~個別企業ではなく業界に投資したい?そんなときに便利なETF~

ETFについて2回に分けてご紹介します。
第2回「ETFの仕組みについて詳しく学ぼう」はこちら



ETFの魅力とは?

株式投資とは普通は個別企業ごとの株式を売買するものであり、各個別企業の業績であったり成長性に期待して売買を行いますよね。

ですが、投資アイデアの中には、特定の企業ではなく、その企業が属する業界全体に同じ影響を与えるものが数多くあります。
例えば、巣ごもり需要でゲーム業界全体が強いと考える、オンライン需要の拡大で通信インフラの需要が強そうだ、5G需要で電子部品メーカーの受注が底堅そうだ、金融をテーマに銀行業界全体の見通しを持つ、などといったものがあるでしょう。

こういった投資アイデアから、各業界の個別企業まで落とし込んで考えていくことはもちろん可能ですが、一方でどの企業でも大局的には変わらない、個別企業の選定でミスをしたくない、かといって関係する株式全てを売買する手間や資金の問題、といった様々な理由から、業界全体に手軽に投資ができればいいのに、という場面に遭遇することはよくあります。そもそも、225銘柄売買したくはないけど日経平均に投資したい、というニーズもあるかと思います。

そんな時に便利なのがETFと呼ばれる商品になります。ETFとはExchange Traded Fundの略で、証券取引所に上場されているので株式のように売買できる商品であり、日本では「上場投資信託」と呼ばれています。

個人投資家にとって、ETFはとても使い勝手のいい投資商品であり、長期の資産形成に適した商品でもあります。このジャーナルでは2回に分けてETFの歴史や特徴、具体的な商品と投資戦略への活用法を紹介します。

ETFの魅力まとめ:
・個別企業株式ではなく業界全体への投資が可能
・少額の資金で分散投資が実現
・世界中の多様な資産(株、債券、原油等コモディティ)に簡単に投資


アイデアブックでは東京証券取引所(東証)に上場する約220本のETFを対象にシミュレーション取引を行うことができます。アイデアブックでETFを学んで、理想のポートフォリオを構築しましょう。

アイデアブック画面

アイデアブック画面 / Screen of ideabook

ETFにはどのような種類があり、どういうときに活用するといいのか、どうやって売買するのか、手数料や配当など通常の株式の売買と異なる点があるのか、といったことを最初に説明したいと思います。

ETFの概要や仕組みについての詳しい説明は第2回に記載しておりますので、もっとよく知りたい方はぜひご覧ください。


ETFの種類と活用方法

ETFを使うことで、個別企業ではなく、ある業界全体に投資することが再現できると説明しました。

他にもETFには様々な種類があり、ある業界の株式をまとめたものだけでなく、株式以外の商品、例えば債券であったり、原油や金といったコモディティに投資できるものもあります。
これもETFの魅力の1つで、例えば金に投資したいと思った時に、実際に金を購入しなくても、金のETFを購入するだけで同様の投資を再現することができ、かつ上場しているため株を買うのと同じステップで行うことができます。

ETFが再現している対象の資産種類は、大きく分けて以下の4種類となります。

①株式を投資対象とするETF
②コモディティ(原油、金など)を投資対象とするETF
③不動産を投資対象とするETF
④債券(や優先株)を投資対象とするETF

各ETFの代表的な種類などを紹介したいと思います。


株式を投資対象とするETF

株式を投資対象とするETF

株式を投資対象とするETFは数多くあります。あなたが投資したい業種であったり、国であったり、大まかに切り口を設定してみると、必ずぴったりのETFがあるとはもちろん限りませんが、ちょうどいいETFが見つかることも多いと思います。

例えば、先進国の株式を集めたETF、新興国の株式を集めたETF、特定の国の株式ETF、あるいは特定の業種の株式ETF、さらには世界の株式を網羅したETFなど、幅広く用意されています。

あなたが、いわゆる新興国の株式に投資したいと思ったとき、具体的な銘柄や国を選定しなくてもそういった新興国株式ETFに投資することで、思っている内容の投資を再現することができます。

また、対象資産の値動きを数倍に増幅するもの、インバース型と呼ばれる株価の下落方向に期待する商品もあります。有名なものでいえば、日経平均ダブルインバース(1357)というETFは、日経平均が1%上がると当ETFの価格は2%下がり、逆に日経平均が1%下がると当ETFの価格は2%あがるといったETFになります。

東証に上場しているETFのうち代表的な株式ETFについてはこちらをご覧ください。もちろん、アイデアブックで再現可能となっています。


コモディティ(原油、金など)を投資対象とするETF

コモディティ(原油、金など)を投資対象とするETF

金、銀などの貴金属、原油、穀物などは総称してコモディティと呼ばれます。コモディティに対してもETFを使えば簡単に投資が可能です。金やプラチナなどの貴金属については、個人で現物を購入することもできますが、盗難リスクなどを考えるとETF投資はずっと手軽ですよね。

