件の獲得等により468億円増、金融は前期に獲得した銀行向け大型案件の反動減により414億減、法人・ソリューションは製造業向け案件により134億円増、北米は法人向け大型案件及び為替の影響で147億円増、EMEA・中南米はスペインを中心とした欧州での案件獲得及び為替の影響で515億円増であった。

 

2022年3月期予想

2022年3月期通期の業績予想については従前予想を維持した。

売上高12兆円(前期比0.5%増
営業利益1兆7,300億円(同3.5%増
当期利益1兆850億円(同18.4%増

増収増益、過去最高益を予定している。事業別では地域通信事業は減収、移動通信、長距離・国際通信、データ通信その他通信では増収を予定している。

10月下旬に中期経営計画の見直しを発表した。財務目標についての変更は以下の通り。2023年度のEPSを320円から370円に上方修正した。コスト削減目標については2023年度までに累計8,000億円削減としていたが、これを累計1兆円削減に変更した。

決算発表と同時に3年ぶりに自社株消却を発表した。消却する株数は消却前の発行済株式総数に対する割合 7.15%の278,776,284 株、消却予定日は2021年11月17日。

 

アナリストによる投資スタンス

通信企業の中でのNTTグループの圧倒的な優位性は変わらず、中長期的な成長ストーリーは不変である。決算結果にサプライズはなく、株価はあまり反応しなかった。現在の株価バリュエーションは予想PERが10.71倍、PBRが1.44倍、EV/EBITDAが3.3倍、配当利回りが3.43%と割安な状況である。2023年度のEPS370円を使っての予想PERは8.6倍である。

 

投資アイデア

他の投資家が何に注目しているか、アイデアブックでご確認いただけます。

 

プロフィール

西村麻実 / MamiNishimura株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト 西村 麻美

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。 
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。

 

当社は、本記事の内容につき、その正確性や完全性について意見を表明し、また保証するものではございません。記載した情報、予想および判断は有価証券の購入、売却、デリバティブ取引、その他の取引を推奨し、勧誘するものではございません。過去の実績や予想・意見は、将来の結果を保証するものではございません。 
提供する情報等は作成時現在のものであり、今後予告なしに変更または削除されることがございます。当社は本記事の内容に依拠してお客様が取った行動の結果に対し責任を負うものではございません。投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようお願いいたします。 
本記事の内容に関する一切の権利は当社に帰属し、当社の事前の書面による了承なしに転用・複製・配布することはできません。