執筆:西村 麻美

東京エレクトロンの株価情報


【銘柄注目ポイント!】


今期最高益更新はほぼ確実。来期もSPE主導で更に伸びるか?


株価
(2021/8/17)
時価総額 自己資本比率 ROE ROIC
44,600円 6.9兆円 72.9% 23.0% 23.3%
PER
(実績)
PER
(予想)
PBR 配当利回り EV / EBITDA
28.71倍 18.77倍 6.57倍 2.66% 12.3倍


2022年3月期第1四半期決算

東京エレクトロンの2022年第1四半期決算の結果は

売上高4,520億円(前年同期比43.6%増
営業利益1,418億円(同92.0%増
四半期純利益1,004億円(同77.8%増)

四半期として最高益を更新した好決算だった。SPE(半導体製造装置)は前期4Qより更に5.4%増の売上を計上した一方FPD(フラットパネルディスプレイ) はテレビ用大型パネル向け設備投資が一巡した事などにより前期4Q比41%減となった。利益率のより高いSPEの売上伸長により、売上総利益率は前期4Q比6.1pt上昇の46.7%、営業利益率は同6.3pt上昇の31.4%だった。

セグメント別では、ロジック/ファウンドリ向け半導体に対する設備投資は、あらゆるアプリケーション向けの半導体デバイスの世界的な需要増を受け、最先端から成熟世代まで、広い範囲での投資が堅調に推移した。DRAM向け設備投資は昨年末から今年年初にかけて需給バランスが改善し、前期4Qに続き旺盛な投資が続いた。また、前年度において大きく回復したNANDフラッシュメモリ向け設備投資は、今年度も引き続き高い投資水準となった。その結果、セグメント売上高は、4,379億円(前年同期比44.2%増)、セグメント利益は1,528億円(同82.6%増)となった。セグメント利益率は前年同期比7.3pt上昇の34.9%となった。

FPDはテレビ用大型液晶パネル向け設備投資が一巡したことにより、FPD TFTアレイ向け製造装置市場全体としては減速傾向となった。一方、中小型有機ELパネル向け設備投資については、前四半期に引き続き、高いレベルで推移した。最終製品に搭載されるディスプレイが液晶から有機ELへと転換される中、モバイル等、中小型ディスプレイの需要が増加した。このような状況下、セグメント売上高は、140億円(前年同期比27.3%増)、セグメント利益は16億円(同220%増)となった。セグメント利益率は前年同期比7.1pt上昇の11.8%となった。

SPEのアプリケーション別売上構成比は、今四半期からロジックとファウンドリの区別をつけづらいとの理由からロジック・ファウンドリの名目に統合されたが、ロジック・ファウンドリ、不揮発性メモリ共に前期4Qより増加した。SPEの地域別売上高は中国が対前期4Q比で33.4%増と一番大きく伸びた。

事業環境に関しては、2021年8月時点において半導体前工程製造装置(WFE)の設備投資はデータセンター投資のさらなる加速など、社会のデジタルシフトの進展による先端ロジックやメモリ需要の急増を背景に、WFE市場は大幅に拡大すると見ている。CY2021は前年比 4割程度の成長を見込んでいる。

FPD製造装置 TFTアレイ工程向け設備投資に関しては、モバイル向けOLED投資は前年比で増加も、大型パネル向けLCD投資は一巡した。今後、OLED投資に牽引され市場の成長が期待できるが、CY2021は大型パネル向け投資がLCDからOLEDに移行する端境期として前年比 2割程度の減少を見込んでいる。


2022年3月期予想

好調な1Q決算結果と更なる需要増加を受けて、2022年3月期通期の業績を上方修正した。

売上高1兆8,500億円(前期比32.2%増
営業利益5,080億円(同58.4%増
当期利益3,700億円(同52.3%増)

SPEとFPDの売上高の内訳はSPEが1兆7,930億円、FPDが570億円を予定している。ロジック・ファウンドリおよびDRAM向けの高い需要により過去最高益の前期を大幅に上回ると見ている。

アプリケーション別ではロジック/ファウンドリ向けは、情報通信技術の推進に伴うアプリケーションの拡大により、積極的な投資が一層進み、市場成長を牽引すると見ており、売上は前期比45%程度増加すると考えている。この分野での事業機会は難易度の高まるパターニングでのビジネスを拡大したい方針である。DRAMは、5Gモバイル、 PC、データセンターの需要の増加により需給が逼迫しており、高水準の投資を見込んでおり、売上は前期比60%程度増加と見ている。この分野での事業機会は微細化に向けた新たな技術、新たな材料への対応と考えている。不揮発性メモリは中長期のビット需要成長に向け、着実な投資が継続し、前年比15%程度増加と見ている。この分野での事業機会は高付加価値のエッチング・洗浄工程での差別化と考えている。

研究開発、設備投資は拡大する市場と多様化する最新技術ニーズを見据えて加速する計画である。研究開発費は前期比20.8%増の1,650億円、設備投資は同19%増の640億円、減価償却費は同27%増の430億円を予定している。宮城県黒川郡に建設費70億円かけた宮城技術革新センター(エッチング)が2021年9月に竣工予定。山梨県韮崎市に建設費110億円かけた新開発棟(成膜装置、ガスケミカルエッチング装置、コーポレート開発)が2023年春に竣工予定。

1株当たりの配当金は、配当性向 50%に沿って1,189円を予定している。

第1四半期の決算会見で東京エレクトロンの河合社長はWFE市場に関して先端技術への投資が加速している事から来年もプラス成長すると強気の見方をしている。また、部材についてはサプライヤーと計画を共有しながら滞りなく調達できているとコメントをした。


アナリストによる投資スタンス

株価バリュエーションは予想PERが18.77倍、PBRが6.57倍、EV/EBITDAが12.3倍とPERベースでは割安である。今期も半導体需要が拡大し続ける事、また次世代半導体のEUV向けコータ/デベロッパの量産機においてシェア100%を有している事を考えると割安であると考える。


東京エレクトロン

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プロフィール

西村麻実 / MamiNishimura
株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト 西村 麻美

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。


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