2021.09.08|メルカリ(4385)2021年6月期通期決算コメント

メルカリ(4385)2021年6月期通期決算コメント / financialreport4385-fy2021

執筆:西村 麻美

メルカリの株価情報


【銘柄注目ポイント!】

国内のリユースのC to C市場では圧倒的な覇者、メルペイ事業の高成長も期待される。


株価
(2021/8/23)
時価総額 自己資本比率 ROE ROIC
5,260円 8,300億円 14.9% 14.6% N/A
PER
(実績)
PER
(予想)
PBR 配当利回り EV / EBITDA
149.64倍 N/A 21.25倍 N/A N/A


2021年6月期通期決算

メルカリの2021年6月期通期決算の結果は

売上高1,061億円(前期比39.1%増
営業利益52億円黒字転換、前期は▲193億円)
当期純利益57億円黒字転換、前期は▲228億円)

2013年の創業以来初の通期連結営業ベースの黒字を確保した。テレワークの増加、2Q後半からの投資再開により日米のメルカリ事業のGMVが増加、メルカリJPに加えてメルペイ、メルカリUSの収益性も向上し、通期で黒字を確保した。メルカリJPの流通取引総額(GMV)7,845億円となり、前期比1,586億円増加し、MAU(monthly active users、月間アクティブ・ユーザー数)は1,954万人となった。

セグメント別の状況は以下の通りである。

メルカリJP事業

売上高751億円(前期比28%増)
調整後営業利益▲242億円(同31%増)
調整後営業利益率32%(同増減なし)
GMV
(流通取引総額)
7,845億円(同25%増)
MAU
(月間アクティブ・ユーザー数)
1,954万人(同12%増)

新規ユーザーの獲得に向けて、コアとなる若年層に加え、幅広い層から利用してもらえるサービスとなるべく、各種施策(メルカリ・ステーション、他社との連携、TVCM、招待キャンペーン等)を実施することで、着実にMAUが増加した。コロナ後の成長を見据えメルカリ教室の拡大やオフラインの企業連携等の施策を強化した。その結果、通期GMV成長率前期比20%以上、調整後営業利益率30%以上という期初の目標に対して、GMV同25%増、調整後営業利益率は32%とGMV、利益率ともに目標値を超える実績を達成した。前年4QにGMVが40%増と大きく成長し、4Qのハードルが高い中でも、招待キャンペーン等により新規ユーザーの獲得が順調に進捗し、4QのGMVは15%増の高成長を継続した。広告宣伝費率及び人件費率は過去4年で徐々に低下し、高水準の調整後営業利益率の事業へ進化した。

メルペイ事業に関しては、与信分野を中心に収益力の強化に取り組んで来た。注力している「メルペイスマート払い(定額払い)」において利用者や残高が着実に増加しており、「メルペイ」の利用者数は1,067万人(前期比322万人増)となった。一時的ではあるが、5月単月に黒字となった。セキュリティ対策強化の結果、本人確認済み比率が8割を超えた。与信では新たに定額払いをスタートした。決済ではQRコード、バーチャルカードを開始した。バーチャルカードはカード番号を設定するだけの簡単決済である。ふえるお財布ではメルペイ残高を利用して資産運用ができる「Funds」を開始し、株式会社メルコインを設立した。

メルカリUS事業

売上高3億4,300万ドル(前期比%95増、約365億円)
調整後営業利益▲3,900万ドル(約▲41億5,467万円、前期▲1億400万ドル)
GMV11億7,300万ドル(1,238億円、前期比501億円増加)
MAU461万人(同8%増)

メルカリUSではCovid-19の状況を見極めながらマーケティング投資加速(“Super Bowl LV”でのTVCMを利用したブランディング・キャンペーン、CRM施策: #FromYourHome キャンペーン, 駆け込みギフトキャンペーンクーポン等)によりブランド認知度の向上を図り、ユーザー獲得及び人材採用を強化した。より簡単で安全に商品を取引できるマーケットプレイスを目指し、プロダクト機能(検索とアイテム・カテゴリーの拡充)や配送方法の改善(Mercari Local、FedEx SmartPost、UPS QRコード配送)した。その結果GMV成長率前期比72%を達成した。(期初の目標は50%)収益構造の改善に加え、4QはローシーズンであることやMercari Localのローンチ(2021年7月)を控えていた中で投資実行額が抑え目だった事もありメルカリUSとして初となる営業黒字を4Qに達成した。


