執筆:西村 麻美

BASEの株価情報

株価
(2021/5/12)
時価総額 自己資本比率 ROE ROIC
1,627円 1,785億円 58.6% 3.6% 3.9%
PER
(実績)
PER
(予想)
PBR 配当利回り EV / EBITDA
57倍 N / A 11.0倍 N / A N / A


2021年12月期第1四半期決算

売上高22億3,700万円(前年同期比99%増
営業利益1,300万円黒字転換
当期利益4,000万円(黒字転換)

BASE事業のGMVが前年同期比105.4%増加と依然高い成長を維持した事により、売上高は同99%増の22億3,700万円、売上総利益は同103.2%増の13億16百万円と大きく増加した。プロモーション費の増加により販管費は前期比同92.7%増加も、営業損益は1,300万円と黒字を達成した。売上総利益率は前年同期比1.2pt上昇の58.8%となった。BASE事業の新規ショップ開設数は同81%増、月間売店数は同78.6%増、前四半期比6.2%増と引き続き成長を維持している。


セグメント別の内訳

■BASE事業

売上高19億4,400万円(前年同期比108.3%増
セグメント利益1.02億円(同83.5%増

GMVは前年同期比105.4%増


■PAY事業

売上高2億8,600万円(前年同期比54.7%増
セグメント損益▲1,800万円前年同期▲2,500万円

GMV前年同期比では54.4%増と成長も、前四半期にはGoToキャンペーンの一時的な大型案件が含まれていたため、前四半期比では減少。


■その他事業(YELL BANK等)

売上高700万円(前年同期比18.1%増
セグメント損益▲1,500万円前年同期▲1,000万円


BASE事業では、累計ショップ数が2021年3月に140万ショップを突破した。「BASEかんたん決済」へのAmazon Payの追加や、「ショップデザイン機能」を拡充した。初めてでも簡単にInstagram広告やGoogleショッピング広告を配信できる拡張機能を提供した。月間GMVがシーズナリティ等により(クリスマスなどのホリデーショッピング後)減少したが、月間売店数の成長率は前年同期比78.6%と高成長を維持した。Amazon Payの追加により7種類の決済方法を選択可能になり、決済手数料は、全ての決済方法で決済金額の6.6%+40円と、低価格かつシンプル(サービス利用料3.0%含む)である。テイクレートは8.1%と前四半期比で変動はない。


2021年12月期予想

2021年12月期通期の予想は従前予想を据え置いた。

売上高97.5~105億円(前年比17.6~27.1%増
売上総利益56~61億円(同12.5~22.6%増
販管費70億円(同68.2%増
営業利益▲14~▲9.3億円
当期利益▲14~▲9.3億円

2021年12月期に関しては引き続きBASE事業はロングテール市場で中小事業者向けに注力する方針。ストアフロント型EC市場において、個人及びSMBを対象とするロングテール市場は、大規模なショップを対象とする市場と比べ、より高いGMV成長率やテイクレートを期待できる市場であり、BASEはこのロングテール市場において、国内最大のシェアを占めている。

短期的な利益ではなく、中長期の利益成長を目指していくための先行投資、特に更なる認知度向上と新規ショップ獲得のための広告宣伝を強化する予定でいる。また、サービス拡大のためにプロダクト人員の採用増も予定している。先行投資は規律を持って実行し、営業損益(プロモーション費除く)の黒字は確保の予定。また、中長期の成長に向けた戦略的な出資やM&Aを検討している。

2021年4月1日付で普通株式1株につき5株の割合で株式分割を行った。


アナリストによる投資スタンス

昨日(2021年5月11日)の決算発表翌日の本日は黒字達成が評価され株価は前場で5.3%上昇した。株価バリュエーションは2021年12月期に関しては赤字予想のために予想PER、EV/EBITDAの算出はできないが、PBRは11倍と高い。

しかし、BASEは中小事業者向けのECのロングテール市場で圧倒的な強さで拡大しており、様々な戦略的な事業提携などによりこの市場での競争力は更に高まると思われる。


BASEに関する投資アイデア

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プロフィール

西村麻実 / MamiNishimura
株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト 西村 麻美

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。


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