2021.08.23|東京海上ホールディングス(8766)2022年3月期第1四半期決算コメント

東京海上ホールディングス(8766)2022年3月期第1四半期決算コメント / financialreport8766-fy2022-1q

執筆:西村 麻美

東京海上ホールディングスの株価情報


【銘柄注目ポイント!】

国内最大の保険グループ。海外で積極的にM&Aを手掛け、北米で特に利益成長。


株価
(2021/8/12)
時価総額 自己資本比率 ROE ROIC
5,488円 3.8兆円 14.7% 4.1% N/A
PER
(実績)
PER
(予想)
PBR 配当利回り EV / EBITDA
23.65倍 12.08倍 0.97倍 3.92% N/A


2022年3月期第1四半期期決算

東京海上ホールディングスの2022年3月期第1四半期決算の結果は

経常収益1兆4,554億円(前年同期比2.9%増
経常利益2,168億円(同55.1%増
当期純利益1,597億円(同61.0%増)

大幅増益の好決算だった。トップライン、ボトムライン共に、国内外で好調だった。特に海外利益に関しては第一四半期は計画を大きく上回って進捗した。中間決算では海外利益は更に上振れする予想である。
結果としての修正純利益は1,672億円となり、年初予想対⽐の進捗率は39.4%と好調に推移した。

正味収入保険料は国内、海外合わせて前年同期比5.9%増の9,653億円だった。うち国内は同3.7%増の6,395億円だった。コロナの反動に加えて、⽕災や自動⾞における商品・料率改定効果等によるものだった。海外は同10.4%増の3,260億円だった。為替を除くと7.7%増であった。ロスコストを意識した、計画を上回る堅調なレートアップ等によるものだった。

生命保険料は国内、海外合わせて前年同期比3.3%増の2,349億円だった。うち国内は同0.4%増の1,341億円だった。事業保険の解約の一方で、堅調な販売拡大等によるものだった。海外は同7.6%増の1,010億円だった。為替を除くと4.8%増だった。TMHCC(Tokio Marine HCC)のMSL(メディカルストップロス保険)やDFGのLTD/STD*(⻑期/短期の就業不能補償保険)が、計画を上回るレートアップや引受拡大等を実現した結果であった。

修正純利益は、コロナ影響の反動に加え、TMNF(東京海上日動火災保険)における好調な保険引受や、海外における好調な資産運⽤等により、前年同期⽐233億円増(16.2%増)の1,672億円となった。事業別利益は、TMNFは大⼝事故が少なかったことや、自動⾞の損害率が良好であること等により、順調に推移し、838億円だった。(通期予想対比進捗率60.3%)AL(東京海上日動あんしん生命保険)は海外クレジット運⽤の収益認識タイミング(2Q予定)を勘案すると、順調に推移し105億円だった。(通期予想対比進捗率21.9%) 海外保険はテキサス州寒波の影響があったものの(自然災害は⾒込み対比▲73億円上回る)、それを除けば、保険引受も資産運⽤も好調であり、1Qは計画を大きく上回って進捗し582億円だった。(通期予想対比進捗率34.9%)(海外の利益計画は、コロナの影響を強く受けていた前年末に策定しているもの) なお、北⽶主要拠点は1Q計画対比約100億円増であり、中間決算では更に上振れる⾒込みである。

1Q事業別利益は、大⼝事故が少なかったことや、自動⾞の損害率が良好であること等により、順調に推移(1Q進捗率は21年度60.3% vs 過去5年平均42.9%)した。 前年同期⽐では、資産運⽤等損益は増益の⼀⽅、自動⾞の損害率上昇等、コロナ影響の反動による保険引受利益の減益により、全体では減益だった。正味収入保険料は1Q実績は5.5%増と順調であった。(通期予想は0.9%増)コロナ反動に加えて、⽕災や自動⾞における商品・料率改定効果等による増収であった。発生保険金は、前年同期⽐では、自然災害が少なかったものの、コロナ影響の反動等により、15.5%増の2,578億円だった。しかし、コロナ影響の反動は計画に織り込み済であることから、通期予想に対して想定内で推移した。E/I損害率は5.5pt上昇の51.7%、事業比率は前年同期比0.1pt低下の31.3%、コンバインド・レシオは前年同期比5.5pt上昇の83.0%だった。

国内損保事業の資産運用損益は、ネット利息及び配当金収入は海外子会社からの配当金や外貨建てファンドからの配当金増加により前年同期比58%増の716億円だった。売却損益等計(キャピタル)は前年同期比では、ヘッジコストの減少等による⾦融派⽣商品損益の改善の一方、政策株式売却益の減少により減少し、同36.7%減の205億円だった。政策株式売却額は260億円で、通期予想1,000億円に対して順調に進捗している。前年同期比では、▲230億円となるが、売却タイミングの違いによるものである。

国内生保事業は、新契約年換算保険料は、通期予想に対して順調に進捗し、前年同期比71.5%増の113億円だった。前年のコロナ影響からの回復を含んでおり、通期予想には織り込み済である。事業別利益も、同11.7%増の105億円と通期予想に対して順調に進捗した。

海外保険事業は、TMHCC、Philadelphia Insurance Companies(PHLY)を中心に好調で計画を上回る増収を実現した。海外保険事業の正味収入保険料は前年同期比9.5%増の4,629億円だった。各社の状況は、PHLYは計画を上回るレートアップ(1Q実績+11.3%)と好調な新規契約により増収した。収益性重視の引受を継続しているものの、通期予想を上回って推移した。Delphiは好調なLTD/STDを主因に、1Q計画対比では順調に推移した。TMHCCは好調なMSLや良好なレート環境下で計画を上回る増収を実現したことにより、通期予想を上回って推移した。なお、1Qにおける更新契約のレートアップ率は+15%だった。(A&H・Surety・Creditを除く。)欧州ではTMKは収益安定化に向けた引受⾒直しや出再増加の一方、レートアップによる増収により、1Q計画対比では概ね順調に推移した。アジア・オセアニアはタイ、シンガポール等でのコロナに伴う新⾞販売減少により、通期予想を下回って推移した。


2022年3月期通期予想

2022年3月期通期の業績予想は、従前予想を維持した。

経常利益4,400億円(前期比65.0%増
当期利益3,150億円(同94.7%増
EPS454.36円

上記会社計画は、正味収入保険料については3兆7,600億円、生命保険料については9,300億円を見込んでいる。また、今年度発生の自然災害に係る正味発生保険金については、国内は740億円、海外は520億円を見込んでいる。市場金利および株式相場については、主に国内は2021年3月末、海外は2020年12月末から大きくは変動しない前提としている。(2021年3月末のドル/円レート110.71円、日経平均株価は29,178円)


アナリストによる投資スタンス

2021年8月6日の決算発表後に株価は大幅ではないが上昇基調である。特に北米で買収したスペシャルティ保険事業の順調なレートアップ等による増益により海外事業の貢献比率が高まっている事などが評価されていると思われる。株価バリュエーションは予想PERが12.08倍、PBRが0.97倍と割安になっており、配当利回りは3.92%である。東京海上に関しては成長分野(スペシャルティ保険事業)への投資を実行し、ポートフォリオの最適化をしている。また、Covidロスの保険料に占める割合は2.5%とグローバルに同業他社四社平均の4.4%と比較しても低く、リスク・マネージメントに優れている事が定量的にも裏付けられた。金融セクターの中でも抜群の安定感のある銘柄である。


東京海上ホールディングスに関する投資アイデア

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プロフィール

西村麻実 / MamiNishimura
株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト 西村 麻美

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。


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