執筆:西村 麻美

株価
(2020/8/17)
時価総額自己資本比率ROEROIC
4,295円2,007億円39.3%5.16%4.9%
PER
(実績)
PER
(予想)
PBR配当利回りEV/EBITDA
48.32倍38.73倍2.4倍0.79%3.2倍

株式会社インターネットイニシアティブ2021年3月期 第1四半期決算短信はこちら

 

2021年3月期第1四半期 決算分析

■2021年3月期第1四半期決算 

売上高503億円(前年比1.1%増⤴
営業利益20億円(同48.2%増⤴
四半期純利益11億円(同43.8%増⤴

増収増益の快算だった。

売上収益は微増だったが、コロナ禍で法人のリモートワーク、仮想デスクトップ接続などの需要の追加、またセキュリティ関連サービスの売上が好調で利益を大きく伸ばした。SI事業は、前年同期比で売上は減少したものの、SI事業のシステム構築案件は昨年度受注済みの案件の遂行により想定通りに推移した。SI運用保守の売上は前年同期比で13.5%増と好調だった。

 

■事業別の内訳 

○ネットワークサービス事業

売上309億円(前年比0.8%増⤴
売上総利益81億円(同9.9%増⤴

○SI事業

売上188億円(前年比4.2%増⤴
売上総利益19億円(同5.4%増⤴

○ATM関連事業

売上5.7億円(前年比45.2%減⤵
売上総利益1.3億円(同72.2%減⤵

ATM運営事業の大幅減は緊急事態宣言でATM設置店の休店によるものだった。

法人向けインターネット接続サービス契約数の合計は2020年6月末時点で213万となり前年同期比19%増となった。一方個人向けインターネット接続サービス契約数の合計は140万となり同3%減だった。

持分法適用会社の暗号資産取引所運営のディーカレットは、第一四半期には関西電力と電力P2P取引の決済の実証実験、また大同生命ではデジタル通貨発行の実証実験を開始した。ディーカレットの持分法損失は3.1億円だった。

 

2021年3月期予想

■2021年3月期の会社発表の業績予想 

売上収益2100億円(前年比2.7%増⤴
営業利益87億円(同5.8%増⤴
当期利益50億円(同24.8%増⤴

前提とする事業別内訳はネットワーク事業の売上は前年比30億円増。法人向けインターネット、セキュリティ等のアウトソーシングはリモート需要で継続して伸長、大口MVNE顧客減(▲14億円)、WAN大口顧客減(▲17億円)。SI事業の売上は前年比40億円増。クラウド売上目標が245億円。ATM運営事業は前年比13億円減。店舗休業や店舗ATM減で減収を想定している。

ディーカレットの持分法損失は8億円を予定、同じく持分法適用会社のJOCDNは通期で黒字化を予定している。

 

アナリストによる投資スタンス

株価は過去一年間上昇基調であるが、好決算を受けて更に上昇している。予想PERが38.73倍、PBRが2.4倍、EV/EBITDAが3.2倍と特に割高感はない

 

過去のインターネットイニシアティブの決算ハイライト

・2020年3月期

 

プロフィール

株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト 西村 麻美

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。 
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。

 

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