執筆:西村 麻美

東京海上HDの株価情報

株価
(2021/03/02)
時価総額自己資本比率ROEROIC
5,317円3.6兆円13.9%N/AN/A
PER
(実績)
PER
(予想)
PBR配当利回りEV / EBITDA
14.39倍18.56倍1.04倍4.42%N/A

 

2021年3月期第3四半期決算

東京海上ホールディングスの2021年3月期第三四半期決算(累計)の結果 

経常収益4兆963億円(前年比0.0%増⤴
経常利益1,824億円(同39.0%減⤵
四半期純利益1,127億円(同50.2%減⤵

減益決算だった。正味収⼊保険料は、国内がコロナの影響や⾃賠責の料率引下げ等により減収したものの、海外における成⻑施策の実⾏やレートアップ等により、為替を除いて前年同期⽐5.7%の増収、為替込みで同0.4%増と、基調は好調だった。

生命保険料は、海外がTMHCCのメディカルストップロス保険(医療保険を運営する企業・団体の支払い超過額を補償する保険)のレートアップ、引受拡大により現地通貨ベースで前年同期比6.4%の増収したものの、国内における事業保険の解約増加等により、為替を除いて前年同期⽐0.7%の減収だった。連結純利益は、コロナの影響や異常危険準備⾦(責任準備金の一部)の積増負担増を主因に、前年同期⽐1,139億円減益の1,127億円だった。異常危険準備⾦等を控除した修正純利益は前年同期⽐287億円増益の2,437億円と通期予想に対して、インラインだった。

また、前期2020年3月期第三四半期に比べて⾃然災害に係る発生保険⾦(税引後)は、前年同期⽐573億円減少の758億円だった。

 

3Qの事業別利益の内訳は

国内損保事業  965億円(前年同期比38.25%減)
国内生保事業  319億円(同78.2%増)
海外保険事業  612億円(同56.4%減)

 

国内損保事業は、保険引受利益は、既経過保険料の増加や発生保険⾦の減少の⼀⽅、各種準備⾦の負担増加により、前年同期⽐400億円の減益で、資産運用等損益も、配当⾦の減少を主因として前年同期⽐231億円の減益の1,346億円だった。

四半期純利益は、コロナ影響による異常危険準備⾦や初年度収⽀残の負担増加や、海外での発生保険⾦の増加により、通期計画を若⼲下回って進捗により前年同期⽐598億円減益の965億円だった。E/I損害率は、⾃然災害の減少やコロナ影響による外出⾃粛の影響等により、前年同期⽐8.5pt低下の61.3%、事業費率は、⼿数料率の上昇の⼀⽅、社費率の低下により、前年同期⽐0.7pt低下の31.0%、コンバインド・レシオは、前年同期⽐9.2pt低下の92.3%だった。

国内生保事業は、新契約年換算保険料は、コロナ下での対⾯販売⾃粛の影響を、新たな医療保険や回払変額保険の販売好調で補い、前年同期⽐6.6%の増収だった。四半期純利益は、前期におけるシステム開発費増加の反動や為替ヘッジコストの減少等により、前年同期⽐139億円増益の319億円だった。

海外保険事業は正味収⼊保険料は、コロナの影響が約▲550億円、ボトムフォーカスの引受に伴う減収を、順調なレートアップ等で相殺し、現地通貨ベースでは前年同期⽐ほぼ横ばいだった。主⼒の北⽶セグメントではマーケットのハード化を取り込み、コロナ影響を除いた現地通貨ベースでは、前年同期⽐6.5%の増収だった。事業別利益では、前年同期⽐794億円減益の612億円だった。保険引受で▲540億円(主にEvent Cancellation、BI、取引信用保険)、資産運用で▲320億円となった。

 

2021年3月期通期予想

2021年3月期通期の業績に関しては第二四半期決算発表時の予想を据え置いた。

経常利益3,100億円(前年比14.8%減⤵
当期利益2,000億円(同23%減⤵
EPS286.69円 

事業別予想は

国内損保事業が1,500億円 国内生保事業が1,640億円
海外保険事業が750億円 金融・一般事業が50億円

 

アナリストによる投資スタンス

2月10日の決算発表後に株価はあまり動かなかった。通期の減益予想を織り込んで株価バリュエーションは予想PERが19.03倍、PBRが1.05倍と割安になっており、配当利回りは4.42%になっている。抜群の経営実績を誇る会社であり長期的な成長のストーリーは不変であるので、魅力的な買い場と言えるだろう。

 

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プロフィール

株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト 西村 麻美

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。 
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。

 

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