2020.06.05|東京海上ホールディングス(8766)業種:保険業 テーマ:海外・安定成長

決算ハイライト東京海上HD / Settlement highlights of Tokyo KaijoHD

執筆:西村 麻美

株価
(2020/6/4)
時価総額 自己資本比率 ROE ROIC
4,628円 3兆2,500億円 13.4% 7.5% 6.7%
PER
(実績)
PER
(予想)
PBR 配当利回り EV / EBITDA
12.5倍 N / A 1.0倍 4.3% 10.76倍

東京海上ホールディングス株式会社2020年3月期 決算短信はこちら

東京海上ホールディングスは国内メガ損保の一社で業界トップ。国内損保事業以外に国内生保事業、海外保険事業、金融・一般事業(資産運用事業など)をおこなっている。

■事業別利益の内訳

国内損保事業1,420億円
国内生保事業490億円
海外保険事業1,770億円
金融・一般事業50億円


2020年3月期 決算分析

■2020年3月期の決算
経常収益5兆4,654億円(前年比0.2%減⤵
経常利益3,639億円(同12.6%減⤵
当期利益2,597億円(同5.4%減⤵

国内自然災害に伴う保険金支払い額が3,314億円になり減収減益の決算となった。

しかし、他の損保大手2社のMS&ADインシュランス・ホールディングス(8725)、SOMPOホールディングス(8630)の国内自然災害の保険金支払い額が5,020億円、3,905億円と東京海上よりも支払い額が多く、当期利益の減益幅はMS&ADは25.8%減、SOMPOは16.4%減だった。

東京海上は自然災害リスクの認識・モデルを高度化し、再保険の手配や自然災害予算の増額によりおおむね計画通りの決算だった。しかし、期末の株価下落により減損額が170億円増加した。

東京海上はグローバル保険グループとして、海外保険事業をグループ全体の成長ドライバーとし、先進国および新興国の両市場において、戦略的にM&Aを推進してきた。直近では2020年2月に米国の連結子会社を通じ、米国の富裕層向けに特化して保険商品・サービスを提供するPrivilege Underwriters, Inc.および傘下の子会社Pureグループを買収した。

東京海上は国内損保事業を安定成長が見込まれるマーケットと考え、事業効率を上げつつマーケットシェアを拡大してきた。2010年度から2018年度の9年間でマーケットシェアは25%から26.4%に拡大し、利益ベースのCAGR(compound average growth rate、年平均成長率)は3.3%だった。

国内損保事業については労災保険や中小企業向けパッケージ保険などの新たな保険の伸びが大きく、これからも拡大余地があると考えている。

海外保険事業については米国でNPOなどニッチなマーケットに特化した保険商品や企業の福利厚生関連などの保険商品などのスペシャルティ・フランチャイズの構築に成功し2015年から2019年までの利益ベースのCAGRは6.6%とマーケットを上回る高成長を達成した。

過去に米国では3社を買収したが、買収後に3社ともマーケットより高い成長率を保っている。Privilege Underwriters, Inc.の買収により拡大余地の大きい富裕層向けのマーケット(富裕層向け保険の市場規模は推定300億米ドル)に参入し、さらなる利益成長が見込まれる。


2021年3月期 業績予測

2021年3月期の業績予想は発表していない。しかし、今期で9期連続の増配を見込んでいる。配当性向は5年平均の修正純利益の35%以上とし、アフターコロナの今期の配当性向も40%を予定している。

東京海上の高い経営力は株価にも反映され、2002年4月1日の株価を100とし株価パフォーマンス(配当再投資後のキャピタルリターン)は3年間で119、5年間で130である。同じ期間にMSCI World Insuranceは3年間で97、5年間で109、Topix保険業インデックスは3年間で94、5年間で104であった。


アナリストによる投資スタンス

株価バリュエーションは実績PERが12.5倍、PBR1.0倍、EV/EBITDA10.76倍。同業他社のMS&ADは実績PER14.4倍、PBR0.8倍、SOMPOの実績PERは9.5倍、PBR0.9倍、EV/EBITDAは2.84倍。損保3社の中では割安感はないが、他の金融株に比べると割安であり、優れた経営実績とこれからの成長性を考えると絶好の買い場に思える。


プロフィール

マーケットアナリスト西村麻実 / Market analyst Mami Nishimura
株式会社クリプタクト
マーケットアナリスト 西村 麻美

新卒でメリルリンチ証券東京支店入社後コーネル大学経営大学院にMBA留学。
卒業後東京に戻りHSBCアセットマネージメントにて日本株アナリスト、年金運用、アライアンスバーンスタイン東京支店にてプロダクト・マネージャーとして勤務後フリーランスのコンサルタントを経て現職。


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