2021.11.08|SBIホールディングス(8473)2022年3月期第2四半期決算コメント

SBIホールディングス(8473)2022年3月期第2四半期決算コメント / financialreport8473-fy2022-2q

執筆:西村 麻美

SBIホールディングスの株価情報


【銘柄注目ポイント!】

業績は絶好調なものの、新生銀行へのTOBが上手く行かない事から株価は低迷


株価
(2021/11/1)
時価総額 自己資本比率 ROE ROIC
2,987円 7,314億円 8.0% 13.3% N/A
PER
(実績)
PER
(予想)
PBR 配当利回り EV / EBITDA
8.8倍 N/A 1.2倍 N/A N/A


2022年3月期第2四半期決算

SBIホールディングスの2022年3月期第2四半期決算(累計)の結果は

収益3,343億円(前年同期比46.5%増
税引前利益1,093億円(同100.5%増
四半期純利益768億円(同131.9%増

上半期決算として過去最高を更新した絶好調の決算であった。今上半期の年換算ROEは24.6%となり、過去最高水準となった。

セグメント別の税引前利益は

金融サービス事業455億円(前年同期比12.1%増)
アセットマネジメント事業786億円(同221.1%増)
バイオ事業▲12億円(前年同期は▲32億円)

金融サービス事業は堅調に推移したが、アセットマネジメント事業の税引前利益が金融サービス事業の税引前利益を大きく上回った。

SBI証券の2022年3月期上半期の業績は、オンラインでの国内株式取引の売買手数料ゼロを目指すネオ証券化に向けた施策の段階的推進により、委託売買手数料は前年同期比9.6%減となったものの、引受・募集手数料や金融収益など株式委託手数料以外のビジネスが寄与し、売上高は前年同期比10.8%増の820億円、営業利益は同1.3%増の276億円、当期利益は同▲1.6%の187億円だった。

オンライン証券5社の中では個人株式委託売買代金シェア1位、口座数1位、預り資産残高1位、営業利益1位と引き続き圧倒的なポジショニングを維持した。投資信託の取扱本数は業界最多水準、積立NISAの取扱いは業界最多水準、投資信託の四半期残高は過去最高を更新した。また、IPO引受関与率は業界トップの100%を維持し、主幹事引受社数も9社。2022年3月期上半期のSBIの個人株式委託売買代金シェアは43.2%、預かり資産残高は21.5兆円、営業利益は276億円と2位の楽天証券に大きく差をつけた。

また、サービス面でもオープンアライアンスが進み、Tポイントカード、三井住友カード、Pontaポイントと提携しており、クレジットカードによる投資信託の買い付けやポイントを利用できるようになっている。

住信SBIネット銀行は2021年10月26日時点で497万口座、預金残高6.6兆円、2021年9月末時点の貸出金残高6兆6,284億円となった。引き続きネット専業銀行6行の中では競合他社を圧倒的にリードしている。預金残高ランキングでは、地方銀行・新規参入銀行等74行のうち17位と躍進した。住宅ローン取扱高では2021年8月に7兆円を突破した。(新規実行の累計額)2021年9月末時点での住信SBIネット銀行の住宅ローン残高は5兆2,313億円となり、SBIがTOBをしようとしている新生銀行の住宅ローン残高は2021年3月末で1兆1,350億円であった。

住宅ローンビジネスに関しては注力しており、2021年4月1日に、「フラット35(買取型)」の取扱いに実績を有する優良住宅ローンを子会社化するなど更なる成長を目指している。

