2020.09.29|NTTによるNTTドコモの完全子会社について

NTTドコモの完全子会社について / NTT dDOCOMO a wholly owned subsidiary

執筆:西村 麻美

弊社ではNTTに関して2023年度のEPS320円達成が可能であるとの理由で強気であるが、今回のNTTによるNTTドコモの完全子会社化はポジティブであると考える。

5G、IoTの次世代戦略の中でNTTグループは通信セクターの中でより優位に立ったとの感想を持っている。

以下、なぜ今回のNTTドコモの完全子会社化をポジティブと考えるかの理由をいくつかあげる。


1)NTTのキャッシュフローのインパクト

NTTは28日のドコモの株価終値2,775円に40.5%のプレミアムを上乗せした金額で取得と発表。

2,775円×1.4×(3,228,629,256×0.34)=4,264,696,384,250円
NTTドコモの完全子会社化には約4.3兆円のコストがかかる。

一方、キャッシュフロー的にポジティブな部分であるが、NTTドコモの完全子会社化により、今までは持ち株比率の66.21%の利益貢献だったが、これが100%の利益貢献になる。

前にあげたEPSへのインパクトのメモに詳述したが、2021年3月期に関しては上乗せ利益は2,045億円になる。

また、NTTドコモは2020年3月期の配当総額は3,900億円であったが、NTTドコモの非上場化により、NTT以外の少数株主向けの配当金の支払いがなくなる分が1,400億円。これがNTTの株主に配当されるとすると、ざっくり計算してNTTの1株配当は100円から135円に増額されることになる。これは本日の株価ベースで6%の利回りとなる。


2)携帯料金値下げの環境作り

菅首相は官房長官時代から携帯料金の値下げを言い続けているが、NTTドコモの上場廃止により、コスト削減含めてNTTドコモ単体の収益を気にする事なく大胆な低料金メニューを用意する事ができる。財務的体力が他の通信会社に比べ圧倒的に高いため、値下げによりマーケットシェアを更に拡大できるチャンスがあると考える。


3)NTTグループ全体のコスト削減の加速

NTTが2020年6月に発表した中期財務目標で、グループ全体で2023年度までの3年間で8,000億円のコスト削減をあげている。携帯料金の値下げの環境作りにより、NTTグループ企業内でのコスト削減への取組みが加速すると考える。値下げをしつつNTTグループとしての収益改善のためにはコスト削減が必須である。


4)資産流動化

2020年6月に書いたNTTのレポートで、2023年度のEPS320円を達成するためには利益成長のみでの達成は難しく、自社株買いをする可能性が高いと書いた。自社株買いの原資としてNTTグループが抱える不動産やデータセンターの資産流動化をするのではないかとの推測をしたが、この考えに変わりはない。特にNTTドコモが100%子会社化することで、ドコモ資産の流動化はより行いやすくなったのではないか、と推察する。

携帯料金値下げをし、かつ2023年度のEPS320円を達成するためには資産流動化をする可能性は一層高まったと考える。2020年3月期時点で有形固定資産が9兆円、投資不動産が1兆円とあるので、合わせて10兆円を証券化するのではと推測する。

資産流動化を視野に入れて東京センチュリーと共同でNTT・TCリース株式会社を設立したのだろう。


投資判断

短期的なNTTの株価の下落はあるが、NTTドコモの完全子会社化により大胆な値下げが可能になり、通信セクターの中での圧倒的な勝者になる可能性は更に高まった。NTTドコモの子会社化による修正EPSは286.43円となり、予想修正PERは7.78倍になる。

また、現在の株価の2,230円では配当利回りは、ドコモ子会社化による増配がなくても、4.48%である。5G、IoTの次世代戦略の中でNTTの中長期的な成長ストーリーは不変であり、絶好の買い場であると考える。


マーケットアナリスト西村麻実 / Market analyst Mami Nishimura
株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト 西村 麻美

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。

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