執筆:西村 麻美

ローツェの株価情報

株価
(2021/7/29)
時価総額 自己資本比率 ROE ROIC
8,440円 1,458億円 51.9% 18.9% 14.1%
PER
(実績)
PER
(予想)
PBR 配当利回り EV / EBITDA
22.54倍 18.38倍 4.25倍 0.53% 12.5倍


2022年2月期第1四半期決算

売上高144億円(前年同期比33.2%増
営業利益28億円(同49.7%増
四半期純利益27億円(同71.6%増)

増収増益の好決算だった。韓国子会社におけるFPD関連装置の大口受注が終了し、利益率の高い半導体関連装置は引き続き好調だったために大幅増益の好決算だった。営業利益率は前年同期比2.18pt改善の19.72%となった。

セグメント別では半導体・FPD関連装置事業の売上高は143.5億円(前年同期比33.1%増)、セグメント利益は29億円(前年同期比47.9%増)、 ライフサイエンス事業の売上高は8,600万円(前年同期比62.3%増)、セグメント損失は4,000万円(前年同期はセグメント損失3,400万円)だった。

半導体関連装置の売上高は前年同期比52.8%増の122億円で、米国、中国製造装置メーカー向けEFEMの売上拡大、台湾ファウンドリ向けウエハソータの売上増加などの要因であった。

FPD関連装置の売上高は同51.5%減の93.8億円で、QD-OLEDなどの大型投資が終了した事により売上減だったが、ベトナム、インド向け自動化装置の新設・更新需要は発生した。


2022年2月期予想

1Q終了時点での受注残高は半導体関連装置が181億円(前年同期比52.1%)、FPD関連装置が7億5,200万円(同91.2%減)で、FPD関連装置に関してはしばらく現水準が続く見込みである。

2022年2月期通期の会社予想は

売上高603億円(前期比18.8%増
営業利益102億円(同9.6%増
当期利益79億円(同22.2%増
EPS457.70円

4月半ば時点での予想を維持した。

FPD関連装置に関しては受注残が大幅減の状況がしばらく続く一方、半導体関連装置の受注残は高水準で推移しそうなために今期は営業利益率が大幅に改善すると予想する。


アナリストによる投資スタンス

7月12日の決算発表後に材料出尽くし感と相場全体で半導体関連銘柄が売られた事もあり株価はかなり下落したが、ファンダメンタルの好調さは変わっていない。ローツェにとっての最大顧客はTSMCであるが、TSMCは下半期の見通しも強気のままであり、自動車業界の半導体不足の緩和に貢献するとコメントしており、TSMCからの高水準の受注は継続し、ローツェは今期最高益を更新する可能性が高いと考える。

株価バリュエーションは予想PERが18.38倍、PBRが4.25倍、EV/EBITDAが12.5倍と割高感は全くなく、株価の下押し要因はローツェのファンダメンタルというよりは相場全体の地合いによると思うが、株価下落時にはむしろ買いのチャンスであると思われる。


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プロフィール

西村麻実 / MamiNishimura
株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト 西村 麻美

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。


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