また、ネオバンク構想という大手事業法人との連携でパートナー企業の顧客がその企業のサービスを利用する際、それに付随する銀行機能を住信SBIネット銀行が黒子として提供するという仕組みを構築している。ネオバンク構想の具体的な事例として、日本航空(株)と合弁会社を設立し、多通貨プリペイドカード「JAL Global WALLET」や、各種銀行サービスが利用可能な「JAL NEOBANK」を提供、(株)Tマネーと提携し、利便性の高いUI/UXを備え、取引に応じてTポイントも貯まる銀行サービス「T NEOBANK」を提供、(株)ヤマダファイナンスサービスと提携し、専用住宅ローンの提供やヤマダポイントサービスと連携する銀行サービス「ヤマダNEOBANK」を提供している。ネオバンク口座の月間開設数推移は2021年4月を1として指数化すると2021年9月末で33.4であった。ネオバンク構想の第四弾として不動産企業のオープンハウスの金融事業参入を支援している。住信SBIネット銀行の最先端のIT技術を活用した(株)おうちリンクの提供する銀行サービスで、おうちリンクの提供するスマホアプリ「おうちリンク」上で口座開設が可能なほか、外貨預金やローン商品など住信SBIネット銀行のサービスを利用可能であり、「おうちリンク」のサービスを利用した際に貯まる「おうちリンクポイント」の還元率が増加するほか、家計簿アプリとの連携で家計の可視化が可能になる。

SBIインシュアランスグループの2022年3月期上半期の連結業績は、グループ全体の保有契約件数の堅調な増加により業績は伸長した。上半期の連結業績は速報値ベースであるが、経常収益は前年同期比7.8%増の438億円、経常利益は同51.4%増の33億円、中間純利益は同49.3%増の11.5億円を計上した。2016年3月末~2021年9月末の年平均成長率(CAGR) 15.8%と高成長を維持した。SBIインシュアランスグループは損保、生保、ペット保険など幅広く商品を取り揃えているが、更なるM&Aで少額短期保険事業を拡大する予定である。

アセットマネジメント事業の2022年3月期上半期の業績は、収益が前年同期比84.8%増の1,496億円、税引前利益は同221.1%増の786億円と過去最高益を記録した。うち、SBI貯蓄銀行(韓国)は同32.3%増の184億円と過去最高益であった前年度を上回るペースで推移した。韓国国内の信用格付け機関2社からの格付けは「A″」(肯定的)である。投資先の公正価値評価の変動による損益及び売却損益は、保有有価証券の上場銘柄の評価額が大きく下落したため(新生銀行)▲72億円となったものの、未上場銘柄の評価益が大きく業績に寄与し、608億円の評価益を計上し、前年同期比23倍となった。

プライベート・エクイティ事業では2022年3月期上半期に12社のIPOと1社のM&Aを実現した。新規ファンドが次々立ち上がり投資回収も順調に進展しており、上半期の公正価値評価の変動による損益および売却損益(IFRS)は536億円と過去最高を記録した。主なファンドはFintechファンド(2015年12月設立、ファンド規模300億円)、SBI AI&Blockchainファンド(2018年1月設立、ファンド規模600億円)、SBI4+5ファンド(2020年4月設立、ファンド規模1,000億円)などがある。

海外金融サービス事業では、高度成長下のベトナムでは金融事業が急速に発展し、TPバンクとFPT証券の時価総額が大幅増加し、両社とも過去最高益を更新した。TPバンクは2009年8月より出資し、(出資比率19.9%)、2018年4月にホーチミン証券取引所に上場。2021年9月末(第3四半期)時点、税引前利益が212億円だった。ホーチミン証券取引所が公表する時価総額、流動性などの基準により選出する上位30銘柄の主要インデックスの「VN30」に採用されている。TPバンクの2021年9月末時点の時価総額は2,193億円だった。FPT証券は2011年4月より出資し、(出資比率19.9%)2017年1月にホーチミン証券取引所に上場。ベトナム最大のIT企業であるFPTが設立した中堅証券会社である。2021年9月末(第3四半期)時点、税引前利益36億円と、過去最高益を更新した。FPT証券の2021年9月末時点の時価総額は403億円だった。