東証にも数多くのコモディティのETFが用意されています。おそらくコモディティは皆さんもイメージしやすいかと思います。例えば原油に投資したい、金に投資したい、といったときに、まずはそのETFがないか探してみましょう。それを保有することであなたが行いたい投資を再現することができます。

代表的なコモディティのETFはこちら


不動産を投資対象とするETF

不動産を投資対象とするETF

日本ではやや認知度が低いですが、不動産も株式や債券と同様に主要な投資対象商品の1つで、不動産ETFに組み込まれている資産は、REITという不動産投資信託に投資を行う商品が大部分です。REITについては回を改めて紹介しますが、オフィスビル、賃貸マンションと言った商業用賃貸不動産の値上がりや賃料収入に期待して投資を行うものです。

不動産の賃貸収入は比較的安定した収入であり、こういった収入に直結した投資を行いたいといった場合に不動産ETFへの投資が選択肢で上がってきます。

もちろん、不動産REITへの投資がまさに不動産賃貸収入に期待した投資となるのですが、株式ETFでもあったようにどのREIT銘柄に投資していいかわからない、また複数のREIT銘柄を売買するには資金的に難しいといった時に、不動産ETFであれば自動的に複数のREITに投資を行うことを再現することができるというわけです。

歴史的に見て希少な立地にあるAクラス不動産の価値は非常に安定的ですが、価格が高すぎて個人が保有することはほぼ不可能です。多数のAクラス不動産で構成されたポートフォリオを保有する複数のREITに少額で分散投資を行うのは、まさにETF投資の醍醐味とも言えます。

代表的な不動産ETFについてはこちら


債券や優先株を投資対象とするETF

債券や優先株を投資対象とするETF

債券投資というと聞きなれない方も多いと思います。一般的に債券とは株式と異なり満期日において額面が償還されるため、元本割れリスクが株式より低い非常に安定した投資となります。

債券ETFは、安定した配当収入への期待が中心となる農耕型の投資と言えます。ETF価格の値動きは株式や他のETFに比べると大人しいものの、金利環境によって価格は動きます。債券は利回りが下がると価格は上がるので、債券ETFの購入とは基本的に配当収入と金利の低下方向を期待した投資と言えます。

債券についても先進国債券、新興国債券などに切り分けた商品、特定の国の債券を対象とするもの、短期債、長期債など、デュレーションで切り分けた商品もあります。そんな中、ポピュラーな商品は世界最大の債券市場であるアメリカの債券を対象とするものです。また、アメリカに関しては、株式と債券の中間的な商品である優先株を対象とするETFもあります。

債券ETFについても詳細はこちらをご覧ください。


ETFの分配金(配当)/売買方法/手数料/株式との違い


分配金(配当)

多くのETFでは、株式と同様、権利確定日の保有者に分配金(配当)が支払われます。分配金(配当)利回りは、もちろんETFの種類によって様々ですが、例えば個別株に投資したら配当収入があるのに、ETFに投資すると配当がもらえない、といったことはありません。

そのため、株式ETFであれば、実際の株式に投資するのと同じように配当収入もきっちり得ることができます。

売買と手数料

ETFの売買は株式と同じです。東証に上場されているETFであれば、株式と同様に4ケタの証券コード(Ticker)が付されており、証券会社の営業店でも、オンライン証券でも平日9:00〜15:00の取引時間中、自由に売買する事ができます。

つまりETFも個別株式も同じように売買でき、この簡単さがETFの魅力の1つとも言えます。ETFと株式の違いを意識することなく取引できるため、ETFの細かい仕組みについて理解する必要なく取引を行うことができます。

一方で、手数料については若干の違いがあります。株式と異なり、ETF には2種類の手数料が存在します。1つは売買に際して証券会社に支払う売買手数料、もう1つはETFの運用会社に対して支払う信託報酬(運営手数料)です。

売買手数料は株式と同様ですね。一方で信託報酬はETFにのみ存在する手数料となります。この手数料は一般的に分配金(配当)が支払われる前段階で徴収されています。例えば、信託報酬が1.0%のあるETFについて、その配当収入が本来4%ある場合、ETFの実質的な分配金利回りは信託報酬が引かれた3.0%として、ETF保有者に分配されます。もし信託報酬が0.2%であれば、3.8%の分配金利回りを得ることができます。

ETFを使うことで単一の個別銘柄ではなく、複数の銘柄に同時に投資するのと同じ効果を再現できる、別の言い方をすれば少額投資と分散投資を両立できる、と説明しましたが、その便益の代わりに、信託報酬分が本来の配当収入から引かれていることは注意が必要です。もっとも報酬自体はそう高くない(ほとんどのETFの年間手数料は保有金額の0.5%以下など)ため、低コストで分散投資ができるというのも魅力となります。


いかがでしたでしょうか。ETFと聞くと耳慣れないかもしれませんが、実はとても便利な投資商品です。アイデアブックでは東証に上場している220本のETFを使ってアイデアを組成することができるので、まずは練習もかねて一度ETFを使った投資をシミュレーションしてみてはどうでしょうか。