執筆:西村 麻美

出前館の株価情報

株価
(2021/04/02)
時価総額 自己資本比率 ROE ROIC
2,479円 1,968億円 66.5% N/A N/A
PER
(実績)
PER
(予想)
PBR 配当利回り EV / EBITDA
N/A N/A 10.81倍 N/A N/A


2021年8月期第2四半期決算

出前館の2021年8月期第2四半期決算(累計)の結果
売上高104億円(前年同期比173.3%増⤴
営業損益▲83億円(前年同期は▲9.8億円)
純損益▲96億円(前年同期は▲9億円)

シェアリングデリバリーのエリア拡大とテレビCM等を中心とする継続的な認知度向上により売上は大きく拡大した。中期経営計画に沿い、シェアリングデリバリーのエリア拡大のための積極的な投資により営業損失は拡大した。サービス対応エリアは39都道府県に広がった。配達員数は前年同期比で約10倍に達し、シェアリングデリバリーの加盟飲食店は前年同期比で約7.5倍に増加した。

セグメント別では、出前館サービス利用料は前年同期比129.9%増の46億円、配達代行手数料は同776%増の47億円となった。第2四半期で配達代行手数料の売上の方が出前館サービス利用料よりも大きくなった。

出前館事業セグメントは、GMV(流通取引総額)は前年同期比68%増の710億円、アクティブユーザー数は同82%増の582万人となった。加盟店舗数は同179%増の5.9万店、シェアリングデリバリーの世帯カバー率は39%となり、中期経営計画に沿い順調に拡大した。

飲食店向けの酒類などの通信販売事業も行っているが、飲食店の営業自粛を受け前年同期比45.6%減の3億3319万円となった。

2020年12月から2021年1月にかけて実施されたCM総合研究所の調査によると、出前館のテレビCM、キャンペーン等によりTVCM好感度が第三位に向上し、認知率が27.6pt向上し、84.8%になった。


第2四半期末における中期経営計画における進捗状況は

・GMV:2021年8月期通期目標は1600億円、進捗率は43%の710億円
・加盟店舗数:2021年8月期通期目標は7.5万店、進捗率は62%の5.9万店
・シェアリングデリバリー世帯カバー率:2021年8月期通期目標は36%、既に目標達成済み


2021年8月期予想

第2四半期が終わった時点で、通期の業績予想は従前予想を据え置いた。

売上高280億円(前年比171.7%増⤴
営業利益▲130億円(前期 ▲26億円)
純損益▲130億円(前期 ▲41億円)


アナリストによる投資スタンス

今期は大規模な投資実行の年になるというのは昨年発表した中期経営計画の通りであるが、会社の計画通りに来期(2022年8月期)に黒字化するのかについては疑問がある。

コロナ禍で世界中でフードデリバリーは成長しているが、利益をあげている企業はどこにもないだろう。つい二日前にロンドン証券取引所にデリバリー企業のDeliverooが上場したが、取引開始後31%も株価は下落し、シティ始まって以来の最悪のIPOだと話題になった。出前館に関しても期待先行の銘柄であるので、実際に来期黒字化しなかった場合には相当の下値リスクがあると考える。


出前館に関する投資アイデア

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プロフィール

株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト 西村 麻美

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。


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