執筆:西村 麻美

東京センチュリーの株価情報


株価
(2021/11/12)
時価総額 自己資本比率 ROE ROIC
6,350円 7,759億円 11.3% 7.7% 1.1%
PER
(実績)
PER
(予想)
PBR 配当利回り EV / EBITDA
15.7倍 12.93倍 1.21倍 2.25% N/A


2022年3月期第2四半期決算

東京センチュリー(TC)の2022年3月期第2四半期の決算(累計)結果は

売上高6,188億円(前年同期比4.5%増
営業利益498億円(同18.0%増
当期利益332億円(同20.6%増

増収増益の好決算だった。売上総利益は航空機事業で減益となったものの国内オート事業や不動産事業の増益により前年同期比33億円増加し1,053億円となった。販管費は航空機関連の債権に対する貸倒費用が減少し、戻入利益となった事、またレンタカー事業のオペレーションコストの削減により同43億円減少した。営業外損益は同42億円増加49億円の利益となった。持分法投資利益の増加による増益だった。特別損益は投資有価証券評価損の減少等により同4億円改善の4億円の損失を計上した。

事業セグメント別の経常利益(累計)およびROAは

国内リース事業分野

経常利益163億円(前年同期比20億円増)
ROA2.2%(同0.3pt増)


国内オート事業分野

経常利益90億円(同63億円増)
ROA2.9%(同2.1pt増)


スペシャルティ事業分野

経常利益271億円(同8億円増)
ROA2.4%(フラット)


国際事業分野

経常利益76億円(同18億円増)
ROA3.1%(同0.7pt増)

資産合計は、前期末比612億円(1.1%)増加し5兆6,641億円、セグメント資産は為替変動を主因に同762億円(1.6%)増加し4兆8,766億円となった。負債合計は、同113億円(0.2%)減少し4兆9,032億円、有利子負債は、為替変動を主因に同405億円(0.9%)増加し、4兆3,214億円となった。純資産合計は、同726億円(10.5%)増加し7,609億円となった。主な要因は、利益剰余金が246億円増加、為替変動を主因に為替換算調整勘定が437億円増加、非支配株主持分が29億円増加した。この結果、自己資本比率は同1.1ポイント上昇し11.3%となった。

事業分野ごとの要因は以下の通り。

【国内リース事業分野】

NTT・TCリースおよび日通リース&ファイナンスの持分法による投資利益を主因に増益した。


【国内オート事業分野】

NCSでは、中古車マーケット高騰のタイミングを逃さず、機動的な売却実現により、車両売却益が最大化。加えて、リース収益の拡大などにより、前年同期比大幅増益となった。NRSではレンタカー売上は、前年同期比横ばいとなったものの、昨年来から取り組んでいるコストコントロールが奏功し、損益は大幅に改善した。


【スペシャルティ事業分野】

ACG個社の業績は、計画通りに進捗しているものの、リース契約解除に伴う、ACG連結上のリースプレミアム減損計上などにより減益であった。不動産は安定的なインカムゲインに加え、売却益増加などにより増益した。船舶において、好調な海運市況を背景とした売船収益の増加などにより増益した。


【国際事業分野】

アジアではオートリースを中心としたモノ価値に依拠した優良資産積上げなどが牽引し、増益であった。北米・欧州では、コロナ影響によるIT機器の需要増加を背景に、CSIのFMVリースに係る物件売却収益などが堅調に推移し、増益であった。


2022年3月期予想

2022年3月期会社計画の業績予想は従前予想を維持した。

経常利益1,000億円(前期比28%増
当期利益600億円(同22.1%増


アナリストによる投資スタンス

決算発表翌日は利食い売りから小幅下落したが、その後は上げ基調である。航空業界の回復が見えないためにACGの業績回復は見えないが、経済の正常化とともにリース事業の回復している。オート事業分野では半導体不足のために自動車各社が減産しているなか中古車市場が高騰している中で車両売却により利益の最大化、また国際事業分野も好調である。

NTTグループ、三菱地所、アドバンテッジパートナーズなど、有力パートナーとの協業を着実に拡大しており、中長期的な利益成長のストーリーは不変である。現在の株価バリュエーションは予想PERが12.93倍、PBRは1.21倍とやや割安に感じる。


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プロフィール

西村麻実 / MamiNishimura
株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト 西村 麻美

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。


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