2022年6月期予想

合理的な業績予想の算定が困難であるため記載していない。

通期の業績予想は発表していないが、セグメントごとの事業方針は以下の通りである。

メルカリJP

中高年世代を中心とした新規ユーザー獲得によるMAUの増加と、既存ユーザーの活性化によるARPU(average revenue per user、ユーザー一人当たりの平均購入額)の向上という二軸の成長で、GMV YoY成長率+20%以上、調整後 営業利益率30%以上を想定

ソウゾウ

「メルカリshops」9月にグランド・ローンチ。慣れ親しんだメルカリのUXで、簡単にネットショップ運営が可能。MAU1,900万人以上のメルカリで、独自の集客なしで売れる機会を提供。注力するカテゴリーは農家直送の野菜、果物、飲食店グルメなどの食料品、クリエイターのハンドメイド作品等。経産省の調査によると日本全体のEC化率は未だ8.1%。(2021年7月「令和2年度 産業経済研究委託事業、電子商取引に関する市場調査の結果による)Covid-19下で誰もが簡単にオンラインで売れる場所の必要性が向上した。

メルペイ

与信(融資)分野の拡大、グループシナジーを活かした総合的な金融サービスの提供、「定額払い」利用残高の積み上げ、「メルペイスマートマネー」の開始(2021年8月)、ふえるお財布で「funds」第三弾を予定。ビットコインを活用した資産運用を検討。

メルコイン

「暗号資産交換業者」ライセンスの取得にむけて推進。メルカリでの売上金をビットコインで受け取れる機能やビットコインを活用した資産運用サービスの提供を検討。「NFT(非代替性トークン)」におけるサービス提供の基盤となるブロックチェーン技術開発やセキュリティ対策の強化等で2022年6月期は100名規模の組織へ。

メルカリUS

GMV成長率は、FY2021.6 4Q又はFY2022.6 1Qを底に改善していくことを想定。COVID-19の状況を見極めながら、通期ではYoY+20%以上を目指し、引き続き成長させていく方針。新機能やプロダクト開発、人材獲得への投資を実施し、中期的なGMV成長率の拡大のための強固な収益基盤、組織基盤を作る予定。Uber社とのパートナーシップにより、7/20から即日配送サービスMercari Localを全米に拡大。本パートナーシップにより、全米の約80%の世帯をカバーした地域でMercari Localが利用可能になる予定。梱包が不要であることから、従来出品が困難であった大型のインテリア用品、フィットネス器具、ベビー用品等にも適した配送手段。 50ポンド未満、車のトランクにフィットする大きさ (45″ x 35″ x 15″)まで配送可能。 配送料(距離による。最低 $7.99。)はバイヤー負担。

2021年7月14日にユーロ円建CBで500億円の資金調達を実施した。(2026年満期250億円、2028年満期250億円)資金調達の使途は借入金の返済 250億円、メルカリUSサービス拡充のためのエンジニア採用及びマーケティング費用 100億円、メルペイの与信事業の運転資金 100億円、新たな事業創出のための投資資金 50億円。募集地域は欧州及びアジアを中心とした海外市場(米国除く)。高い転換アップ率(54.99%): 条件決定日株価終値(6/28、6,030円) に対し高い転換アップ率にて条件決定。転換価格9,346円。


アナリストによる投資スタンス

黒字決算は確保したものの、8月12日の決算発表以降株価は下げ基調で、一時5,000円割れまで売られ込まれた。米国事業への過大な期待と米国に進出して既に7年経っているがリターンを生まない投資に対して懐疑的な見方をせざるを得ない。また、新規事業のメルコインでは暗号資産交換業者のライセンス取得を予定し、人員規模を100名にするとの事であるが、また投資先行の新規事業が新たに増えて連結ベースでの恒常的な黒字化が更に遠のいた印象がある。

米国事業に対して懐疑的であるが、国内のリユースのC to C市場では圧倒的な覇者である事、またメルペイ事業の成長余地、シナジーを考えると期待先行ではあるが利益成長が期待される。

2022年6月期通期の業績予想を発表していないため、PER、EV/EBITDAは計算できないが、PBRは21.25倍である。


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プロフィール

西村麻実 / MamiNishimura
株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト 西村 麻美

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。


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