その他の地域の海外金融サービス事業は、ロシアではフルライセンスを所有するSBI Bank(出資比率90.74%)に、ロシア政府系ファンドRDIFおよび日本のJBIC IG Partnersが出資し日露ビジネスの拡大を推進している。融資残高は2021年9月末時点で282億円だった。SBI Bankは2021年上半期に黒字化を達成した。 カンボジアでは中堅マイクロファイナンス買収し、2020年3月にSBIリーホーバンクとして銀行としてのフルライセンスを取得した。2020年10月より黒字化し、2021年1~9月期の税引前利益は5.2億円だった。タイではタイ初となるインターネット専業証券会社のSBI Thai Onlineは2021年3月に通期黒字化し、2021年4~9月の税引前利益は2.5億円だった。

最後の成長フロンティアと呼ばれるアフリカ地域での事業展開として、SBI Africaは自社越境ECサイト「SBI Motor Japan」等を通じて、主にアフリカ諸国など新興国向けにサービス開始から1年で累計2400台を超える中古車を輸出。2021年10月にはオフラインでのプレゼンス向上も兼ねて、ケニアのナイロビにおいて現地自動車販売拠点を新設した。SBI Motor Japanでは輸出した中古車への代金支払いに暗号資産XRPを使用できるシステムの構築にも取り組んでいる。SBI Africaは国内外のパートナーと連携し自動車金融をはじめとした金融サービス事業も展開している。

モーニングスターにおけるアセットマネジメント事業の業績は地域金融機関等からの運用受託拡大が大幅に寄与し、順調に伸長した。モーニングスターの2022年3月期2Qの営業利益は前年同期比63.6%増の3億9,100万円だった。地域金融機関からの受託運用資産残高は2021年9月末時点で2兆896億円だった。SBIアセットマネジメント・グループ(SBI地方創生アセットマネジメント、SBIボンド・インベストメント・マネジメント、Carret Asset Management、モーニングスター・アセット・マネージメント、SBIアセットマネジメント)の運用資産残高は2021年9月末時点で3兆3,364だった。

バイオ・ヘルスケア&メディカルインフォマティクス事業は、SBIバイオテックでのマイルストーン収入の発生や5-ALA関連製品の好調な売り上げと同事業部門各社による積極的なコスト削減により、セグメント業績の赤字幅は大幅に縮小した。2022年3月期上半期の売上高は45億円と過去最高を記録し、税引前利益は▲12億円だった。SBIバイオテックは黒転し、税引前利益は3億5,900万円、クォーク社は▲10億7,900万円、5-ALA関連はSBIファーマの税引前利益は▲4.78億円、SBIアラプロモの税引前利益は1億8,400万円、フォトナミックの税引前利益は1億8,200万円だった。持分法適用会社のメディカル・データ・ビジョンの税引前利益は1億円だった。クォーク社の株式売却については今年度中に完了する予定である。

暗号資産関連事業の2022年3月期上半期の税引前利益は前年同期比1.5%増の49億8,600万円だった。SBIグループはスイスのSIX Digital Exchange (SDX)とシンガポールを拠点とするデジタル資産取引所の設立を2022年に予定している。国内初の暗号資産ファンドを個人投資家向けに提供予定で、近々に募集を開始する。分散型金融(DeFi)については、オープンアライアンスの考え方の下で、グループシナジーの発揮だけでなく、投資先やパートナー企業等との連携も視野に様々なDeFiビジネスの展開を模索しており、簡単かつセキュアに取引できるスマートフォン向けアプリを現在開発中である。


2022年3月期予想

2022年3月期の業績予想は、投資・証券関連事業は、株式市場等の変動要因による影響が極めて大きいため、業績予想の開示は行っていない。


アナリストによる投資スタンス

業績は絶好調であるが、株価がさえないのは新生銀行へのTOBが上手く行っていない事が原因であるように思われる。SBIの北尾社長は中間決算の説明会上で新生銀行に対して「20年以上にわたって公的資金3500億円を返さない唯一の銀行」と批判をした。現在の株価でPBRは1.2倍であるが、新生銀行へのTOBが成立すればバリュエーションは切り上がると期待される。


投資アイデア

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プロフィール

西村麻実 / MamiNishimura
株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト 西村 麻美

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。


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