執筆:西村 麻美

株価
(2020/8/14)
時価総額自己資本比率ROEROIC
2,345円5,547億円7.5%8.26%1.24%
PER
(実績)
PER
(予想)
PBR配当利回りEV / EBITDA
14.37倍N / A1.20倍N / A11.68倍

SBIホールディングス株式会社2021年3月期 第1四半期決算短信はこちら


 

2021年3月期第1四半期 決算分析

■2021年3月期第1四半期決算 

収益1,111億円(前年比20.6%増⤴
税引前利益277億円(同37.3%増⤴
四半期純利益162億円(同39.4%増⤴

増収増益の好決算だった。

四半期収益としては創業以来の過去最高を更新した。株式市場の活況とともに個人投資家の活発な取引により、SBI証券における委託売買代金は前年同期比89.3%増の36.9兆円、委託手数料は同71.7%増の114億円となった。

また、早い段階から投資を行っていたハイテク分野の投資先企業(BASE、フリー、AI Inside)が大きな評価益・売却益を計上した。


 

■セグメント別の税引前利益 

金融サービス業209億円(前年比44%増⤴
アセットマネジメント事業119億円(同1.0%増⤴
バイオ関連事業▲16.92億円(前年同月は▲38.79億円)
その他▲10.14億円(前年同月は8.28億円)

金融サービス事業は株式・為替市況が前年同期に比べ好調に推移し、証券事業の他にFX事業も好業績を達成した。

また、国際会計基準での連結取り込みベースで保有有価証券を公正価値評価する保険事業は、マー ケット環境の回復を背景に評価益を大きく計上した。

アセットマネジメント事業は、韓国のSBI貯蓄銀行において急速な資産拡大に伴い一時的な費用計上があったものの、引き続き堅調な業績をおさめる。 また、2020年3月期第4四半期に多額の評価損を計上した上場銘柄は株価の回復により大きくプラスに転じ評価益を計上した。

バイオ関連事業は、SBIファーマ及びSBIバイオテック等における医薬品パイプラインの進展に伴う臨床試験費用などの開発費用を計上。 米クォーク社では、急性腎不全(AKI)予防薬の開発に経営資源を集中し、 新CEOの元で人員削減を含めた費用削減を強力に推進した結果、赤字額 を前年同期の5割程度まで大幅に縮小した。

ウィズコロナ時代に好業績を達成する事ができた要因として、金融市場の活況の他にオンラインをメインチャネルに事業を展開するSBIホールディングスにとって追い風となった。また、個人投資家の高い投資意欲の他に金融法人、とりわけ地域金融機関における高度な資産運用ニーズが高まった事も大きい。


 

2021年3月期予想

2021年3月期の業績予想は、投資・証券関連事業は、株式市場等の変動要因による影響が極めて大きいため、業績予想の開示は行っていない。


 

アナリストによる投資スタンス

決算発表後に株価は大きく上昇せず、株価バリュエーションはPBR1.19倍、EV/EBITDAが11.68倍だが、通期の決算も利益増が期待できるだろう。


 

過去のSBIホールディングスの決算ハイライト

・2020年3月期


 

プロフィール

マーケットアナリスト西村麻実 / Market analyst Mami Nishimura株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト 西村 麻美

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。 
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。


 

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