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仮想通貨の損益計算/確定申告:「総平均法」と「移動平均法」どちらを選ぶ?

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仮想通貨取引では、コイン毎に評価方法を選択する事ができます。 
但し、届出を行わない場合、「総平均法」を選択したとみなされるので、「移動平均法」を選びたい方は、確定申告期限(2020年3月16日)までに必ず届出を行いましょう。

なお、仮想通貨の確定申告については、【最新版】仮想通貨の確定申告特集記事 もございますので、あわせてご確認ください。


 

仮想通貨の2つの評価方法

仮想通貨の評価方法(譲渡原価の計算方法)には「総平均法」と「移動平均法」があります。

「総平均法」とは、1年間の取引全てを集めて平均取得価額を計算する方法です。 
1年の最後に1度だけ計算すればいいので、計算が簡単である反面、その年の最後の取引まで、損益が確定しないというマイナス面があります。

一方、「移動平均法」は、取得が発生する都度、平均取得価額を計算し直す方法です。 
損益の確定が早く、実態に合った評価方法である反面、計算回数が多くなるためやや煩雑です。

どちらの評価方法を使用するかは、申告者が自ら選択でき、ポイントは以下の通りです。

・評価方法はコイン毎に選択できる 
・確定申告期限までに所轄の税務署長宛に届出が必要 
・選択した方法は原則として3年間変更できない(3年間同じ評価方法を使用) 
・届出を行わなかった場合、「総平均法」が適用される(選んだことになる) 


 

仮想通貨評価方法の届出の注意点

まず、届出を行う時期は2020年3月16日までで、対象者は全員です。

国税庁ホームページには、初めて仮想通貨を取得した年、又は従来とは種類が異なる仮想通貨を取得した日の属する年分の確定申告期限までに届出を行うとされているので、2019年よりも前から仮想通貨を保有していた人は、届出対象外と考えてしまいそうです。

実際には、本届出は2019年度より新たに取り入れられた手続きなので、誰でも届出を行う事ができます。 
2019年4月以前に仮想通貨を保有していた場合、2019年4月1日にそのコインを取得したものとします。

次に「移動平均法」を現に使用している、又は今後使用したい方に対する注意です。

評価方法を届け出なかった場合、「総平均法」が適用される、つまり保有する全コインに対して「総平均法」を選択した事になります。

つまり、これまで「移動平均法」を使用していた人も、届出を行わなかった場合、「総平均法」を選択した事になり、原則として3年間、変更はできません。

これは全て又は一部のコインについて今後、「移動平均法」を選択したい人も同じなので、「移動平均法」を選びたい人は必ず届出を行いましょう。


 

評価方法の届出手続

届出に際しては、国税庁作成の「仮想通貨に関する税務上の取扱いについて(情報)」をチェックしましょう。

「所得税の仮想通貨の評価方法の届出書」を、納税地の所轄税務署長に対し、提出する必要がありますが、コイン別に評価方法を記入する程度で作成は簡単です。

(国税庁ホームページ:仮想通貨の評価方法の届出) https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/virtual_currency_faq_03.pdf


届出書そのものは、以下のリンクから入手可能です。

(国税庁ホームページ:「評価方法の届出書」届出フォーム) https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/kasou-todoke.pdf 


以上、2019年度の確定申告期限までに行うべき、仮想通貨の評価方法に係る届出手続について紹介しました。


 

■監修

本記事は税理士法人GLADZの野口代表社員の監修を受けています。

税理士法人GLADZの野口代表社員

暗号資産(仮想通貨)投資を行う上で、ハードルとなる税務周りの問題の解決をパートナーのコインタックス株式会社と行っている。 
確定申告サポートから、税務調査や暗号資産の相続に至るまで幅広いサービスを提供。